◯島田敬子議員 日本共産党の島田敬子でございます。党府議会議員団を代表して、さきに通告しております数点について質問いたします。
まず、暮らしと経済についてです。
先日内閣府が発表した今年7月から9月期の国内総生産は4月から6月期に比べて実質0.3%増と、四半期連続の増加となったものの、内需は0.2%減で、GDPの約6割を占める個人消費は実質で前期比0.5%減と、四半期ぶりの落ち込みとなっており、消費の低迷は明らかです。
自民党政権が進めてきた労働法制のたび重なる改悪で、正規労働者は減り続ける一方、非正規雇用者が増加をする中、ブラック企業がはびこり、働く貧困層が増大いたしました。本府のワーキングプア率は、2002年以降、全国ワースト3位から4位で推移し、非正規雇用率は42%と、全国3番目の高さです。消費税の増税や年金の引き下げと、医療や介護の負担増で高齢者の貧困も増大しています。中小企業は、7割が赤字経営を余儀なくされています。その上、今年は度重なる台風、豪雨災害で甚大なる被害がもたらされ、被災者は暮らしの再建に途方に暮れている方も多いのです。
決算審議では、知事が期待した地方消費税については、輸出還付金の見直しや消費不況等によりマイナス50億円以上と、減収となり、全体で200億円規模で税収が落ち込む結果となったことが明らかになりました。消費税増税は、暮らしも営業も破壊をし、消費不況を拡大することは明らかです。現在の京都の経済と府民の暮らしの現状を踏まえるなら増税する環境にないと考えますが、いかがでしょうか。
総選挙の翌日、経団連会長は、「痛みを伴う改革を推進せよ」と計画どおりの消費税率の引き上げと社会保障制度の改革・削減を迫り、法人税の実効税率の25%への引き下げをセットで要求いたしました。それに応じて、医療、介護、社会保障のあらゆる分野で給付削減を行う案が財務省や内閣府で検討されております。安倍政権の言う「全世代型社会保障への転換」は、全世代への社会保障切り捨てであり、社会保障予算の抑制にあります。財務省は、75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担を1割から2割へ引き上げる等の案を示しています。これは深刻な受診抑制をもたらし、病状悪化につながるもので、到底許すことはできないと考えますが、いかがでしょうか。
これまで安倍内閣は、医療介護総合法、医療保険改革法など、公的な医療や介護制度の根幹にかかわる法改悪を強行してきました。これらの法律の中核部分は、来年、2018年に本格始動いたします。その一つが、国民健康保険の都道府県化です。今回の都道府県化は、医療費抑制を狙う財界と大企業の最大の眼目なのです。
10月6日の定例記者会見で知事は「昔、国保の都道府県化をするときもたった一人から始めました」と述べられましたが、社会保障切り捨ての安倍政権のお先棒を真っ先に担いでいると言わなければなりません。都道府県化が国保料を引き下げてほしいという願いに応えることができるかどうかが府民にとっては最大の問題です。
現在、国民健康保険加入世帯は39万2,424世帯ですが、高過ぎる国保料が払えない滞納世帯は4万2,251世帯で、加入世帯の1割を超えています。短期保険証は19万8,831世帯、窓口で10割の負担になる資格証明書交付世帯は京都市、福知山市、舞鶴市、宇治市、八幡市、精華町で4,595世帯となっております。
そもそも国保料高騰の最大の原因は、1980年代には50%あった国庫負担が現在25%に引き下げられたためであります。3,400億円の一時的財政補助では解決できないことは明らかであり、都道府県化を進めた知事の責任は重大です。
先ごろ示された京都府国民健康保険運営方針の中間案では、決算補填を目的とする法定外の一般会計繰り入れを赤字と決めつけ、計画的な解消・削減の取り組みを検討するとしています。これは保険料の負担軽減を図るためのものや医療費の増大に対応するための繰り入れが解消されることになり、結果的に保険料への転嫁、高騰につながると考えますが、いかがでしょうか。
厚生労働省は、10月23日、2018年度の予算推計をベースとして仮係数を通知いたしました。11月には、財政基盤強化のための1,700億円の9割に当たる1,500億円を反映した実際に近い形で納付金の試算が各都道府県で行われ、既に公表していた数値も含めて32都道府県で公表をされております。知事は、9月定例会で、きちんとした条件がそろえば公表すると答弁をされました。国民健康保険は府民・市民のためのものであり、納付金や保険料の試算結果を速やかに公表すべきですが、いかがでしょうか。
次に、介護保険制度改革についてです。
2000年にスタートした介護保険制度は、制度の見直しのたびにどんどん後退し、「保険あって介護なし」「国家的詐欺」とまで言われる事態になっています。2015年実施の改定では、要支援1・2の訪問介護、通所介護を保険から外し、特別養護老人ホームの入所を原則要介護3以上に限定し、年金収入280万円以上の方の2割負担、低所得者の施設入所者の食費、部屋代の補助要件が厳しくされました。さらに、制度スタート時には2,848円だった介護保険料が5,812円と、2倍になりました。特別養護老人ホームの待機者は、府内で8,000人を超えました。こうした改悪が利用者と家族にどんな影響をもたらしているでしょうか。
「認知症の人と家族の会」が、昨年、利用者、家族へのアンケート調査を行われました。「ショートステイ利用で月8,000円も負担が増え、利用回数を減らした。このまま負担が増えれば生活が成り立たず、介護家族は共倒れになる」「月7万3,000円の負担増で、年金だけでは不足をし、やむなく施設を退所させた」「認知症の母親と要介護の父とけんかが絶えない。高齢者虐待や介護殺人も他人事とは思えない」など、びっしりと書かれています。
本府が実施した利用者アンケートでも、今回の利用料の2倍で、7割の方が負担が「大きい」「やや大きい」と答えられております。
これ以上の負担には耐えられないというこれらの声や、低所得者が制度から事実上排除されている現状について、どのように認識されておりますでしょうか。また、低所得者への軽減対策の必要性についてどのような検討をされているのか、伺います。
安倍政権は、要支援1・2に続き、要介護1・2の軽度者への介護給付の大幅な削減を狙っています。平成28年度末の京都府内の要介護認定者は14万5,000人。うち、要支援1から要介護2の方は9万4,000人と、認定者全体の65.4%になっていますが、京都府の認知症高齢者は約17万人とも推計されております。これらの人たちに重大な影響が出るのです。認知症の人たちが在宅生活を送る上で、朝昼晩と1日3回、お食事や服薬等の援助は命をつなぐために基本となるサービスです。認知症に限らず、在宅でひとり暮らしや高齢夫婦の方々が介護サービスを利用しながら懸命に生きていらっしゃいます。これを制限するということは、命を切り捨てることにほかなりません。
介護報酬改定の議論の中で、訪問介護について、掃除や調理など直接体に触れない生活援助について、厚生労働省が決めた基準を超える利用は市町村のケア会議等で検証し、是正を求めるとして利用回数を制限しようとしています。これらに対して「認知症の人と家族の会」の皆さんや介護現場からは怒りの声が上がっています。介護の実態を無視した生活援助の報酬引き下げ、利用制限に対し、きっぱり反対すべきと考えますが、いかがでしょうか。
介護人材確保について、厚生労働省は「2025年に約38万人の不足」と発表いたしました。現状でも介護福祉人材の不足は深刻化しています。
11月22日、府民生活・厚生常任委員会の調査で宮津総合実習センターに伺いましたが、みねやま福祉会が新設した特別養護老人ホームは、介護職員が確保できずに、20床は運用できない状況でした。府内各地でショートステイのベッド閉鎖や訪問介護から撤退した事業所もあります。
在宅を支えるホームヘルパーの不足も深刻です。4月から始まった総合事業のもとで事態はさらに深刻になっています。緩和型サービスで15%の報酬削減を行った京都市内では、ヘルパーを募集しても全く応募がなく、新たな利用者を受け入れられない事態、「ヘルパー難民」とも言う事態が広がっているのです。
介護職員の不足の最大の原因は、介護労働者の賃金水準が全産業労働者と比べて月額10万円も低く、働き続けることが困難であることです。4.2%ものマイナス改定となった2015年介護報酬改定では新たな介護職員の処遇改善加算がプラスされたものの、多くの事業所が経営困難になる中で介護労働者の処遇が引き下げられているのが実態ではないでしょうか。
さらに、来年4月には介護報酬の引き下げが狙われております。経営難で事業所の倒産・廃業などがさらに広がれば、地域の介護基盤を大きく掘り崩すことになりかねません。
11月15日には、全国老人保健施設協会など11団体が「介護の現場を守るための署名」180万筆を政府に提出し、必要な財源確保を求めたところでございます。
そこで伺います。
介護の担い手不足が深刻になっている現状について、認識はいかがでしょうか。介護労働者の賃金の引き上げが必要であり、介護報酬とは別枠の国費の投入による賃金引き上げを図るべきと考えます。政府に対して介護報酬の削減中止を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
ここまで御答弁ください。
◯山田啓二知事 島田議員の御質問にお答えいたします。
まず消費税についてでありますけれども、全国の平成28年度の税収を見ますと、四半期ぶりに落ちたということは、要するにそれまではずっと上がってきたというわけなんですけれども、税率引き上げ前の平成25年度と比べますと、国税の消費税で約1.6倍、地方消費税で約1.8倍で、いずれも税率の引き上げ割合を上回っているんですね。そうした面では、税収は比較的安定して推移しているというふうに思います。
消費税の引き上げにつきましては、総理は「経済は生き物であり、リーマンショックのようなことがあれば対応していく」と発言されておりますけれども、京都府といたしましても経済状況には十分配慮していただきたいというふうに考えております。
ただ、消費税のあり方自身については、かねてから申し上げておりますように、こうした経済情勢に加え、少子高齢化の社会の中で必要となる介護や子育て支援などの社会保障政策の充実へどう再配分していくかという問題を抜きにしては語れないと思いますので、私はそうした中で安定的な歳入と歳出をつくり上げていくという視点で物事を判断すべきじゃないかなというふうに思います。
次に全世代型社会保障についてでありますけれども、高齢化がこれから進む一方で、少子化問題など、社会に深刻な影響が出てきております。教育費など子育て世代や働く世代の負担軽減等、全世代型の対策が間違いなく必要になってまいります。
このため、全国知事会におきましても、支えられる側と支える側をともに支援していこうじゃないかという形の全世代型社会保障への転換が不可欠と考え、国に対し、緊急提言を行ったところであります。
ただし、問題となるのは財源であります。医療の分野を見ても、国民皆保険制度を守るために京都府は国民健康保険と後期高齢者医療制度の両制度を合わせて約600億円を投入しておりますけれども、これから高齢化時代になると、どんどんふえてくるのは間違いありません。
こうして今後の高齢化社会を考えれば、財源論なくして社会保障制度を安定的かつ持続的な形で次世代に引き継いでいくことは困難でありまして、この点から、私は全国知事会長として安定財源の確保についても、引き続き国に強く求めていきたいと思います。
国民健康保険につきましては、いよいよ平成30年度から都道府県単位化の前提で進みます。都道府県がやると悪くなるという話はないと思いますよ。市町村がやっていればよくて、都道府県がやったら悪くなるというのは何か都道府県自身否定されているみたいで嫌なんですけれども、そうではないです。今、京都の場合でも1,300人ぐらいの市町村まであります。そうしたところで保険制度を安定的に維持できるかどうかといったら、将来的に見ると、非常に難しいのではないかと。保険ということを考えれば、もっと大きな財政基盤の中で物事を考えていく必要があるのではないかということで都道府県単位化を推し進めているわけでありますから、改悪とか、そういった話はその制度の中では全く中立であります。
ただ、国に対しても、こうした制度を都道府県が引き受けるようしっかりと国もお金を出すということで、ちょうど全国の法定外の繰入額に相当する3,400億円の公費拡充が実現をすることになりました。ですから、今よりも確実に国費は3,400億円入ってくるわけでありますから、高齢化によって国保自身の支出が増えるということを除きますと、市町村の財政負担の軽減には確実につながるということは間違いないと思います。そして、都道府県単位化後も市町村の政策判断によって法定外繰り入れは可能な仕組みとなっておりまして、市町村が今までどおり国保への財政支援を行えば、需要のほうの変動は別として、需要が一緒であれば保険料は下がるという形になります。
ただ、これからの高齢化時代を踏まえれば、市町村における負担と受益の均衡が図られていかないと、それこそまた大変なことになってまいりますから、赤字が少なくなるような形でしていくということは、これは意味があるというふうに思います。今の負担を抑えることと将来の負担を抑えることとの均衡をどのラインで引くかということが、今、問題になっているんだと思います。
納付金の試算につきましては、平成30年度保険料率の算定に必要な仮係数や200億円を残した国費拡充分の配分方法の提示など、ようやく精度も一定高まってまいりましたから、市町村との調整を経て、今月中にも公表する予定であります。
次に介護保険制度についてでありますけれども、今申しましたように、高齢化が本当にかつてないスピードで進行すると。2025年には、いよいよ団塊の世代が後期高齢者になっていくんだと。そうすれば、介護を要する高齢者がもうどんどん増えていくことは間違いありません。そうした中で介護保険制度をどうやったら維持できるのかということが、今、重要であります。そのためにはやっぱり財源確保が大きな課題でありまして、制度をしっかりと維持できるよう、国の公費負担割合の引き上げや低所得者対策など、国に対して繰り返し要望しているところであります。
また、誰もが介護保険を安心して利用できるよう、京都府といたしましても、地域包括ケア推進機構を設立し、市町村を支えますとともに、低所得者の介護保険料の軽減や保険料の所得に応じた多段階設定の導入促進、社会福祉法人が利用料を軽減した場合に市町村とともに補填などを行って、毎年300億円以上の負担をしているわけであります。
平成30年以降の介護報酬につきましては、地域包括ケアシステムの推進、高齢者の自立支援、重度化防止、専門性に応じた人材の確保などを柱として国において検討が進められておりまして、どちらかというと、今、引き上げの方向が少し出てきているようでありまして、私どもが意見を申し上げてきたことも反映していただけるように、これからさらに努力をしていきたいと思っております。
生活援助サービスの見直し案は高齢者の自立支援などの観点からも検討されておりますけれども、一律に利用回数を制限するのではなくて、認知症やひとり暮らしの方にも配慮して市町村がケアプランの内容を検証するなど、高齢者の実態を十分に踏まえたものとなるよう議論されているところでありまして、私どももそれを求めていきたいと思います。
次に介護人材の担い手不足についてでありますけれども、もう有効求人倍率が1.5倍ですから、今、全ての職種において人材が不足している。3人募集をしても2人しか来ないのが今の状況であります。これをどういうふうに改善していくか。人づくりというものが今ほど重要な点はございません。
その中で、今、介護人材も大変厳しい状況にあります。そして、私どもは、そのためにも事務所の勤務環境の改善や待遇改善を図ることが重要であるというふうに思っております。
介護職員の処遇改善につきましては、介護サービスの根幹はまさにマンパワーでありますので、利用料、保険料だけではなくて、国・府・市町村の税で賄っている介護保険の仕組みの中で適切に措置をしていかなければなりません。これまでから適切な処遇改善が行われるよう強く国への要望を行ってきた結果、今年度、介護職員処遇改善につながる1万円相当のさらなる上乗せがなされまして、府内事業所の93%が加算の届け出をするなど、処遇改善の取り組みを推進しております。また、事業所に対してさまざまな機会に加算の取得を働きかけまして、介護職員の処遇改善に反映されるよう指導を行っておりまして、加算未取得の事業所には処遇改善加算取得促進特別支援事業により、セミナーや個別支援などにより取得に向けた支援を実施しております。
前回の介護報酬改定では、全体としてはマイナスでありますけれども、職員の処遇改善、事業者の経営状況、地域包括ケアの推進等、メリハリをつけたサービス評価の中で、府内の指定事業者数は、改定後、毎年200以上増加しているんです。減っているんじゃない、増加しているんです。ですから、人もいなくなってくるんです。ですから、これから人づくりをどうやっていくのか。これだけ人がいない中で、少子高齢化の中でどれだけのことをやっていくのかというのが今問われているんだというふうにお話をさせていただきたいと思っております。
現在、国においては介護報酬の基準の改定に向けて検討中でありますけれども、介護を必要とする方に質の高いサービスが提供されるよう、国に対してもしっかりと意見を申し上げてまいりたいと考えております。
◯島田敬子議員 御答弁をいただきました。
消費税の増税と社会保障制度改革について、これまでのとおり、「持続可能な制度のために必要です」とか、財政論議に終始されました。私は高齢者の医療費負担増についてもお聞きしたんですけれども、答弁がありませんでした。
財政論の問題でいきますと、安倍政権が4兆円の法人税減税を行って、大企業減税ばらまきを行って、経団連はさらに2兆円を超える法人税減税を求めているのですから、消費税増税分が社会保障に回らないという現実は明らかではないでしょうか。全世代に負担を求めて社会保障をズタズタにする一方、暮らしを破壊する消費税の増税は許されないと指摘をさせていただいております。
75歳以上の医療費負担増、75歳以上の高齢者といいますと、平均所得は82万8,000円。所得がない方もいるのに、この方々に2割に引き上げることになれば、受診抑制に拍車がかかって命が奪われかねないのです。
在宅現場では、既に2割に引き上げられたお年寄りがどういう状況になっているか。今、がんの末期の方も酸素吸入をしながら暮らしているお方など、重症の方が在宅におられるんです。看護師さんの訪問もお医者さんの訪問も2割になったら「もう減らしてくれ」と。このようなことが現実に起こっているわけで、持続可能な制度のためには仕方がないと言われるのは府民の悲鳴に心を寄せることができない知事だと言わなければなりません。
再質問ですけれども、国民健康保険にかかわってでございます。
納付金等の情報公開については今月ということですが、パブリックコメントでは公開がなく、さきの京都府の会議においても公表されませんでした。口頭報告でした。制度がスタートする5ヶ月前でも住民に公表しないのは異常です。
保険料は安くなる見通しとのことですが、激変緩和措置は6年間の時限的措置、3,400億円の支援ですけれども、そもそも協会けんぽ並みの負担を国がするということで知事会は1兆円も要望していたにもかかわらず、不十分であります。それとて先の見通しが立っていないのではありませんか。この点については再度お答えください。
介護保険制度について、生活援助の切り捨て問題に絞ってお聞きしたいと思います。
京丹波の介護施設の方に伺いました。90歳近い認知症のおひとり暮らしの高齢者を往復1時間かけて訪問し、おむつをかえて食事をつくり、薬を飲ませて30分の支援。毎日3回の訪問でやっと暮らしておられるのに、これを減らせと言う、本当に現場の実態がわかっていないとお話をされました。地域包括ケアで医療から介護へと切れ目ない支援どころか、支援が途切れて、高齢者の命が脅かされるのでございます。この現状についてどのようにお考えか、お聞かせをいただきます。先ほど、国に対しては、現在、生活援助の一律の切り捨てにならないようにということで発言をされているようですけれども、改めてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
以上、お答えください。
◯山田啓二知事 再質問にお答えいたします。
国保ですけれども、保険料率の算定に必要な仮係数とか200億円のこうした国費拡充の配分方法、これが決まってこないときちっと計算はできませんので、私どもに文句を言うんじゃなくて、それは国に文句を言っていただきたいなというふうに思います。その中で私どもはしっかりと公表していくことになろうかと思います。
1兆円いかなかったからと話されても、3,400億円取ったわけですよ。それによって市町村の負担を3,400億円分減らすことができるんです。そのことはやっぱり評価されるべきじゃないかなというふうに私は思いますし、大体これが法定外繰入額に相当しておりますので1つの線としてはあったと。ただ、これからもやってくださいということで私どもは妥結していることをしっかりと理解していただけたらありがたいと思います。
消費税に関して言えば、消費税がそっちに回るから上げるんじゃないと言うんじゃなくて、消費税をそっちに回せばと言うんならわかるんですけどね。これから政府は2兆円の政策パッケージを出そうとしているわけですね。そして、その財源としても考えているわけでありますから、まさにそうした財源と歳入と歳出のバランスのことで言えばわかるんですけれども、だから上げるなというのはちょっと理屈にはならないというふうに思います。
それから、介護保険につきましては、先ほども申しましたように、一律の規制にならないように、しっかり実情を踏まえた形でサービスができるようにしてくれということを要望しているところであります。
◯島田敬子議員 国保の問題についてであります。他の都道府県、32の自治体は既に情報公開をしております。本府の事態は、国の仕事は確かに遅いので現場の職員は困られていると思いますが、国民健康保険が府民のためのものであるならば、その問題も情報公開して意見を聞くべきだと指摘をしておきたいというふうに思っております。
3,400億円はちょうど法定外の一般会計繰り入れ、市町村の努力分に相当するとおっしゃっておりますが、今、この法定外の市町村の一般会計繰り入れについても圧力をかけようとしているわけですね。先ほど御答弁がありましたように、市町村の繰り入れについては、これまでの答弁のとおり、市町村の判断であることの徹底と本府自身の努力も求めておきたいし、さらなる国庫負担については定率の国庫負担を求めていただきたいというふうに思います。
介護人材確保の問題でございます。「事業者が増えた」とおっしゃいました。事業者が増えたので結果的に働く人の頭数は増えたのですけれども、非正規雇用が広がっているわけですね。ですから、現場で1万円お給料が上がったと、そうお感じの方は本当に9割もあるのかどうか。これは調査をしていただきたいというふうに思っております。
そして、生活援助の問題です。今、まさに国会あるいは財務省等でも議論されておりますので、先ほどの御答弁のように「一律の規制はあかん」とぜひ求めていただきたいというふうに思っております。指摘、要望をいたしまして次の問題に移ります。
子どもの貧困対策について伺います。
京都府におけるひとり親家庭はこの15年間で2倍に増加し、働く貧困層も15年で2倍となりました。要保護・準要保護児童数は、小中学校で19.3%となっています。小中学校でも高校でも不登校の児童生徒がふえ続け、暴力行為やいじめも高水準で推移しています。本府の児童虐待の相談受理件数は昨年度1,209件と、8年間で3倍になりました。これらは、アベノミクスのもとで非正規雇用が拡大し、社会保障の連続改悪で生活が不安定となり、所得格差が広がり、貧困が増大した結果です。親の暮らしの立て直しが必要であり、8時間働けば普通に暮らせる当たり前の社会への転換がどうしても必要です。その上で、子どもの貧困に正面から向き合い、実効ある対策が必要と考えます。
沖縄県では、知事のリーダーシップのもと、子ども貧困対策を担当する専門部署を置くとともに、子どもの貧困対策計画を策定し進めるに当たって、市町村の協力を得て、相対的貧困の状態に置かれている子どもの割合などをまとめ、貧困が子どもの生活や成長に及ぼす影響についても調査をされました。政府の指標は主に厳しい生活状況に置かれた子どもたち、生活保護世帯や児童養護、ひとり親世帯などの状況把握になっており、全ての子どもの置かれた状況を把握できるものではないとして独自の調査を実施されたのです。その取り組みの中で行政が貧困対策の必要性を再確認するとともに、県民にも知らせ、社会全体でこの問題を解決しようと取り組まれてきました。
2回目は、高校生対象の調査も実施いたしました。実態調査の結果、電気代、水道代が払えない家庭も多く、困窮世帯の高校生の47.1%がアルバイトをしていること、貧困世帯の4人に1人が就学援助制度を知らされていなかったことが明らかになり、就学援助制度の周知徹底をテレビ放送のコマーシャルで行うなどの努力が行われました。さらに、2016年から2021年までの6年間で30億円の基金をつくり、中学校入学予定者の住民税非課税世帯を対象にした「入学応援給付金」や、経済的理由で大学進学を諦めなくてもよい「子どもに寄り添う給付型奨学金」などが創設されました。
そこで伺います。
子どもの貧困実態調査については、本府も子どもの貧困対策推進計画を策定され、実態調査や研究を行うこととされております。ひとり親世代や困窮世帯の調査にとどまらず、より広く隠れた子どもの貧困の現状を把握し、可視化することが必要です。京都府独自の調査を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
その上で、1つ目に子育て支援医療助成制度の拡充について伺います。
11月26日には子どもの医療費無料制度を求める集会が持たれ、医療や学校、保育の現場、保護者から深刻な実態が報告されました。養護教諭からは「500人規模の学校で1日20人から30人の子どもたちが保健室に来る」「朝から熱があったが、お母さんに言えなかった」「眼鏡の購入や虫歯の治療が放置されている事例がある」と発言されました。歯医者さんからは、市内の小学校189校で、虫歯が11本以上あってそしゃくができない、いわゆる口腔崩壊の子どもが663人もあったということです。
京都市内の保育園、小児科のある医療機関の協力で行った子どもの健康・暮らしのアンケートに答えた1,218人のまとめでは、「病院に受診しなかった」「治療を中断した」と224人、18%の人が答え、そのうち51人が「お金がないから」と答えたのです。「3歳になって通院負担が上がったので、月をまたいだときは少し我慢をさせた。結果、病気が悪化して救急車で運ばれることになった。逆に高額を支払うはめになった」あるいは「子どもの人数が多いと、上限があっても負担は重く、状態がひどくならないと病院に行きにくい」などの切実な声がありました。アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患や慢性疾患は継続的な治療が必要であり、発達障害のある子どもさんも大きな負担になっています。また、「『府民だより』にトップクラスの制度と書いてあるが、誇大広告ではないか。せめて就学前まで3,000円の負担をなくしてほしい」「住んでいる地域で違うのはおかしい」という声など、中学校卒業まで完全無料化を求める声は94%に上りました。
京都府の制度と同じ京都市は、2歳児まで通院200円で済んだ医療費が3歳になったら上限3,000円と、15倍にはね上がるのです。通院の窓口負担無料の願いは、14年間も2歳児までで据え置かれたままであります。京都府は、あと27億円あれば中学校卒業まで通院も無料化できるとの試算も示されております。京都市との協議を行って、府の制度を通院も中学校卒業まで無料化すべきです。いかがでしょうか。
2つ目は、学校給食についてです。
貧困世帯が急増する中、まともな食事は学校給食だけという子どもたちが増えています。
新潟県立大学の村山伸子教授らが世帯年収による栄養格差の調査を行いました。その結果、給食のない日はタンパク質や鉄の栄養素が足りないということ、貧困層の子どもは筋肉や内臓、骨の成長には不可欠な栄養素が不足し、免疫力が低下し、風邪を引きやすい、貧血を起こしやすいなど、目には見えづらい不調が出ているという結果でございました。学校給食のある日は世帯年収による栄養格差がなくなりました。学校給食は子どもの食のセーフティネットの役割を果たしていることを裏づける結果となりました。
さて、八幡市では2017年5月1日から親子方式で4つの市内全ての中学校で開始されました。みんなそろって温かな学校給食を食べ、不登校の子どもが学校に来るようになったそうです。
一方、京都市では注文制によるデリバリー弁当の中学校給食が導入されておりますが、利用している子どもは3割程度にとどまり、就学援助率は中学生で25%になっていますが、その子どもたちの半数が利用していません。コンビニのパンやおにぎりで済ませる子どもたちもいます。また、選択制の中学校給食ではアレルギー除去食はありません。
こうした中、新日本婦人の会京都府本部がアンケートに取り組まれ、775人の保護者のうち、中学校給食は選択制ではなく全員制にすべきとの回答が87%、小学校と同じような給食を希望する声が97%もありました。
現在、向日市、長岡京市、大山崎町、宇治市などにおいて検討が始まっております。全ての市町村で中学校給食が実現できるよう、施設整備の要望や栄養教諭の配置など、市町村の要望に応える必要があります。
また、学校給食費の無償化が全国の自治体に広がり、現在83市町村に広がっています。本府では伊根町や笠置町で無償化が実施され、井手町では来年度開始する方向です。京都府の責任で全ての市町村で実現できるよう、財政支援を含めて検討を進めるよう求めますが、いかがでしょうか。お答えください。
◯山田啓二知事 子どもの貧困対策の抜本的強化についてでありますけれども、子どもの貧困実態調査につきましては、京都府では真に支援が必要な要保護世帯や準要保護世帯などの小学校6年生、中学校3年生、約1,200人に対して経年的に生活や学習の状況を把握しており、規則正しい就寝・起床や朝食の摂取等の生活習慣や、学習環境が学校の成績に影響を与え、また全日制の高校進学率が低いといったような結果が出ております。これに加えまして、昨年度は、2世帯に1世帯が貧困世帯と言われるひとり親世帯を対象に、母子・父子世帯実態調査を実施いたしまして、夕食では小中学生の約40人に1人が子どもだけで食事をしている、いわゆる孤食の実態ですとか、子育ての支援者が周囲にいないほど生活に対する満足度が低いといったような状況を明らかにしてきたところであります。
こうした結果を踏まえまして、政令市を抱える都道府県の中でもトップクラスの第3子以降保育料無償化事業や、これはもう全国トップだと思うんですけれども、トップクラスの私立高校の授業料の減免措置、あんしん修学支援事業など、引き続き経済支援に取り組んでいるところでありまして、多分沖縄にはこの制度はないと思いますね。
平成29年度から新たに、子ども食堂を初めとして、居場所、地域未来塾などの地域の実情に応じた多様な支援拠点「こどもの城」の整備・運営への支援、そして家庭教育支援員とまなび・生活アドバイザーが連携して地域で子どもを支えていく訪問型の家庭教育支援など、子どもの生活習慣の確立ですとか、学習習慣の定着に向けて取り組みを進めているところであります。
今後とも、こうした実態を踏まえながら、全ての子どもが生まれ育った環境に左右されることなく、将来の可能性に挑戦できる共生社会の実現に向けて、思い切った子どもの貧困対策を講じていきたいと考えているところであります。
子ども医療費助成制度についてでありますけれども、見ていただくとわかるんですけれども、この制度は間違いなく、全国トップクラスの制度になっております。その中で府の役割というのは制度の基礎となる部分をつくることでありまして、その上で各市町村が、地域の実情に応じて、政策判断により独自の措置を講じられている。先ほど国民健康保険のときは一律の保険料ではなくて市町村の法定外繰り入れを認めろというお話で、今回は「いや、一律にしろ」という話なのでどっちなのかなという感じがするんですけれども、私はやっぱり、それぞれの地域に応じて市町村が上乗せをするということは市町村自治の上からは当然のことでありまして、京都府はその基礎の部分をつくっていくという形が一番正しいのではないかなというふうに思っているところであります。
そうした中で京都府も約20億円投入して、この制度を守っているのが実情でありますけれども、国に対しましても、子ども医療費助成に伴う国保のペナルティ、こんなことをまだやっているということで廃止を強く求め、就学前までの減額廃止は実現できたんですけれども、まだ就学期以降やっていますので、これはぜひとも撤廃させていきたいなというふうに思っておりまして、ナショナルミニマムとしての子育て医療の制度化を強く求めているところであります。
この問題の少子化対策の充実につきましては、先月9日に開催しました門川京都市長との懇談会におきましても、子育て支援医療費の拡充に向けた協議の場を持つことで合意をいたしましたところであります。改善に終わりはないというふうに思っておりまして、今後、他の市町村も含め、引き続き連携しながら検討を進めてまいりたいと考えているところであります。
◯橋本幸三 教育長 島田議員の御質問にお答えいたします。
学校給食についてでありますが、法令により施設整備や運営は市町村が担うこととされており、府教育委員会では、こうした制度の枠組みのもと、市町村からの要望に基づき、国に要望するなどの対応に努めているところでございます。今後とも、こうした対応を通じて市町村を支援してまいりたいと考えております。
また、法令で保護者の負担とされている給食費につきましては、経済的に厳しい状況にある保護者にはその全額または一部を補助する仕組みが制度化されております。その上で、学校の設置者である市町村の判断により独自に無償化を実施されている場合がありますが、これを全ての市町村一律に無償化を実施するというのであれば、全体としての給付と負担のあり方の問題になりますので、ナショナルミニマムの観点から、国において判断すべき問題であると考えております。
◯島田敬子議員 子どもの貧困実態調査について、沖縄県の調査のように、いろいろ施策をやっているけれども届いていないということなども含めて、広く隠れた貧困も調査をする必要があります。国と同じような貧困世帯、それに焦点を当てたものは大事なんですけれども、それをさらに広げて、そして本府の施策、「あれもやった、これもやった」とおっしゃるけれども、それが届いているのかということを調査していただきたいというふうに思っているわけです。そして、その経過の中で、市町村の協力も得ながら、みんなの共通認識にして府民全体で応援していく、こういうことを私は求めているわけです。
子育て支援医療助成制度について、京都市と協議をすることとなったと言うんですが、これまではしなかったのでしょうか。もしされているのであれば、ネックは何なのか、お聞かせをいただきたいというふうに思っております。
2009年から中学校卒業まで完全無料化した群馬県では、小中学生の虫歯の治癒率が全国平均を10%も大きく上回って改善をいたしました。京都の子どもたちの中で、口腔崩壊など、深刻な健康被害が広がっているんです。緊急課題であります。京都市とのこれまでの検討結果を、この際お聞かせをいただきたいというふうに思います。
中学校給食の問題については、市町村の問題として、まさに京都府の重要課題として位置づけ、市町村を支援していただきたいと思います。直ちに無償化までとは言いませんが、いろいろと軽減措置なり検討がずっと広がっておりますので、国にナショナルミニマムを要望されるのであれば、京都府全体の底上げのために教育委員会は頑張って取り組んでいただきたい。これは要望にとどめておきたいと思います。
◯山田啓二知事 まず、これまでから京都市とは何度も協議を続けてきて、それで4度にもわたって改善をしてきたわけです。ですから、その中でまたさらにこれから進めようという合意を得ただけですので、ずっと改善はしてきているのであります。そのことは御理解いただきたいと思います。
口腔崩壊の件は、フッ素の選定とか、こういうことをやっておりますので、今、その点では順調に進んでいるけれども、さらにこれを増していかなければならないというふうに考えております。
◯島田敬子議員 知事が前回再選されました後に中学校卒業まで確かに引き上げられましたが、先ほど言いましたように、通院は2歳児までにとどまっているんですね。さらなる改善が必要であると言うのであれば京都市と早急に検討を進めて、3,000円の負担が大きなネックとなっておりますので、「トップクラスというのは誇大広告」という母親の指摘はそのとおりだと思いますので、知事は選挙公約で中学校卒業まで拡充すると約束されたわけですから、完全実施を行うよう強く求めておきたいというふうに思っております。
次に、安心して住み続けられる地域づくりのために公共事業のあり方そのものの見直しが必要との観点から伺います。
この間、台風18号、台風21号が府域に甚大な被害をもたらしました。この間、土木事務所や建設業者などに現状を伺いました。現場からは、「台風23号と比べ、時間当たりの雨量は今回のほうが多いが、堤防整備など事業を実施したところで被害が減少し、河川改修の効果は本当に大きい」との声が出されました。京丹後6町だけでも被害河川は450ヶ所、氾濫した主要河川は21河川に上ります。
京丹後市の福田川は平成13年に整備方針が策定されましたが、完成目標は平成47年度です。事業は遅々として進まず、河川整備のおくれを見てきた住民からは「2004年の台風23号以来、浸水被害は5度目」「もう3回も被災した。10年以上前から要望しているのに遅々として進まない。合併してから一層行政に住民の声が届かなくなった」との怒りの声が出されております。
知事が就任以降の投資的経費を見ますと、平成14年から平成28年の間に494億円の減額となっております。京都府管理河川の整備率は全国ワースト6位であり、いわゆる時間雨量50mlに対応できる整備が完成した整備区間は全体で36%と、平成8年末から20年たってもわずかに3%増えただけであります。また、急傾斜地崩壊危険箇所、土石流危険渓流地域、地すべり危険箇所では、京丹後市で合わせて1,800ヶ所、土木事務所管内では合計3,000ヶ所にも上りますが、事業完了箇所は1年に1ヶ所というテンポでございます。
京都府の来年度の国への政策提案書の中で、京都府の管理河川の整備率は全国的に見ても低いこと、治水事業予算は通常分で平成7年度約133億円から37億円へ28%に激減していること、土砂災害危険箇所の整備率も17.4%と言われております。道路橋梁費も毎年減少の一途です。
そこで伺います。
公共事業は、大型開発優先ではなく、生活密着の公共事業優先に切りかえるべきです。府民の命を守るためにも、河川整備や道路整備、土砂災害危険箇所の対策など整備計画や実施計画の前倒しを含めた抜本的な対策と、それにふさわしい予算を最優先で確保すべきと考えますが、いかがでしょうか。
災害復旧に深刻な影響を及ぼしているのが人材不足です。土木事務所の再編統合で10年に122人も職員が減らされました。さらに、京丹後市では、台風23号当時20名いた建設土木の技術職員が現在8名に激減しています。京都府も京丹後市も市町村合併や行財政改革で人員削減を進めてきた結果です。また、振興局の再編で振興局は峰山に、土木事務所は宮津にと離れているために情報交換がとりにくく、広大な面積を抱える丹後半島で土木事務所が丹後の中心にないことから、現場に行くのに時間がかかり、久美浜などでの緊急対応時に現場まで1時間で行けない事態となっております。
今回の台風では、台風23号の教訓を生かし、情報伝達や豪雨時の交通規制の対策を強化されました。夕方4時から翌日の夕方まで土木事務所の職員が24時間寝ずの番で頑張っていただき、住民の命を守っていただきました。
そこで伺います。
ハード・ソフトの対策の両面から、土木事務所の職員の増員と、機動的に対処できるよう、振興局のあり方を含め、土木事務所の再配置を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、地域の土木建設業者は、災害時における緊急対応など、住民の命を守る重要な役割を果たしていただいております。府北部地域では減少の一途で、丹後管内では建設業が10年間に4割に減少し、これ以上業者が減れば災害の緊急対応ができない危機的状況だと訴えられました。
京都府統計書でも建設・土木事業者は2001年と2015年比で2割も減少し、うち個人事業所では約6割となるなど、減少が顕著です。建設工事等の公共調達に「安ければいい」ということで競争入札を重視する施策がとられた結果、地元の中小企業が入札に参加できない、あるいは地域外の大手が受注していく、さらにはコスト削減競争やくじ引き入札の横行の中で安定的な仕事を受注できない状況が広がっております。
神奈川県では、2015年の入札改革で、住民の命は経済効率より上だとして「いのち貢献度指名競争入札」制度を創設いたしました。重機を持って災害時に駆けつけてくれる地元建設業者を指名し、入札時に加点する政策であります。
そこで伺います。
仕事の安定的な発注や計画的な公共事業量の確保など地元建設者の仕事をつくり、育成するために神奈川県の取り組みなども参考にした入札制度改革が必要と考えますが、いかがでしょうか。
また、人材確保のために最大の課題は賃金の引き上げです。全京都建築労働組合の賃金アンケート調査では、建設労働者の設計労務単価がこの5年間で30.5%引き上げられたのに対し、労働者賃金で2%、一人親方では4%しか増えておりません。労働者平均賃金で、日給で言いますと、民間で477円、公共事業では634円も下がっています。設計労務単価がダイレクトに反映されるべき公共事業でこの結果となるのは重大です。建設労働者の平均年収は359万円で、全産業労働者の552万円と比べて193万円の開きがあります。設計労務単価並みの賃金引き上げを行えば562万5,000円となって、他産業の水準に達するのです。全国で19の自治体で賃金下限規定のある公契約条例を実施し、公共工事で設計労務単価の9割以上などと指定する自治体もあり、こうした地域では賃金が確実に上がっております。公務公共サービスを進める自治体が労働の質に見合った賃金を設定し、それを社会に知らせる、その決意を示すためにも公契約条例の制定がどうしても必要です。いかがでしょうか。
さらに、非常時だけではなく、それに備えながら、平時から地域経済や住民の暮らしを担う中小企業、小規模企業を育成することが重要です。中小企業地域経済振興基本条例は185自治体、都道府県のほとんどのところで制定されました。国において小規模企業基本法の制定を受けて、神奈川県は全都道府県へのアンケート調査を実施され、審議会での十分な議論を行って、県の責務、大企業の責務などの規定を設けました。長野県は、「中小企業者が供給する原材料、製品及びサービスの利用並びに中小企業者への技術支援等を行う役割を果たすよう努めるものとする」なども規定いたしました。金融機関の役割を明記する自治体も広がっております。
ところが、京都府の応援条例は、県の責務、大企業者の責務・役割、大学等の責務・役割、県民の理解・協力、市町村の役割、金融機関等の役割・配慮等の項目について何も記載されていないことが他府県の見直しの議論の中で指摘をされております。応援条例は補助金のための政策条例であり、中小企業地域振興基本条例とは言いがたいものであります。
実際、京都府の中小企業応援条例の見直しのために開催された検討会議では、「応援条例はみずから積極的に頑張ろうとする企業だけを応援する条例だ」「自分のところとは関係ない制度と考える事業所が大半」「中小企業応援隊は280人いる全てが元気印認定に精通しているわけではなく、企業訪問に行った職員が担当外なら元気印認定が周知されないこともある」等の声が出されております。
これに示されるように、この条例に基づく施策で恩恵を受けるのはごく一部の力のある企業だけであります。今、必要なのは、地域経済全体の底上げを図り地域を元気にしていく、そのための産業政策であり、長期的な視野を持った計画を立て、地道に取り組んでいくことです。それらの根底となる理念を明確にし、さきに述べた県や大企業等の責務規定を設け、小規模企業も含めた中小企業地域振興基本条例が必要と考えますが、いかがでしょうか。
◯山田啓二知事 公共事業のあり方についてでありますが、これまでから府民の命を守り、安心・安全に不可欠な災害対策のための河川整備や土砂災害対策、緊急輸送道路の強化、公共施設の耐震対策などの防災基盤づくりについて計画的に進めてまいりました。
しかし、防災事業というのは一朝一夕で完成するものではありません。先ほどお話がありましたように、由良川の事業、これは国の事業として大きな予算が投じられております。そして、私どもはその3分の1を負担させていただいております。そうした事業ができないと、またこれは違うところで大きな被害が出る。
例えば桂川の亀岡保津工区では、昭和50年の計画策定以降、整備を進めているんですけれども、下流の直轄事業の進捗に合わせた計画的な投資が必要なため、まず大下津の引堤工事、そして嵐山地区の河道改修などを集中的に進めないと、今度は嵐山や下流が氾濫をしてしまうという状況。
こういう形で長期的な見通しを持って計画的にやっていくということが大変大切なわけであります。ですから、呑龍トンネルもまさにそうした中で計画的にきちっとやってきたわけでありまして、ようやく共産党の皆さんも反対から賛成に転じていただいたわけでありますけれども、こういう長い時間をかけて初めてやっていく事業、そして同時に短期的な対策をうまく組み合わせていくことによって安心を保っていかなければならないと思います。
今年も台風18号、21号と連続して大きな被害を受けました。その対策について、復旧や予防などの恒久対策、特に舞鶴の高野川周辺では、今、舞鶴市と合意して、これは長期間にわたってやっていかなければなりません。しかしながら、当面の応急対策については本議会において排水ポンプ車2台を配備するための債務負担行為をお願いしているというように、こういう組み合わせが大切であります。
もともと公共事業は京都府は非常に低い水準でありましたけれども、林田知事、そして荒巻知事と私とでその水準を一生懸命上げてきたところであることも御理解いただきたいと思いますし、そうした中、特に国の予算が大幅に削減された中で、私ども、補助事業はどちらかというと増えているんです。単独事業は増えているんですけれども、そうした中でこうした問題が起きているということも御理解いただけたらなというふうに思います。
今後とも、安心・安全につながる防災基盤についてはしっかりとした見通しを持ち、整備が着実に進むよう優先的に取り組んでまいりたいと思います。
土木事務所の体制につきましては、平成16年度の振興局再編において、災害対応の中で中心的に役割を担う土木事務所は、中規模再編として集約化、拠点化することにより専門性、機動性を発揮し、非常時に職員を集中して動員できる体制としたところであります。今回の台風18号や21号におきましても、休日夜間における警戒や通行規制など、迅速な対応をとり、大きな人的被害を出すことなく対応できました。これまで、災害対応を初め、公共事業執行の体制確保については、重点化を図る中で、土木事務所の技術職員は、3年連続、災害前と比較して13名の増員を行ってきたところでありまして、来年度の技術職員の確保につきましても、初級土木職の採用や総合土木職の2回目の試験を実施するなど、充実に努めているところであります。
過去の台風災害等において本庁、土木事務所からの応援体制も確保しておりまして、今後とも適正配置による効果的で効率的な執行体制の構築に努めてまいりたいと考えております。
次に地元建設企業育成のための入札契約制度についてでありますけれども、地元の建設企業は、先日の台風18号や21号による被災箇所の応急復旧や孤立解消に昼夜を分かたず最前線で活動いただき、地域の安心安全の守り手として府民の生活を支えていただいております。
しかし、北部地域に限らず、従事者の高齢化、後継者不足。本当に、人手不足はこの分野でも大変大きなものになってきております。地域建設業の存続が大きな課題となっております。
こうした中、担い手確保と維持育成に向けて重要なのは、一つは建設業が将来に見通しが立てられる事業となるよう安定的で継続的な事業の確保、そして担い手確保のための賃金や就労環境の改善、さらには地元貢献度等の適正な評価。インセンティブですね。こうしたことが必要になってくると思います。
このため、まずはインフラ長寿命化に係る予算や国の補正予算等とも組み合わせながら計画的に安定した公共事業の確保に取り組みますとともに、労務単価の引き上げですとか債務負担行為予算を活用して、施工時期の平準化、適切な工期確保に取り組んでいるところであります。特に地元貢献度の評価につきましては、府の入札契約制度におきましても、神奈川県で実施しております災害協定の締結、優良工事の施工実績、建設機械の保有などの評価への反映は既に総合評価競争入札によって盛り込んでおります。さらに、府内企業による下請、府内産資材の活用など、地域経済への貢献や除雪実績などの地域の安心安全の貢献も評価をしているところであります。
次に、公契約条例についてであります。
これまでから答弁を繰り返しているんですけれども、賃金の問題につきましては、公契約のみならず、私契約も含めた統一的な見解が必要だというふうに思っております。そうしたナショナルミニマムで対応しないと、今の人手不足の時代でまさに今度は民間を圧迫することになりかねない。私は、両方上げていく施策が必要なんだと思います。
なお、設計労務単価については、毎年10月に国と都道府県、政令市などの発注事業者が全国一斉に、下請も含めた事業者に対し、賃金台帳等により賃金の支払い実態を調査した上で設定をしております。調査の結果、実勢賃金が上昇したため、平成24年度に比べて3割の引き上げを行ってまいりました。
府としても、賃金の引き上げについては、京都府建設業協会など建設関係団体に対し、下請を含む労働者の適正な賃金の確保について会員企業への周知徹底を依頼しているところであります。また、落札率が低く、下請企業へのしわ寄せが懸念される工事につきましては、中間検査と完成検査時に下請契約書の妥当性や労働者への賃金支払い状況についても確認を行っているところであります。
今後も建設業における担い手の確保や地元建設企業の維持育成を目指して安定的な予算確保を国に要望いたしますとともに、公契約大綱に基づき、公正な競争と地域経済への配慮、安心・安全の確保のバランスをとりながら、関係業界等の意見もお聞きし、入札契約制度の改善を進めていきたいと思います。
次に、中小企業振興基本条例についてであります。
中小企業の振興策の基本方針を目的として平成19年に条例を制定し、平成24年度、平成29年度に情勢の変化に応じた改正を行い、全会一致で御承認をいただいたんですけれども、この改正を通じて、中小企業応援隊の伴走によるきめ細かな支援を基本に、中小企業の置かれた状況に応じた総合的な支援を行う。「エコノミックガーデニング」と呼んでいますけれども、こうした基本理念を盛り込み、さらに長期的視点に立って中小企業の安定的経営等を支えられるよう中小企業応援隊の規定を恒久化するなど、基本条例としての要件をしっかり整備してまいりました。京都府の責務についても研究開発、設備投資、販路の拡大、その他多様な取り組みに対して総合的に支援することと責務を明確にし、民間についても府と緊密な連携のもと経営相談等を実施することとしており、それぞれの役割を明記しているところであります。
こうした中で、応援隊は年間2万3,000社を訪問するなど、まさに地道な取り組みを通じて現場から生の声を吸い上げ、経営課題の解決に向けてサポートを実施しております。補助金におきましても、中小企業知恵の経営ステップアップ事業、エコノミックガーデニング支援強化事業に加え、補正予算も含めると過去3年間で約4,900社に56億円を超える助成を行うなど、中小企業を幅広く支援しているところであります。
そうした面では議員御指摘の件につきましては既に対応しておりまして、今後も引き続き、この条例のもと、効果的な中小企業施策に取り組んでまいりたいと思います
◯島田敬子議員 公共事業のあり方でございます。国から内示額もおろされないということで、本当にお困りだというふうに思います。国も地方自治体においても、大型開発優先ではなくて生活密着型の公共事業をふやす、この方向に転換が必要だと言っているんです。連続した台風災害で100億円も復旧や生活再建に補正を組まなければならなくなりました。知事は5日の定例記者会見で「予防が大事なんだ」とおっしゃいましたが、災害を予防する、最小限にするために国においても京都府においても、リニア新幹線とか北陸新幹線とか、大型開発優先は立ちどまって考えて、生活密着型の公共事業への転換が必要と指摘をしております。
土木事務所の職員について12人ふやされたと。それは歓迎をいたします。私どももずっと予算要望もしてまいりました。だけれども、振興局と土木事務所が離れているとか、その現場に合わない。先ほど適切、効果的な措置だとおっしゃいましたけれども、この問題は現状に合わないというふうに思っているんですよ。現場の声を聞いて検討を進めますが、この点について再度お聞かせをいただきたいと思います。
労働者の賃金引き上げ、公契約条例の問題ですが、「民間企業を圧迫する」とこれまで答弁を繰り返されました。先ほどおっしゃったように、民間企業も公契約のもとでの公共事業も両方上げると。そのために条例が次々と広がっているわけでありますね。
岩手県では、建設労働者の平均賃金の伸び悩み、労働災害の増加など環境変化の中で、公契約に従事する労働者の賃金、労働条件の基準を盛り込むことで労働者の適正な労働条件の確保や公共サービスの安定的供給、質の確保を図ろうとすることが必要と、条例を制定されております。相模原市では、公契約条例の最低賃金を審議いたしまして、時給1,000円以上とする答申案がまとめられました。来年4月から業務委託賃金の最低賃金1,000円へ大きく動き出しているんですね。これらに学んで、業界団体の皆さんと労働者の皆さんと、それこそ一緒に協議をしながら条例制定へと御努力いただきたいというふうに思っております。
中小企業地域振興基本条例については、先ほど何度も指摘をいたしましたので繰り返しません。思考停止するのではなく、どんどんと進化する他府県にも学んで検討をお願いしたい。これも要望にとどめておきます。
◯山田啓二知事 土木事務所の体制でありますけれども、本当に、この10数年を見ても、高速道路体系が充実して道路整備が進み、また通信網も発達しているわけなんです。そうした時代においては、明らかに効率・効果的な体制をつくっていくというのは当たり前の話であります。そして、その体制の中でこの前も非常に機動的に動いていただきまして、大きな人的被害を出すこともなく終えることができました。今後とも効果的、効率的な体制をしっかりと続けていきたいと思います。
◯島田敬子議員 御答弁をいただきました。効果的だと。確かに、高速道路ができて、資材の運搬などでは便利になったと。すぐ着くようになったと。ところが、人はその現場ですぐ対応しなければいけませんので、これは振興局再編、そして土木事務所の人員増もあわせて引き続き検討をいただきたい、現場の声に応えていただきたいと。これは要望をしておきます。
次に、府立高校再編問題について伺います。
今年3月、府教育委員会は、丹後地域の府立高校について、14km離れた加悦谷高校と宮津高校、20km離れた久美浜高校と網野高校を統合し、現在の校舎を活用する学舎制を平成32年4月に開校すること、伊根分校、間人分校を廃止し弥栄分校に統合するなど、丹後・与謝地域の分校を含む府立高校9校を5校に減らすことを決定いたしました。
丹後通学圏は広域で公共交通が不便なために、時間の面でも交通費負担の面でも大変苦労をして高校へ通っておられます。府教育委員会が行った公聴会、保護者懇談会、保護者アンケートの結果、一番希望が多かったのは本校継続、普通科の充実であったにもかかわらず、結論ありきで方針を決定したことは重大です。決定後、2度にわたって丹後・与謝の保護者や住民から府教育委員会に対し、「子どもたち、地域の未来にかかわる大事な問題」「丁寧に声を聞いて検討してください」と要望署名1,365筆と再編統合反対のアピール署名359筆が届けられております。
11月10日の定例教育委員会において府教育委員会が報告した府立高校改革検討状況では、弥栄校地に統合される新たな分校が1学年90人定員、4年または3年で卒業可能な単位制の昼間定時制の総合学科とするというものです。現在、3分校は、1学年40人定員の小規模校で、生徒一人一人の個性に応じた支援や丁寧な指導ができるよう必要な教職員が配置され、じっくり学びたい生徒のニーズに応えております。今回の機械的な分校統廃合でこのような各校のよさを継承・発展できるのでしょうか。この問題は、保護者アンケートも行われず、具体的な説明も意見を聞く場も設けられておりません。問答無用で分校統廃合を強行することは許されません。また、伊根地域の生徒たちが弥栄分校地に通学が可能と考えておられるのでしょうか。この際、お聞かせください。
あわせて、京都府教育委員会は、学舎制に合わせて久美浜高校の総合学科を廃止し、農業科単独とすることも検討しています。久美浜地域の皆さんからは「農業科単独になれば普通科教育を望む地元の生徒が通えない。久美浜高校に普通科設置を」との要望が上がっています。久美浜学舎をなぜ農業科単科とするのか、また丹後地域で農業科を希望する生徒が何人いると見込んでいるのか、お答えください。
統廃合については一旦白紙に戻し、生徒、保護者、住民の声を聞くことが必要と思います。いかがですか。
府教育委員会が報告した2つ目は、口丹地域の北桑田高校と須知高校のあり方についてです。検討会議は終了し、今後はあり方懇談会を開催し、口丹全体として議論した上で年度内に方向性を決定するというものです。検討会議では両校とも単独校として存続する校長案が示され、議論が行われました。
北桑田高校美山分校については、自然豊かな美山で働きながらじっくり学ぶことができる分校の果たしている役割が確認されたものの、「場所については口丹全体で議論が必要」と、移転検討が報告されました。しかし、丹後通学圏とは違い、保護者や生徒、地域住民に向けた説明会、アンケートは一切行っておられません。高校の存続は地域づくりのかなめです。生徒、保護者、住民への説明会を開き、丁寧に意見を聞いて反映するのが当然と考えますが、いかがですか。お答えください。
◯橋本幸三 教育長 府立高校のあり方についてでありますが、丹後地域の分校は、もともと本校から遠く、本校への通学が難しい子どもが働きながら修学できるように設置をしてきたものでありますが、現在ではじっくりと落ちついて学ぶことができる教育の場に変化をしてきており、遠方から通学する生徒も増加しております。
分校のあり方につきましては、こうしたニーズの変化に的確に対応するため、充実した教育環境のもとでより柔軟に学ぶことができる新しいスタイルの高校を新設することとし、この間、懇話会や公聴会などで考え方を説明し、御意見を伺った上で、本年3月、府教育委員会においてその方針を決定したところでございます。現在、3分校それぞれのよさを継承・発展できるよう、各分校の意見も聞きながら、新しい高校の教育内容などにつきまして検討を進めているところであります。
なお、御指摘のありました通学面につきましても、公共交通機関への働きかけなどをしながら、通学条件がよくなるよう努力をしてまいります。
また、学舎制を導入する高校の学科についてでありますが、先ほど久美浜高校について決定したような御質問の内容だったかなというふうに思いますが、これにつきましては現在各校で検討いただいているところでありまして、今年度中に学科を決定し、お示しをしていきたいと考えております。
次に、口丹地域におきましては、これまで個別の高校ごとに検討会議を開催し、PTAの皆様を含め、地域の方々から多くの御意見をいただいてきたところでありまして、今後、口丹地域全体での会議を改めて開催し、広く関係の皆様から御意見をいただきたいと考えております。この会議での議論等も踏まえながら、今年度中には北桑田高校と須知高校を含めた口丹地域の府立高校の今後のあり方について教育委員会としてお示しをしていきたいと考えております。
◯島田敬子議員 高校統廃合についてです。地域からは小学校も中学校もなくなる、高校までなくなるとは本当に地域の衰退にかかわる大問題。地域の宝、地域が育てた高校についての話を住民にちゃんと説明もせず進めるやり方がおかしいと言っているんです。分校の統合について、保護者の思いは「人前に出ることや話すことが苦手な息子ですが、少人数だからこそ学級活動に参加し、友達ができ、高校生活の中で大きく成長しています。人数が少なくてもよいこともある。小さな学校を残してほしい」というものです。統合して1学年90人と規模が大きくなれば、これまで分校が培ってきた小規模校のよさが発揮できません。一人の生徒も切り捨ては絶対に許されません。
久美浜高校について、地元久美浜の保護者、住民の願いは「遠くへ通わずとも地元の高校で大学進学も目指せるように学校規模が小さくても単独校として残し、普通科教育を充実してほしい」というものでございます。教育の目的は人格の完成を目指すことであり、高校はまちづくりのかなめです。生徒や保護者、住民、教職員の声をよく聞き、小規模校の条件も生かして一人一人を伸ばす教育充実への支援を要望して次の質問に移りたいというふうに思います。
次に、憲法9条改悪に反対し、平和と府民の安全を守る課題についてです。
第1に、核兵器の禁止・廃絶の動きについてです。
本年7月の核兵器禁止条約の採択に続き、先日、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞されると発表されました。これらの動きは世界中の市民の運動の結果として達成されたものであり、核兵器廃絶の動きは国際的に新しい局面を迎えました。
しかし、この動きに対して安倍首相も政府も沈黙を続けています。唯一の戦争被曝国の首相として、これは国際的な動向に逆行するものです。知事は、「ヒバクシャ国際署名」に署名をされました。さらに日本政府に核兵器禁止条約へ参加し、批准することを強く求めていただきたいと考えます。いかがでしょうか。
第2に、憲法9条改正についてです。
安倍政権は、早ければ来年の通常国会にも改憲の発議を狙っています。憲法9条に自衛隊を書き込むことで違憲立法であった安保法制を正当化し、自衛隊が海外での米国の戦争に本格的に参戦することに道を開くことになります。戦争をする国など絶対に認めるわけにはいきません。現在、有馬頼底氏や梅原猛氏、瀬戸内寂聴氏や浜矩子氏、ノーベル賞学者の益川敏英氏など京都や全国の著名人19氏の皆さんの呼びかけで、安倍政権のもとでの憲法改正を許さないという3,000万署名が取り組まれ、平和を願う世論が大きく広がっております。
ところが、これらの願いに反して改憲のスピードアップの役割を果たしているのが山田知事です。10月26日、「国と地方の協議の場」で、山田知事が「憲法改正の議論の中に地方自治の位置づけをしっかりと」と述べたことに対して、安倍首相はこれを歓迎し、改憲に意欲を見せたと報じられております。
京都憲法会議事務局長で京都学園大学の木藤伸一朗教授は、「知事会としては地方自治の権限拡大が狙いだが、12年発表の自民党の改憲草案ではむしろ地方の権限や財源まで縮小するような案を示している。国政選挙でも基地建設反対派が圧勝する中、政府が沖縄・辺野古への基地建設を強行するなど、沖縄県で行われていることはまさに地方自治の否定です」と述べておられます。
安倍政権の最大の狙いは、憲法9条改悪です。山田知事を代表とする全国知事会の動きは早期の明文改憲を推進することになると考えますが、いかがでしょうか。
次に、経ヶ岬のレーダー基地についてです。
北朝鮮ミサイル開発と並行して、防衛省は自衛隊基地の拡張を進め、さらに米軍基地拡張の2期工事に着手しています。住民の間では防空壕や核シェルターが欲しいなどの声が出るほど緊張が高まっています。
9月、10月、11月と連続して米軍属の交通事故が発生いたしました。対向車をよけ切れずに電柱にぶつかる事故や丹海バスとの接触事故など、まかり間違えば重大事故になりかねないものです。
9月議会で知事は「非常に誠意のある対応をしてもらっている」と述べ、福知山の自衛隊射撃場において近隣の正明寺自治会への事前の通告もせず、また説明の対象にもせず米軍が射撃訓練を行った問題でも、「福知山市と自治会の間できちっと話をしていただければいい」と、不安を抱える住民に寄り添う気持ちが全くありませんでした。
11月5日には米軍基地の撤去を求める地元住民による集会、デモもあり、650名が参加されました。
飲酒運転の海兵隊員によって61歳の男性の尊い命が奪われた沖縄では、翁長知事は「無謀な飲酒運転で突然命を奪われた被害者の無念を思うと、言葉にならない。沖縄県民はもう勘弁してくれという気持ちだ」と述べ、オスプレイなどの米軍機の重大事故が相次いでいることにも厳しく抗議されていますが、知事の姿勢はこれとは対照的だと思います。
知事は、レーダー基地の設置を認める際に「住民の安全が守られない場合には協力の撤回も辞さない構えで対応していきたい」と当初答弁をされておりました。それなら、経ヶ岬レーダー基地は、約束のとおり、早急に国に撤去を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
最後に、京都スタジアム(仮称)建設の問題です。
本議会には、京都スタジアム建設工事の契約案件が提案されております。これは、大手ゼネコンのジョイントベンチャーが、予定価格93億1,500万円に対し、93億円で落札。実に落札率98.84%と、驚くべきものです。
2012年12月議会で知事が亀岡にスタジアム建設計画を表明して以来、洪水被害の拡大やアユモドキの保全、交通渋滞など、問題が指摘されてきました。住民の不安に答える説明が十分ではなく、11月8日、12日の住民説明会の質疑は尽くされず、打ち切られました。
11月30日には京都地裁で京都府と亀岡市に対するスタジアムにかかわる違法公金支出差し止めを求める住民訴訟が開かれ、私も傍聴してまいりました。裁判は続いており、その結論も待たずに契約案件を提出するなど、住民無視の姿勢は許されません。
9月議会の日本共産党の代表質問に対し、知事は「最終的には私が決めた」「これほど丁寧な進め方をしている公共事業はない」と答弁されましたが、住民は今も納得しておりません。計画を立ちどまることは考えていないのですか、お答えください。
この間の事業の進め方についても問題があります。今年3月、本府は、京都府立のスポーツ施設の運営を丸投げし、民間に儲けさせようとするコンセッション方式の導入可能性調査をPwCアドバイザリー合同会社に委託しました。その結論が出ないもとで8月18日には、文部科学省のコンセッション事業方式に関する先導的開発事業に採択されたとして、京都スタジアム(仮称)運営事業計画策定業務の随意契約を同じ会社と締結いたしました。この契約案件については府議会に一切報告されておりません。
10月6日には、安倍内閣の「未来投資戦略2017」に沿って、スタジアム関連で総額25億円近い地方創生推進交付金の実施計画を提出されました。「スポーツ施設を中核に商業・観光拠点等を一体に整備し、交流人口や観光消費の拡大によってスポーツ・観光ビジネスへの民間投資を促進させ、稼げるまちづくりを進める」と明記されております。スタジアムを民間資本の稼げる場にする意図が明確であり、スポーツ振興に名を借りた企業の金儲けを手助けするやり方は問題です。何より府民にも議会にも説明もないままで進めるやり方について問題がないと考えているのか、またなぜこうなったのか説明をし、契約を撤回すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
◯山田啓二知事 最初に核兵器禁止条約についてでありますけれども、核兵器廃絶は世界で唯一原子爆弾が投下された被爆国日本国民の願いであり、京都府においては、全ての国が核兵器を廃絶し、世界の恒久平和が確立することを願う立場から、これまでからいかなる国の核実験に対しても私と議長の連名で厳重な抗議を行い、また私自身はヒバクシャ国際署名にも署名をしたところであります。
ただ、条約の問題につきましては、これは安全保障や外交上の問題でありますので、国民の代表として選ばれた方々が判断をされなければなりません。私どもは、我が国は核兵器のない世界を目指す大目標を掲げているわけでありますから、国においては、国際社会の動向なども踏まえつつ、核兵器が確実に廃絶される実効ある取り組みを進めていただきたいと考えているところであります。
次に憲法改正についてでありますけれども、地方自治を安定的な制度として構築するためには憲法における地方自治の位置づけを明確にすることが必要だと思います。島田議員は憲法92条をどう思われるのかよくわからないんですけれども、これはもうほとんど何も書いてないに等しい条文でありまして、このことが地方自治の安定化を阻害している。その中で私どもは闘ってきて、機関委任事務制度の廃止ですとか、地方分権一括法による新たな関係ですとか、「国と地方の協議の場」というものをつくり上げてまいりました。地方自治は、もはや国政においてなくてはならない国民主権の発露の場となっております。こうした地方自治の確立を願う47都道府県知事の想いが一致し、夏の全国知事会議において全知事の総意で「国民主権に基づく真の地方自治の確立に関する決議」が行われたわけでありまして、私どもは、この決議に従って、「国と地方の協議の場」でこの思いを知事会長として政府に申し上げたわけであります。
こうした地方自治の確立を願う思いが憲法9条につながるというのは「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな話だという気がしまして、直接議論はないのですけれども、私はそこはちょっと議論としては無理があるんじゃないかなというふうに思っております。
次に米軍の経ヶ岬通信所についてでありますけれども、福知山の案件というのは整備局が忘れたという話なので米軍に落ち度はないと思うんです。そこを米軍のせいにされるのは理解がちょっと違うと思いますし、交通事故に関しても、見ていただくとわかるように、米軍が被害に遭われたものもその数に含まれるのはちょっとどうかなと思う。そしてまた、中身を見ますと、本当にちょっとこすったとか脱輪をしたということまで全部米軍は届け出ているわけですね。そうした点では、非常に真摯な対応をしていただいているというふうに思います。
北朝鮮は現在も頻繁にミサイルを発射しており、先日はICBMを発射するなど、国際的に大きな課題となっているのは御存じのとおりであります。こうした状況の中で、京都府は、国から国防上の必要性を受けて、安心・安全に関する事項について防衛大臣に確認して、改善を必要に応じて求めてきたところであります。そして、先日、新司令官が来られたときにも、私から直接、騒音問題の抜本的な対策を急いでいただいております。また、商用電力の導入、そして、これから冬の季節になりますので、交通安全についてもしっかりやっていただきたいということをお話し申し上げまして、司令官からはしっかり頑張ると日本語で回答していただいたところでございまして、今後とも、府民の安心・安全の観点から、必要があれば厳しく対応を求めるスタンスに変わりはありません。
次に京都スタジアムについてでありますけれども、スタジアムの建設については、これまで答弁してまいりましたように、まず48万人を超える署名をいただいたと。そして、建設地、亀岡市の選定は、府内全市町村に公募して、用地の調査委員会を設けて、協議の上で最終的にその内容を踏まえて決定させていただいた。それだけではなくて、環境と開発の両立を目指し、自然環境の保全についても環境保全専門家会議を設置して約4年にわたる議論を重ねて、座長提言を踏まえて、予定地も変更して、その中で国や環境団体、関係学会からも高い評価を得ている。さらにその上で公共事業評価第三者委員会の工事着手の了承をいただいたものでありまして、二重、三重、四重に、これほどきちっと時間と手間をかけて進めてきた公共事業はないということを私は申し上げているわけであります。
また、地元亀岡市等の説明につきましても、京都府と亀岡市が合同で開催した市民説明会のほか、市内の各自治会に対して、亀岡市とも連携の上、9月以降、計5回開催し、住民の皆様に対し、スタジアムの整備目的や役割、運営のあり方、そして周辺への配慮、交通渋滞の混雑、騒音、治水などの対応について説明をしたところであります。
一方で、住民の方々からは、本格的な専用球技場の天然芝グラウンドを使ってみたいとか、スタジアムで開催されるさまざまなイベントを楽しみにしているとか、スタジアムを核としたまちづくりや南側市街地と連携したにぎわいの創出づくりなど、スタジアム整備に期待する意見も数多く出されているところであります。
最終的に事業は府民の代表である府議会の御理解、そして市民の代表である亀岡市議会の御理解を得て初めて整備ができるということでありまして、私は引き続き丁寧に説明を行っていきたいというふうに考えております。
次に運営事業計画の策定業務でありますけれども、スタジアムについては、建設はもとより、府内のスポーツ振興や幅広い府民の交流、地域のにぎわいの拠点としての機能を十分に発揮するため、いろいろと運営について考えていく必要があるということであります。
このため、平成25年7月に運営・経営の専門家会議を設置して、その中で、球技の試合だけではなくて文化イベント等にも活用してはどうかとか、周辺地域のまちづくりとの連携や試合開催以外の日常的なにぎわいの創出ですとか、民間のノウハウを生かして収益を上げていく必要もあるのではないかという意見もいただいたところであります。そして、同会の意見を踏まえましてスタジアムの機能を最大限に発揮するために運営手法を検討しているところでありまして、契約案件自身は議会の報告案件にはなっていないと思います。またそれはいつでも説明はさせていただきますけれども、そういう話で、義務的なものではないと思います。
さらに、財源につきましては、できるだけ府民に負担をかけることは避けたいということで国の制度も活用して10分の10をきちっと取ってきたということは、私は褒めてもいいけれども非難するような話ではないんじゃないかなというふうに思っております。
今後は、スタジアムの先進事例とか運営のノウハウをこの事業で調査して、真に快適かつ効果的なスタジアムになるための最適な運営手法を検討して、それを議会にも報告させていただき、御意見をいただいて最終的に決定させていただきたいなと考えているところであります。
◯島田敬子議員 スタジアム建設についてです。48万人の署名、それは亀岡につくれという署名ではないわけですよ。何も洪水常襲地域につくらなきゃいいんです。平成25年の台風18号による浸水被害など目に見える対策をとらないままに駅北の広範囲な埋め立てが進められて、先人の知恵である遊水機能が失われ、不安がさらに大きくなっていく中、建設工事を進められることは本当に許されない。これが住民の声であります。洪水常襲地域に住民合意のないまま建設を何が何でもやるやり方は断じて認められません。契約は中止することを求めておきたいというふうに思います。
憲法改正について、これまで知事は「国会で議論されること」と繰り返されまして、御自分の考えをまともに府民の皆さんに語られませんでしたが、今回は安倍首相に、地方自治の本質、これにかかわって求めると。しかし、今は安倍さんが改憲のアクセルを踏んでいるわけですから、「この時期に改正議論を進めよと言うことは、これを促進することになるではないか」と知識人と府民からも指摘をされているわけであります。
憲法改正について、総選挙後の共同通信の世論調査でも、反対が52.6%。安倍首相のもとでの憲法改正に5割が反対をしております。この声を届けていただきたいと思います。
山田知事は先ほど今期で退任する表明を行われましたが、広がる貧困と格差に正面から立ち向かい、どの地域に住んでいても安心して住み続けられる府政をつくるために、権力におもねる府政ではなく、府民の暮らしの痛みに心を寄せる府政、憲法と地方自治法に基づく自治体として、住民福祉の増進へ、府民の命と暮らしを守る府政への転換が必要と痛感いたしました。安倍政権の暴走に対して立憲主義・民主主義を守れ、市民と野党の協働が大きく発展し、地方政治にも新しい流れが本格化しています。府民の願いに応えて、府民とともに歩む新しい府政の実現へ頑張る決意を述べて質問を閉じます。ありがとうございました。