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◯村田正治議長 日程第3、意見書案第1号から第15号までの15件を一括議題といたします。
お諮りいたします。
ただいま議題となっております意見書案15件については、提出者の説明、質疑及び委員会付託を省略することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と言う者あり〕
御異議なしと認め、そのように決定いたします。
これより討論に入ります。
通告がありますので、島田敬子君に発言を許します。島田敬子君。
◯島田敬子議員 日本共産党の島田敬子です。ただいま議題となっています意見書案15件のうち、3会派提案の「主権者教育の確立と投票機会の拡充を求める意見書案」「小中学校におけるプログラミング必修化に対して支援を求める意見書案」に反対し、他の13件に賛成の立場から討論を行います。
まず、我が会派提案の意見書案「北朝鮮の核・ミサイル問題の平和的・外交的解決を求める意見書案」「核兵器禁止条約への参加・批准を求める意見書案」「安保法制廃止と安倍政権の下での憲法9条改悪反対に関する意見書案」についてです。
まず、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射など、国際世論を無視し、世界と地域の平和と安定を脅かす危険な軍事的挑発を繰り返していることに対し、厳しく抗議をするものです。今、最も危険なのは、米朝間の軍事的緊張がエスカレートしていく中で、当事者の思惑や意図にも反し、偶発的な事態などで武力衝突につながる現実的な可能性が生まれ、強まっていることです。そんなことになれば深刻な被害を受けるのは韓国と日本の国民です。このような事態は絶対に避けなければなりません。
軍事的衝突の危険の高まりを危惧し、世界各国から「制裁だけでは解決できない」と対話を求める声が上がり、国連総会では、ドイツ、フランス、韓国など多数の諸国の首脳が対話による平和的解決を呼びかけています。ところが、安倍首相は対話を否定する演説を行い、「全ての選択肢はテーブルの上にある」などと、軍事力行使の選択を突きつけるトランプ米大統領に追随する世界でも異常な姿勢となっています。さらに、「安保法制をつくって本当によかった」などと述べ、国民の知らないうちに安保法制(戦争法)を発動し、北朝鮮への警戒・監視を続ける米艦船の防護や給油を行うことは、米朝の武力衝突に自動的に参戦する危険性を拡大し、日本を危険にさらすもので、到底容認できません。こうした態度を根本的に改め、9条を持つ日本政府こそ、「対話による平和的解決」のイニシアチブを発揮すべきです。そして、安保法制(戦争法)はきっぱり廃止すべきです。
さて、7月7日、歴史上初めて核兵器を違法化する核兵器禁止条約が、国連加盟国の3分の2、122ヶ国の賛成で採択され、9月20日からは国連本部で条約に対する署名が開始されました。今日現在、53ヶ国が署名し、批准をした国は3ヶ国となっています。各国での議論を経て、50ヶ国が批准してから90日を経て発効します。早期の発効が期待される中、同条約に一貫して反対し、署名式にも欠席した日本政府に世界各国、何より命がけで被爆の実相を訴え続けた被爆者の失望と怒りの声が上がっています。
国際社会が核兵器を違法化し悪の烙印を押す方向に進むことは、北朝鮮を孤立させ、核開発を放棄させる大きな力となり、日本政府も核兵器禁止条約に参加することによって、強い立場で北朝鮮に「核兵器開発をするな」と迫れることになります。日本政府が、世界で唯一の戦争被爆国としての役割と責任を自覚し、条約に参加し、早期の批准を求めるものであります。
安倍首相は、国会解散表明の記者会見で、宿願である憲法9条改悪には一切触れませんでしたが、直後のNHKの番組では、憲法9条への自衛隊明記を自民党の選挙公約にすると明言いたしました。これは、自衛隊の追認にとどまらず、憲法違反の安保法制(戦争法)を合憲化し、9条2項の死文化によって無制限の海外での武力行使まで可能にしようとするもので、平和を願う圧倒的多数の国民の声に真っ向から逆らうものです。戦後72年、戦争で一人の外国人の命も日本の若者の命も奪われることがなかったのは平和憲法があったからであり、そうした戦争のない平和な日本と世界を子どもや孫たちに手渡すために、皆さんの賛同を求めるものであります。
次に、「介護保険制度の改悪を撤回し、公的支援の拡充を求める意見書案」「国民健康保険制度の国庫負担増額等を強く求める意見書案」「消費税10%への増税中止を求める意見書案」についてです。
安倍政権は、この間、医療介護総合法や医療保険改革法等、公的医療・介護制度を土台から変質させる改悪を強行し、2018年度から本格始動をさせようとしています。平成30年度から国民健康保険の都道府県単位化がスタートします。現在の国保の加入世帯は、非正規労働者や年金生活者、無職の人が8割を占め、他の公的医療保険と比べて低所得化する構造的問題を抱えていますが、これを解決するためには国庫負担を抜本的に引き上げることが不可欠です。住民の命を守るはずの公的医療保険が、過重な保険料負担で住民・被保険者を苦しめ、無慈悲な保険証の取り上げや問答無用の差し押さえで貧困に追い打ちをかける現状を改める必要があります。
さらに、医療介護総合法や地域包括ケアシステム強化法により、要支援1・2の介護サービスを保険給付から外し、無資格者が行う基準緩和サービスへの置きかえや、卒業の名による強引なサービス縮小などを進め、給付適正化を進める自治体に優先的に予算を配分するなど、全自治体を巻き込んだ給付費削減競争が進められていることは問題です。地域共生社会の名目で、「我が事・丸ごと」地域づくり体制の整備を進めるとして、国や自治体が地域福祉から手を引き、地域住民の自助・互助に役割を押しつけることは許されません。
さて、安倍首相が解散の口実として、急遽、消費税10%の増税分の一部を教育、子育てに回すと言い出しました。消費税は高齢化社会のためと言いながら、これまで述べてきたようにあらゆる社会保障の改悪を進めながら、今度は中身も定かでない教育、子育てというオブラートにくるんで、2度も延期をしてきた10%という毒薬を今度こそ国民に飲み込ませようという魂胆です。批判の強い消費税増税を国民に押しつけることは許されません。
消費税は所得の低い人ほど負担が重くなる最悪の逆進税制で、子育て世代や若者世代に一番打撃を与える税金です。家計消費が低迷していることを見ても、10%への増税が家計や経済に深刻な打撃を与えることは明らかであり、きっぱり中止をすべきです。
社会保障を支える財源は、応能負担の原則を貫き、安倍政権発足後だけでも4兆円にもなる大企業減税や優遇税制、大株主優遇の不公正税制を是正し、タックスヘイブンを利用した税逃れを許さないことなど、もうけにふさわしい税金を払ってもらうことで可能です。
次に、「すべての原発の稼働中止を求める意見書案」についてです。
原子力規制委員会が新潟県の東京電力柏崎刈羽原発6号機・7号機について、規制基準に適合するとの審査書案を公表いたしました。福島県や新潟県民が「福島を忘れたのか」と怒りの声を上げています。米山隆一知事が、福島原発事故の検証が終わるまで再稼働の議論をするつもりはないと明言しています。事故原因の究明の途上であり、事故を起こした当事者の東電に、しかも事故を起こした福島第一原発と同じ形の沸騰水型原発の再稼働を認めるなど、到底許されません。しかも、再稼働させなければ福島原発の廃炉費用が確保できないと公言してはばからない東電や、再稼働を推進する安倍政権の姿勢は、安全より儲け優先そのものです。
また、関西電力も、今年5月、6月に高浜3号機・4号機の再稼働を強行し、来年早々には大飯3号機・4号機の再稼働、さらに高浜1号機・2号機、美浜3号機の運転延長で老朽化した原発も動かすという危険きわまりない道を突き進んでいます。核燃料サイクルも破綻し、使用済み核燃料をどのように処理するのかも決まっていません。福島原発事故後、全国の原発が停止をしても電力不足は起きていません。再生可能エネルギーは15%も増え、省エネが進みました。原発推進に固執する計画には道理がありません。
次に、「『働き方改革』に関する意見書案」についてです。
2015年度に過労死・過労自殺の労災認定が189件に上るなど、日本の長時間労働・過労死の状況は悪化し続けています。ところが、安倍政権が進める働き方改革は、過労死水準(月100時間、年720時間)の残業を合法化し、残業代ゼロ制度の導入を目指すもので、長時間労働を固定化し悪化させるものとなっています。長時間労働は、働く人の体と心の健康を傷つけ、家族や子育て、地域社会など日本社会の健全な発展にも大きな妨げになっています。今必要なのは、残業時間を例外なく大臣告示の週15時間、月45時間、年360時間以内に規制し、割増残業代の支払い強化を行うとともに、違法行為への監視体制と社会的制裁を強化し、労働者や家族らの告発に迅速に対応できるよう、労働基準監督官の増員など体制や社会的制裁を強化することであります。
次に、「米の生産費を償う価格下支え制度の確立を求める意見書案」についてです。
安倍政権は2018年度から、最低限の生産費を支える農業者戸別所得補償制度を全廃しようとしています。京都の農業、日本の農業に壊滅的打撃を与えるもので許されません。米価が生産費を大きく下回る水準に下落する中、多くの稲作農家が「これではつくり続けられない」と悲鳴の声を上げられています。稲作経営が成り立たないばかりか、水田の持つ多面的機能も喪失し、地域経済がますます困難に直面することは明らかです。今必要なのは、底力を持っている日本の農業を発展させ、家族経営の農家の経営を守り、水田の環境保全、国土保全、安全でおいしい食料提供と農村地域集落を支える地域づくりの役割発揮ができるよう農家を支援することです。欧米では当たり前となっている農業経営を下支えする政策を確立し、国民の食糧と地域経済、環境と国土を守ることを求めるものです。
次に、「北陸新幹線延伸計画の中止を求める意見書案」についてです。
既に、北陸新幹線の延伸事業が始まっている富山県、長野県、石川県など、巨額の事業費を抱え込んだ上に、企業進出を当てに整備した駅前の土地は空き地のままに放置されたり、在来線が第3セクターになって住民の生活の足が奪われ、人口流出を招くなど、さまざまな問題が噴出していることは、既に我が党議員が何度も指摘をしているとおりです。環境破壊や住環境に対する影響への懸念についても何ら説明責任を果たされておりません。2兆円を超える大型開発事業を住民不在で安易に決めてはなりません。人口減少や厳しい財政、将来世代に負担を残さないとして、住民の身近な公共施設を今後30年間で20%も削減する公共施設整備計画を進めながら、将来世代に巨額の借金を押しつける延伸計画は、市民の納得を得ることはできません。
次に、3会派提案の「主権者教育の確立と投票機会の拡充を求める意見書案」についてです。
18歳選挙権の実現は、高校生が主権者としての自覚を高め、政治的教養を深める契機となることが求められます。児童生徒の政治的教養を真に育むためには、学問の自由、表現の自由、思想・良心の自由などが全面的に保障された環境が必要です。また、教育の条理に基づき、教職員の教育活動の自由が保障されるべきは言うまでもありません。ところが、文部科学省は通知で「生徒による政治的活動等は、必要かつ合理的な範囲内で制約を受ける」として権限を校長に委ねたり、「教員は個人的な主義主張を述べることを避ける」として教員の地位利用の概念を無限定に広げるなど、政治的中立を口実にして、児童生徒、教職員に保障された活動に制限を加えており、反対です。
なお、3会派提案の「私学教育の振興に関する意見書案」は、生徒、保護者の教育を受ける権利を保障する立場から保護者負担の軽減を実現し、私学教育の充実を図る立場から賛成をいたします。
次に、「小中学校におけるプログラミング必修化に対して支援を求める意見書案」についてです。
安倍政権は新たな成長戦略「未来投資戦略2017」を閣議決定し推進しています。成長戦略には財界の意向が直接反映され、企業利益を優先することを基本にし、プログラミング教育を初等教育から取り入れることを明記しており、個人の発達が目的の教育が企業に適応できる人材育成の場に変質することになりかねません。また、AI(人工知能)などの先端技術は社会進歩の可能性を広げる一方で、使い方次第で人類にとって脅威にもなるもので、子どもの成長を阻害するものとして学校現場からも批判の声が上がっております。よって、この意見書案には反対です。
以上で討論を終わります。御静聴ありがとうございました。
◯村田正治議長 以上で討論を終結いたします。
これより意見書案15件について採決に入ります。採決は6回に分けて起立により行います。
初めに、石田宗久君ほか3名の諸君から提出の意見書案第1号から意見書案第5号までの5件について、1件ずつ5回に分けて採決いたします。
まず、意見書案第1号「主権者教育の確立と投票機会の拡充を求める意見書」を原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
◯村田正治議長 起立多数であります。よって、本意見書案は原案どおり可決されました。
次に、意見書案第2号「食品衛生管理の国際標準化を求める意見書」を原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
◯村田正治議長 起立全員であります。よって、本意見書案は原案どおり可決されました。
次に、意見書案第3号「私学教育の振興に関する意見書」を原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
◯村田正治議長 起立全員であります。よって、本意見書案は原案どおり可決されました。
次に、意見書案第4号「小中学校におけるプログラミング必修化に対して支援を求める意見書」を原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
◯村田正治議長 起立多数であります。よって、本意見書案は原案どおり可決されました。
次に、意見書案第5号「地域の中小企業への支援充実を求める意見書」を原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
◯村田正治議長 起立全員であります。よって、本意見書案は原案どおり可決されました。
次に、前窪義由紀君ほか12名の諸君から提出の意見書案第6号「北朝鮮の核・ミサイル問題の平和的・外交的解決を求める意見書」、意見書案第7号「核兵器禁止条約への参加・批准を求める意見書」、意見書案第8号「安保法制廃止と安倍政権の下での憲法9条改悪反対に関する意見書」、意見書案第9号「消費税10%への増税中止を求める意見書」、意見書案第10号「介護保険制度の改悪を撤回し、公的支援の拡充を求める意見書」、意見書案第11号「すべての原発の稼働中止を求める意見書」、意見書案第12号「国民健康保険制度の国庫負担増額等を強く求める意見書」、意見書案第13号「北陸新幹線延伸計画の中止を求める意見書」、意見書案第14号「米の生産費を償う価格下支え制度の確立を求める意見書」、意見書案第15号「『働き方改革』に関する意見書」を一括採決いたします。
ただいま採決に付しております意見書案10件をそれぞれ原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
◯村田正治議長 起立少数であります。よって、意見書案10件はいずれも否決されました。
ただいま議決されました意見書の字句並びに取り扱いについては、議長に御一任願います。
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