◯島田敬子議員 日本共産党の島田敬子でございます。さきに通告しています数点について、知事並びに関係理事者に質問をいたします。
まず初めに、難病対策についてです。
厚生労働省が、10月29日の難病対策委員会で、難病医療費助成の新たな制度案を示し、来年の通常国会へ法案提出を目指すとしています。これまで根拠となる法律がなかった難病対策を法律で位置づけることや、医療費助成の対象を56疾患から300疾患程度に拡大する方向については、患者さんや関係者の皆さんから歓迎をされておりますが、一方で、これまで無料であった重症者にも自己負担を導入することや軽度者を助成対象から原則除外する方向について、強い不安と怒りの声が上がっております。
11月30日には、京都でも「新たな難病対策案の『痛み』を問う・京滋緊急集会」が持たれ、私も参加をして、当事者の皆さんの悲痛な声をお聞きしてきました。
人工呼吸器をつけて参加された進行性筋委縮性側索硬化症(ALS)の患者さんは
「発病して30数年、医療費は無料ですが、保険のきかない定量吸引器に15万円、足踏み吸引器やバッテリー、医療材料で数万円、コミュニケーション機器は1割負担で2万円、難病リハビリに通う介護タクシー代は5万円など多額のお金がかかり、貯金が雪崩のようになくなってしまった。ALS協会の調査では、介護保険の自己負担、障害者施策によるヘルパー利用料の自己負担など、医療機器購入等の出費以外の固定的な経費で平均月に6万円も出費をしている。特定疾患だったら何でもただではない。人生、病気で苦しんでいるのに、この上に苦しませるのか。早く死ねということか」
と発言をされました。
23歳で発症し、就職したばかりの会社をやめざるを得なくなったリウマチの女性は、
「毎日泣いて暮らしていた。今も受け入れられずに苦しんでいる。3割の自己負担、内服薬や点滴、検査入院で昨年は79万円もかかり両親に払ってもらった。家族に迷惑をかけて、これから何十年と高い医療費がかかる。怖くて仕方がない」
と訴えられました。
稀少難病の患者さんからは、「医療費が上がったら受診を控えるという声が既に出始めている。医者に安静にしていろと言われても、生活のため、医療費のため、難病を隠して働かざるを得ない現状がある。自殺者が出かねない」との訴えや、「保険外の負担で月10万円にもなる」との声もありました。
難病の専門医にもお話を伺いました。
「リウマチの初期治療に大変有効な薬ができましたが、特定疾患の対象外で3割負担であり、高額なために、本来8週間に1回の点滴を12週に1回しか受けられない患者がいる。リウマチ、潰瘍性大腸炎や多発性硬化症等の免疫疾患は症状が軽いうちに治療をして重症化させないことが大原則であり、軽度者の切り捨ては大問題だ」
と指摘をされました。
また、在宅で24時間休むことなく難病の子どもの命を支えて頑張っていらっしゃる親御さんたちからも、医療費公費負担の継続などの予算を義務的経費として安定的に確保するとともに、難病対策が法制化されるのを機に、20歳以降も継続的な医療費助成と福祉施策が受けられるよう要望が出されております。
厚生労働省は、難病対策委員会の最終報告を年内にも取りまとめますが、患者団体が命がけの訴えを続けておられます。本府としても直接患者さんや医療機関の声を聞き、病名や重症度による線引きをやめ、全ての難病患者が安心して治療を受けることができるよう、公費負担医療の充実と高額療養費制度の限度額引き下げなど、医療費負担軽減を行うよう国へ求めるべきと考えますが、いかがですか。
1月にまとめられた提言では、「難病の治療研究を進め、疾病の克服を目指すとともに、難病患者の社会参加を支援し、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会を目指すことを基本理念とする」と掲げました。その理念を法律にも明記し、医療、年金、介護、福祉、就労支援等の総合的な難病対策を進めるべきと考えますが、いかがですか。知事の見解を伺います。
そして、本府においてもその理念を共有し、積極的に難病患者と家族の支援を強化していく立場から、以下、具体的に伺います。
1つ目は、先ほど紹介したように医療費以外の交通費や介護などの自己負担が大変多く、福祉的な支援が必要です。本府は2008年にわずか1万円の難病患者見舞金を廃止し、当時、難病患者さんから、「京都府から見捨てられたようだ」との声が出されておりました。改めて、患者の実情を把握するとともに、生活支援に資する支援制度をつくるべきと考えますが、いかがですか。
2つ目には、難病の相談体制の強化です。京都府難病相談支援センターについて2万人近い特定疾患患者があるのに、非常勤の3人体制では不十分であります。専門職にふさわしく正規職員として配置し、必要な人員増を図るなど、一層の機能拡充を求めます。また、京都府各保健所は、医療費助成や重症認定の申請窓口であり、難病患者の支援事業やネットワークの中核を担っておられます。現状は、申請業務などの事務に追われ、個別支援など訪問活動は減少しており、圏域ごとの協議会開催も不十分です。必要な人員増を図るなど体制の強化を求めます。いかがですか。
また、NPO法人京都難病連では、京都府の委託を受けて講演会や患者同士の交流会、ピアカウンセラーなどの事業を実施されております。患者同士の励まし合うパワーはとても大きなもので、大切な事業です。難病連への委託金、補助金は事務事業の見直しでカットをされ135万円のまま十数年経過をしています。民間の財団へ支援をお願いしたり、自販機の設置や入れ歯の回収などで収入を得るなど涙ぐましい努力をされております。予算の抜本的増額と支援が必要と考えますが、いかがですか。
3つ目には、就労支援です。ハローワークに難病をよく理解した専門の就労相談員の配置が必要です。全国で15人の配置が始まっておりますが、京都府にはありません。患者は、病気を隠して働き、無理を重ねて重症化する等の事例もあります。患者さんがきちんと治療を受けて安定した状態で難病とつき合いながら就労することが必要であり、医療従事者や保健所・保健師などもこうした患者の立場や難病の特性を理解して、適切なマネジメントを行いハローワークにつなげることが必要です。そのための研修や体制の整備を進めるとともに、事業者や府民の理解を進める啓発活動も必要と考えますが、いかがですか。
次に、政府が通常国会で提出を狙う介護保険制度改悪法案についてです。
見直し案がほぼ出そろいましたが、国民の世論と運動に押されて一部方針を見直すなど、制度の矛盾と破綻が明らかになっております。制度改革の内容は、要支援1・2の認定者150万人の介護サービスを介護保険給付から外し市町村に丸投げするとともに、一定以上の所得の利用料を引き上げ、特別養護老人ホーム入居者を重度者に限定し、施設の居住費、食費の補足給付を縮小するなど、利用者と家族、介護事業者、介護労働者の願いと逆行するものになっております。
我が会派では現在、介護保険事業所へのアンケートや訪問活動を行って、現場の意見をお聞きしております。要支援者の介護保険給付外し、市町村移管では、ヘルパーさんなどから
「寝たきりになってからでは遅過ぎる。ヘルパーの家事援助は、単なる家事援助ではなく、生活の基本を支えている。利用できなくなれば、閉じこもりや認知症の悪化で確実に利用者の状態が悪化する」
「最近は鬱や認知症の方が増えており、人間関係をつくるまでに数ァ月もかかる」
との声が出されました。また、地域包括支援センターでは、
「要支援者向けサービスの市町村事業への移管について、施設基準も人員基準もなく、際限なく安上がりのサービスが追求され、その結果、事業所の経営も立ち行かなくなる」
との声や
「市町村にも受け皿やNPOやボランティアが揃っているわけではなく、市町村格差が広がります」
との懸念の声が出されております。
現に、本府の地域支援事業においては、閉じこもり予防や認知症予防、鬱予防事業は7つの自治体にとどまっております。介護部会の審議の中で、「認知症の人と家族の会」の代表は「社会保障の向上や増進とは真逆の方向。市町村事業は軽度認知症に有効なサービスではない」と発言をされ、全国町村会会長も「町村では民間参入は全くなく、実態とかけ離れたことをやるのは困る」などの意見が出ております。こうした批判を受けて全面改悪は断念したものの、要支援者向け運用の約6割を占める命綱の訪問介護と通所介護を市町村事業に移す方針は撤回されておりません。訪問介護と通所介護の市町村事業への丸投げ方針は撤回すべきと考えますが、いかがですか。
また、特別養護老人ホームの重度者限定について、
「要介護1・2の人で入所が必要な人は虐待や貧困、住まいの問題等を抱えており、このような人の受け皿がなくなれば自殺や介護殺人、孤立死という問題が出てくる」などの声が出されました。介護費用の削減ありきの制度改悪案はきっぱり撤回し、介護を受ける人も支える人も安心できる介護制度の確立に転換すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
また、高齢者福祉に自治体が責任を果たす点で地域包括支援センターを老人福祉法に位置づけて総合的に支える体制をつくることが必要です。センターに寄せられる相談は介護問題だけでなく、虐待や介護放棄等、困難な事例がふえておりまして、これへの対応やひきこもりの人への訪問活動なども求められております。「センターの人員体制を現在の2倍にでも引き上げてほしい。地域課題を解決しようと思えば、小学校区や旧村単位で専門的な人材を置くことが必要」とも言われました。また、市町村によってセンターの体制や機能の格差もございます。本府としても現状を把握するとともに、必要な予算の確保と市町村への支援を行うべきと考えますが、いかがですか。
また、在宅介護の現場では、ヘルパーの高齢化が進み、施設では新規学卒者が定着しないなど、若い方が介護職から離れている現状があります。ハローワークに求人をかけても応募が全くない施設や、新設をしても100%運用できない施設もあります。福知山市の74事業所では140人も不足するなど、現状は一層深刻です。賃金が余りにも低過ぎることが問題です。全労連の調査では、正規の介護労働者の平均賃金は18万204円と平成23年度賃金構造基本統計調査における全産業の平均賃金29万6,800円を11万6,000円も下回っており、この間の生活援助短縮では、登録ヘルパーで56%もの方が「収入が減少した」と報告されております。介護職員処遇改善等特例基金の1年延長では解決しません。改めて、介護報酬とは別枠の仕組みをつくり、そのための公的助成制度が必要と考えますが、いかがですか。
◯山田啓二知事 島田議員の御質問にお答えいたします。
難病対策についてでありますけれども、原因不明で治療法の確立していない難病は、稀少なものも含め一般的には5,000から7,000疾病あるというふうに言われておりますけれども、そのうち医療費助成が受けられる疾患は現在56しかありません。難病患者の長期にわたる療養と社会生活を支える総合的な対策も不十分であります。こうした課題を踏まえまして、現在厚生労働省の難病対策委員会において、難病対策の改革について審議され、本年中にその意見が取りまとめられて通常国会に必要な法律案が出されることとなっているんですけれども、そもそも、今までの国の難病対策というのは、本当に酷いものであったと私は思っております。特に、単なる予算補助でありましたので、実質、難病対策を支えていたのは都道府県であります。予算がなくなれば難病対策に係る費用は都道府県に来ないという状況の中で、こういう矛盾した形で難病という国家的に対応しなければならない対策というものが疎かにされているじゃないかということを、平成24年の国と地方の協議の場において私のほうから指摘をいたしました。そして、それを受けて平成24年度の予算から、年少扶養控除の廃止等による地方増収分の一部を暫定的に地方超過負担解消に充てることとされ、さらに平成25年の1月に総務、財務、厚労の3大臣の合意で平成26年度予算において、超過負担の解消を実現すべく法制化その他必要な措置について調整を進めることとされ、そして難病対策実施の位置づけを法制化というふうにつながったという経過があります。そうした点から申しますと、まさにこの間、私ども京都府自身、また都道府県がこの難病対策を支えてきたと言っても過言ではないというふうに思っております。その上で京都府といたしましては、いよいよ国が本格的な法制化に向けて動いてきたわけでありますから、その制度設計に当たりましては、患者や家族の負担の増加、利便性の低下等に配慮し、真に支援が必要な患者の皆さんにとって適切な治療が受けられる制度とすること、当事者である患者・家族からも十分意見を聞くこと、実施主体である都道府県からの意見を十分に反映するよう国に対し強く要望してきたところであり、知事会を通じても同様の働きかけを行ったところであります。
また、今回の難病対策の改革に当たりましても、国と都道府県の難病関係者協議会などの場において、これは私どもの課長がメンバーにもなっておりますので、医療費助成を中心とした医療サービスはもちろんのこと、福祉、介護、就労、災害時対応など患者の皆さんが住みなれた地域で安心して療養生活が送れるよう、総合的な支援策を講じるべきと提言をしてきたところであります。
京都府ではこれまでから、重症難病患者入院受入事業や機器貸出事業などの在宅療養生活の支援、難病相談支援センターや保健所等における生活・就労面を含む相談対応、災害等の個別支援計画の作成など総合的な対策を講じてまいりましたけれども、やはりこれからの時代において、難病対策ではなくて高齢化時代を踏まえれば、医療や介護や福祉を地域において一元的にやっていかなければならない、そうでなければ十分な対策が講じられないということで、地域包括ケアの問題も含めて京都府、都道府県がもっと主体的な役割を果たすべきだという方針で今動いているわけでありまして、国民保険の問題もまさにそうした都道府県の役割をしっかりと踏まえていかなければ、これからの高齢化時代、また少子化時代には対応できないという中で、私どもは都道府県としての役割をこれからもしっかりと果たしていきたいと思いますし、今後とも全国知事会とも連携し、国に対し総合的な難病対策の実施を強く求めてまいりたいと考えているところであります。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。
◯山口寛士 健康福祉部長 難病対策についてでありますが、京都府ではこれまでから保健所や難病相談支援センターでの日々の活動を通じて、患者や家族の方々の実情を把握しているところであります。また、難病医療連絡協議会等における専門家の御意見もお聞きする中で、見舞金事業にかえて、より差し迫った方々への具体的な支援策として在宅重症難病患者等入院受入体制整備事業や在宅難病患者等療養生活用機器貸出事業を創設し、きめ細かく患者支援を展開しているところであります。今後、新制度のもとにおいても難病患者の皆さんが安心して療養生活が送れるよう、療養支援について引き続きしっかりと対応してまいります。
難病相談・支援センターについては、平成17年度に宇多野病院に開設し、保健所や関係機関と連携を図り、患者や家族の療養生活上の悩みや不安の解消に努めるとともに就労支援や患者会の交流事業などに取り組んでおりますが、平成23年6月には相談員を増員し、平日だけでなく土曜日にも受け付けるなど相談体制の充実を図ってきたところであります。今後、対象疾患の拡大や制度見直しなどに係る相談についても十分対応してまいります。
NPO法人京都難病連につきましては、患者団体としての強みを生かし、ピアカウンセリング等の活動に取り組んでいただいており、京都府ではこれまでから相談事業の委託や団体運営に対する支援を行ってまいりましたが、新制度への移行に伴い患者団体の役割がますます大きくなるものと考えておりますので、今後ともしっかりとサポートしてまいります。
また、就労支援につきましては、難病相談・支援センターや保健所がハローワークや京都ジョブパーク等の労働関係機関と連携し、就職相談会の開催や関係機関と一緒に事業所訪問を行うなどきめ細やかな就労支援に取り組みますとともに、難病患者就職サポーターの配置につきましても国に要請しているところであります。
今後、こうした就労支援の取り組みや保健所、医療従事関係者に対する研修、また事業所や府民の皆様方への啓発活動を一層強化し、難病患者の皆さんが安心して療養生活を送れる社会環境を整えてまいりたいと考えております。
次に、介護保険制度の見直しについてでありますが、高齢化が進展する中で持続可能な制度を構築するため、現在、社会保障審議会において予防給付事業の市町村事業への移行や特別養護老人ホームの入所基準の見直し等、幅広い議論が行われているところであります。予防給付事業は重度化の防止や自立支援の観点から極めて重要なサービスであることから、国にその効果を十分検証した上で適切にサービスが継続されるよう強く働きかけております。特別養護老人ホームの入所基準につきましては、要介護度で一律に線引きするのではなく、個々の実情に応じ必要性の高い方が入所できる制度とするよう求めております。
また、補足給付の見直しにつきましては、高齢者の負担が過度なものとなり介護を必要とする人が必要なサービスを受けられないことのないよう高齢者の生活実態を踏まえ、国において適切に対応するよう要望しているところであります。今後とも、利用者本位の安定した介護保険制度となるよう、必要な財政上の措置も含め、引き続き、国に対し強く働きかけてまいります。
また、地域包括支援センターの現状につきましては、地域包括ケア推進機構が中心となり市町村や保健所との連携会議等の場を通じて圏域ごとに情報交換等を行い実態の把握に努めているところであります。高齢者が住みなれた地域で安心して暮らせる地域包括ケアを実現するためには地域包括支援センターの機能強化が不可欠であることから、京都府ではこれまでから、緊急雇用対策基金を活用し介護予防マネジメント等を行う職員を配置しているところであります。しかしながら、こういった取り組みは本来恒久的に行われるべきものであることから、国に対して必要な財源の確保を求めるとともに、高齢者の総合相談窓口の強化や認知症対応力の向上、関係機関とのネットワーク等の機能強化に向けて十分な体制を確保するよう要望してきたところであり、今後とも引き続き強く働きかけてまいります。
また、介護職員の処遇改善につきましては、介護人材の確保を図る上で大変重要な課題であることから、京都府では国に対し、平成24年度に導入された介護職員処遇改善加算の効果と課題を十分検証した上で、次期介護報酬改定において確実に処遇改善につながる必要な措置が講じられるよう強く要望しているところであります。
◯島田敬子議員 御答弁ありがとうございました。
難病対策、地域包括ケア、真の意味での地域包括ケアの前進に向けて、それぞれ体制も今議論の最中でありまして、前向きの答弁であったと思います。国へしっかりと声を上げていただきたいというふうに思います。
その上で難病対策についてですが、医療費の自己負担で、年収が160万円の世帯で自己負担は現行年間2万7,000円から14万4,000円と可処分所得の1割を超える過酷な負担で、これが生涯続くということで、収入も減少したり途絶えるなどの生活困窮、難病と闘い必死に生きる患者へのこのような仕打ちは許されません。難病患者の命を脅かす内容にはきっぱりと反対すべきだと考えます。
また、介護保険制度についてですが、要支援者に係る費用は給付費の5.7%でありまして、これを抑制したいがために重度化や認知症が進んで、給付をふやす結果になれば本末転倒であります。保険給付を維持してメニューをふやすことこそが必要です。
本府議会には認知症の人と家族の会京都支部からも、制度の理念を壊しかねない制度の変更だとして要支援者外しや利用料の引き上げについて中止を求める要望書が出されておりますので、引き続き、国へ声を上げていただきたいというふうに思います。
終わりました臨時国会では、社会保障プログラム法案が十分な審議も尽くさず強行可決をされました。同法案は、共助・公助という言葉も削られまして、自助・自立を強調し、社会保障を個人と家族の責任にとどめるもので、これに沿って抑制をしようというのが現在の難病対策や介護の負担増、給付抑制でございます。憲法25条の生存権保障の精神にまずは知事が立っていただく。制度が持続可能なのは当然ですけれども、住民の命が存続できるように態度を明確にして国へ発言すべきと、これは指摘をしておきます。
最後に1点要望ですが、東日本大震災や台風23号災害で、在宅酸素療法患者が圧縮空気をつくる器械の電源の水没で死亡する事例があったとのことです。緊急事態に備える酸素ボンベの常備や、人工呼吸器装着患者の外部バッテリーの整備などが必要との声が出されておりますので、指摘をし要望させていただきます。
次に、河川整備について伺います。
平成24年4月策定の淀川水系桂川下流圏域河川整備計画では、私の地元右京区内を流れる3河川についても掲載されております。時間雨量50ミリの降雨水準に対する整備率が天神川で81.1%、御室川では38.6%、有栖川は6.8%であります。氾濫時の被害が甚大になることが予想され、優先的かつ重点的に河川整備が必要とされております。今回の台風18号では、堤防が決壊するとか人的被害はなかったものの、改めて、被災された御室川上流域、有栖川下流域の復旧状況を調査いたしますと、行政もつかんでいない大変危険な状況にあったお宅がありました。御室川上流域の鳴滝地区の護岸は両岸に住宅が張りついておりますが、堤防がなく、住民が積んだブロック塀を乗り越えて濁流が流れ込んだお宅があり、奥さんは、脳梗塞の御主人とともに避難もできずに自宅にとどまったと当日の恐怖を訴えられました。護岸の崩れが心配され土のうを積んであるところや土砂の堆積、農業用水路からの水漏れもあります。豪雨のたびに自主避難していると、寝たきりの奥さんの薬を玄関先に常備されているお宅もあります。住民要望も出されて府民公募型整備事業を活用して応急手当てが行われておりますが、早急に抜本的な改修が必要と考えますが、いかがですか。
また、有栖川についてですが、桂川と有栖川の合流する梅津地域では過去の経験を超えた水位の上昇があり、根本的な対策をしなければ再発は避けられないと、地元住民の皆さんから強い要望が出されております。今回の浸水被害は「流域の大雨による浸水と桂川の水位上昇によるバックウオーターが原因ではないか」「上野橋付近の当時の流れは国道9号西大橋上流域に設置の4号井堰とそれによる上流側の土砂の堆積、生い茂る樹木によって水面の上昇を招いたのではないか」、さらに「河口近くの構口樋門を初め、梅津地域の各樋門にはポンプなどの積極的排水設備がなかったために浸水被害が大きくなったのではないか」との指摘がされております。
私は、この間、府土木事務所や府河川課、淀川工事事務所等にも問い合わせて、幾つかの要望もさせていただいておりましたが、京都市では、今回、補正予算を組んで原因究明の調査を行った上で、有栖川樋門などへの排水ポンプの設置等の検討を始めました。さらに、11月29日には国土交通省が災害対策等緊急事業推進費を計上し、桂川については170億円、5年間で三川合流点から渡月橋までの7km区間で河道の堀削を行う方針が示され、4号井堰の撤去なども議論に上っているようでございます。今回の災害の検証と今後の桂川、及び知事が管理責任者である有栖川の整備の方向について、国、京都市と具体的にどのような検討をされているのか、お聞かせください。
有栖川整備計画について、現在事業着手している西高瀬川工区の2.2km区間で10年以上もかかって600m程度しか遅々として進んでおりません。京都市とも協議をして、前倒し整備を進めるとともに、都市下水路の有栖川流入部の逆流防止対策などの検討及び未整備区間の早期着手に全力を挙げていただきたいと考えますが、いかがですか。
最後に要望ですが、休みの日には、松尾橋下流の京都府管理の河川敷公園では、台風ででこぼこに荒れたグラウンドで応急措置をして使える部分だけ活用して少年野球の子どもたちが白球を追いかけておりますが、いつ何どきけがをするかもわかりません。府下各地で甚大な被害があり、人命優先で復旧を急いでいただいていると承知しておりますが、子どもたちの安全の確保も重要ですので、できるだけ早くの改修を要望しておきたいと思います。お答えください。
◯東川直正 建設交通部長 御室川上流の鳴滝地区の改修についてでございますが、石積み護岸が連続する約500mの区間のうち常照橋から北音戸山橋までの約150mの区間、これにつきまして既に本年8月の府民公募型整備事業等によりまして、右岸を中心とした護岸基礎の補強と護岸前面のコンクリート張りを恒久的な対策として実施することを決定しているところでございます。残りの区間につきましては、台風18号後の点検の結果、現状では直ちに手当てが必要な著しい変状が認められなかったところです。
近年、集中豪雨が頻発する傾向の中、今後とも必要に応じて点検するなど、適切な河川管理に努めてまいりたいと考えております。
有栖川の河川改修についてでございますが、この河川につきましては周辺の市街地整備と関連して実施する必要があるということで、河川法に基づきまして、河川管理者である京都府との協議を経まして京都市が都市基盤河川改修事業として取り組んでいるところでございます。今回の浸水被害の検証や進め方につきましても、現在、京都市において検討しているところということを聞いておりまして、その結果が出た段階で、河川管理者であります京都府といたしましても調整・協力してまいりたいと考えております。
また、今申し上げましたとおり有栖川の河川改修は京都市が事業主体となっておりますので、事業の前倒しや逆流防止対策などの検討ということについて御提案をいただきましたが、まずは京都市の考え方をお聞きしまして、河川管理者である京都府といたしましても調整、協力してまいりたいと考えております。本日、このような御質問があったことについては、京都市に伝えたいと考えております。
◯島田敬子議員 御答弁がございましたけれども、御室川上流域の鳴滝地区について、本当に惨たんたる状況でございまして、一度、建設交通部長も知事もごらんになっていただきたいと。コンクリート張りで2ヶ所応急措置されているんですけれども、本当にボロボロでございます。
本当にこれは、私も反省しなきゃいけないんですけど、改めて調査に入りますと、先ほど言ったように行政が把握をしていないお宅で、濁流が入ってきて、御主人が脳梗塞で倒れていて逃げ出されなかったということでした。あれ以上雨が続けば、これは本当に人命にかかわる大事故になったというふうに認識をいたしました。これは、下流から整備ということではなくて、本当に抜本的な恒久的な対策が必要です。京都市の河川が流れ込んでいるところも壊れて土のうが積まれておりますので、ぜひとも緊急整備をお願いしたいと思います。
それから、有栖川については京都市が主体的にやっているということは存じておりますが、京都市議会でも京都府と調整・協力をして進めるということで、「まずは京都市」ではなくて、私は本来は京都府管理河川、そして国管理の桂川、排水設備、内水対策等、本当は膝を交えて検討をする、京都市に任せてではなくて一緒に検討するということが必要なんです。西高瀬川工区以外にも、有栖川に注ぐ内水の下水路等は、ポンプ設備も、それからふたで内水逆流を防止する弁もないのです。しかも、6.8%という進捗率ですので、これは、ぜひ京都府が応援をして、京都市と一体で進めていただきたい。重ねて要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。