平成25年2月定例会 府民生活・厚生常任委員会4日目―2013年3月21日〜「子どもの学びを支える「特別支援教育」の充実を求めることに関する請願」「生活保護基準の引下げはしないことなど国に意見書提出を求めることに関する請願」等5件の新規請願についての審査:島田敬子府議・山内佳子府議、他会派府議の発言部分

付託請願

下記の請願について審査が行われた。
 ○新規請願(5件)
  ・第73の1号請願「子どもの学びを支える「特別支援教育」の充実を求めることに関する請願」
  ・第74号請願「年金2.5%の削減中止を求めることに関する請願」
  ・第76号請願「生活保護基準の引下げはしないことなど国に意見書提出を求めることに関する請願」
  ・第77号請願「国民皆保険制度等に関する請願」
  ・第78号請願「国産牛のBSE全頭検査の継続のための国の助成と特定危険部位除去を国に求める意見書提出に関する請願」

 

●第73の1号請願「子どもの学びを支える「特別支援教育」の充実を求めることに関する請願」

◯島田委員  紹介議員の立場から議員の皆様に採択をお願いしたいということで発言したいと思います。
 第73の1号請願です。子どもの学びを支える「特別支援教育」の充実を求めることに関する請願でございます。要旨は書かれてあるとおりでありますけれども、特に本委員会には、卒業後の進路保障のために、作業所にも看護師が配置できるよう、京都府独自の措置を検討・実施することを求める内容でございます。
 本府の第3期の障害福祉計画の基本理念にも障害がある人の活動を制限し、社会参加を制約している諸要因を除去して、障害のある人がその能力を最大限発揮できるよう支援するとあります。また、医療的ケアの課題については、乙訓、山城北、山城南、丹後で医療的ケアが必要な重度の障害児を地域で支えるための基盤整備が掲げられているところでもございます。
 実態には、国の基準でもこうした方々がお世話になる生活介護施設には、看護師を置かなければならなくなっておりますけれども、あるいは作業所等についても市町村の努力で置かれているところもありますが、まだまだ不十分であります。それで、請願が出てきているわけですので、ぜひとも採択をお願いしたいと思います。
 そこで、理事者に現状について確認をしたいのです。生活介護施設において、看護師を配置している施設は一体どれぐらいあるのかということを教えていただきたい。それから京都府の単独支援の重度障害児(者)在宅生活支援事業は、平成24年度決算見込みで1,838万円となっておりますが、何ヶ所ぐらいの事業所が看護師を配置されている状況でしょうか。教えていただきたいと思います。

◯高宮障害者支援課長  まず、府内の生活介護の支援事業所における看護師の配置状況です。全ての生活介護事業所において指定の基準によって1名以上の看護師が配置されているところでございます。ただ、各事業所に1名以上で、何人配置しているかという情報については把握をしておりません。
 京都府の在宅生活支援事業の対象の事業所における看護師の配置状況について、データがありますので申し上げます。平成24年度でこの事業により13名の看護師増加の配置を行い、17の事業所でこの事業を活用して看護師の増員を行っております。
 以上でございます。

◯島田委員  少し京都府も努力をされているわけですが、常時配置という体制にはなっていないようです。また、医療的なケアが必要な子どもが、基盤がないために、あるいは看護師がいないために重度障害の子どもたちが利用できないという状況が現にありまして、これは京都府の計画理念からしても早急に改善の余地があると思っております。また、国に対しても制度拡充についても要望も上げたい。また、京都府独自の支援も求めなければいけない現状にあるということを確認できると思います。
 ぜひとも賛同をお願いしたいと思います。
 以上です。

◯能勢委員(自民党)  今の答弁が少しわかりにくかったので、確認をさせてもらいたいのです。旧共同作業所と言われる中で、一番医療的ケアが必要とされる生活介護の専門のところがあります。そこの施設は、京都府内の施設全部に、基準を満たした1名以上の看護師が配置されているということでいいのですか。

◯山口健康福祉部長  今、生活介護等、それから就労支援をやっている施設は府内に16施設がございます。私どもは、そこは義務配置になっておりますので配置されております。
 なかなか国の基準単価では厳しいということでございますので、私どもは、平成22年度に市町村と一緒になって単独事業費で制度の充実に努めてきております。それが先ほどいいましたように、17事業所になってございますので、もちろん、国の単価で回らない部分についてもしっかりと府では支援しているということでございます。
 以上です。

◯能勢委員(自民党)  要するに国の制度の中だけでは、少し不足分があるので、府が単独事業費を出して市町村と2分の1か、その辺はわかりませんけれども、それを出し合って補足をしている。この府単独事業費制度の金額は平成25年度の予算は平成24年度の予算より減っていますか、増えていますか。

◯藪健康福祉部副部長(福祉担当)  平成25年度当初予算額としましては、1,000万円余りを計上させていただいております。ただ、これは実績に応じて必要な補正をお願いしておりますので、例えば平成24年度見込みでありましたら1,800万円余りの決算額となるような見込みをさせていただいております。

◯能勢委員(自民党)  このあたりは十分に、府が足らず分を出していただいているということですので、このあたりの額を削ることなく、これからも継続的に出していただきたい。これは要望して終わります。

●審査結果…挙手採決の結果、賛成少数により、不採択と決定した。

 


 

●第74号請願「年金2.5%の削減中止を求めることに関する請願」

◯山内委員  紹介議員として発言をさせていただきたいと思います。
 今年の10月から3年間で年金を2.5%切り下げる法律が11月16日の国会の最終日に、本当にまともに議論もされずに成立しました。高齢者の40%以上、女性では80%以上の方々が年金が100万円未満ということで、本当にこういう少ない年金をさらに削るということで大きな影響が出ると考えております。3年間で、基礎年金でいいますと、年間22,500円、それから厚生年金でいうと78,000円もの減額がなされて、さらに介護保険料や医療費、税金の負担など、負担ばかり増えれば、生活できない高齢者が激増いたします。
 しかも、2.5%の削減は入り口であって、その後もマクロ経済スライドで毎年0.9%以上、少なくとも10年先まで引き下げるということが計画をされています。
 請願文書にもあるように、年金の削減によって地域経済や自治体の税収にも大きな影響を与えると思っております。ぜひとも、暮らしと地域経済を直撃する年金の削減中止を求めることに関する請願に御賛同をお願いしたいと思います。

◯二之湯委員(自民党)  年金2.5%の削減中止ということだけを見ると、何か年金だけを下げるみたいな、年金だけを下げるというか、何もないのに下げるともとれる見出しです。ここにも書いてあるとおり、本当は消費者物価指数が下がったときに年金の削減もお願いせなあかんかった。当時の政権が、少し選挙のことを考えたのか、生活の状況を考えたのか、特例なことをしてしまったということが、後々の年金財政を考えると、少し目先のことだけを見過ぎたので、これを通常に戻すということなのです。物価が上がったら、またそれに応じて本来給付水準も引き上げる、これが決まりですので、自由民主党は3年3ヶ月の野党の間で今までのことをいろいろと反省をして、国民に厳しいこともしなければならない。また、過去の特例が誤っていたといいますか、特例が特例だったわけで、本来に戻すということは、これはいたし方ないことだと思います。物価高騰に対しては、またそれに応じた措置がなされるはずですので、この趣旨には賛成いたしかねます。

◯山内委員  物価が下がったというお話でしたけれども、医療費だとか、介護保険料等については、消費者物価とみなされませんから、そこの負担はどんどん上がっていますから、実質目減りをしているというのが実態だと思うのです。しかも、消費者物価についても下がっているのは、テレビやパソコンなんかが下がっていて、むしろ食料品等は値上がりしている、今、原油代や電気代も上がっていますし、全部そういうものが上がっていますから、そういう点では、実質的に生活が苦しくなっているというのが実感だと思います。
 そういう点では、今、年金は下げるべきではないと思います。ぜひ、御賛同をお願いしたいと思っています。

●審査結果…挙手採決の結果、賛成少数により、不採択と決定した。

 


 

●第76号請願「生活保護基準の引下げはしないことなど国に意見書提出を求めることに関する請願」

◯山内委員  生活保護基準の引下げはしないことなどを国に意見書提出を求めることに関する請願についてであります。
 生活保護の基準が引き下げられるということで、京都府内でどういう影響があるのかということなのですが、府民所得がどれぐらい減少するのか、また生活保護基準を準用している制度がどれぐらいあって、どういう影響があるのか等を理事者で試算をしておられましたら、この際、お示しいただきたいと思います。

◯青木福祉・援護課長  生活保護基準の引き下げに係ります影響でございますけれども、まだ国からきっちりと幾ら下がるという基準が、実は3月の担当者会議でも示されてはおりません。けれども、この間のいろいろな国からの情報ですとか、国の予算要求の状況等から当課でざっと試算しましたところ、平均的に、年間15,000円程度(後刻訂正あり)ではなかろうかという試算をしております。
 それから、この引き下げがあった場合に他のいろいろな制度にどれぐらい影響があるかということです。しかし、これにつきましては、国としても低所得者世帯に大きな影響が出ないように配慮をしていこうという方針は示されておるところでございます。
 いろいろな施策につきましては、例えば、非課税の限度額が生活保護に連動していますとか、あるいは生活保護基準そのものをいろいろな施策を適用する場合の基準ということで採択しているところもございます。非課税基準につきましては、平成25年度につきましては直ちに影響するということではございませんので、国で平成25年度に向けてこれから検討されると伺っております。
 それから、例えば府の施策で生活保護基準あるいは非課税基準について、それを制度の適用とするかどうかということにつきましては、現在、当部の関係で多数ございますので、当課から各課に照会をかけまして、例えば障害ですとか介護の関係、子育ての関係、さまざまにございますので、一定、どのあたりの制度に影響が出てくるかというところは把握させていただいております。
 今後、国から基準が出てまいりましたら、改めてどのような対応が必要かということを関係課と調整していきたいと考えております。
 以上でございます。

◯山内委員  1人平均年間15,000円程度の削減ということでしたけれども、生活保護のお金というのは、全部地域で循環をしていますから、買い物に行くにしても歩いて、あるいは自転車で行ける地域で買い物をされているわけですから、そういう点で地域経済に非常に大きな影響を与えるものだと思っています。
 厚生労働省の試算が発表されていますけれども、介護保険料でいいますと112万人の方々が負担増だと。あるいは、介護サービスの負担上限額でも5万人以上。自立支援医療や障害福祉サービスの負担も増える方々が7万人以上おられるということで、非常に大きな影響が出るものだと考えているのです。
 住民税の非課税基準については、もちろん平成25年度で直ちにそれは影響がない。住民税というのは、翌年にかかってくるわけですから、1年、2年、あるいは3年おくれて影響が出てくるので、それも非常に大きな影響が出ると考えております。
 同時に、この間の生活保護基準の引き下げというのは全く根拠のないものだと思います。日本では、本来生活保護が受けられる人のうち、15%から20%程度の人しか保護を受給していないということが大きな問題になっていますが、この間、根拠のないバッシング報道により、より受給しにくくなっている。そういう現状があると思います。
 そうした人も含めて、本来は生活保護を受けられるのだけれども、受けていない、あるいは受けられないというような方々、そういうことも含めた低所得者と比べて生活保護が低いのか、高いのかということを議論することそのものが本来間違っているわけで、国の検討会の中においても、そういうことで議論をして、保護基準を引き下げようなどというような結論というのは出されていないわけです。
 むしろ、検討会では社会的なおつき合いがちゃんとできるのか、栄養のある食事をとれるのか、人前に出て恥ずかしくない服装ができるのか、そうしたことを議論すべきだという意見が多かったということを承知しております。
 同時に、一般的な低所得世帯、5分の1分位で、所得階層を5段階に分けて、そのうちの低いところから5分の1、低所得者20%という点で見ますと、一般的な低所得世帯と生活保護世帯の消費支出を比べてみると、生活保護世帯のほうが下回るということが複数の委員からの調査結果で出ているわけです。そういう点では、本当に地域経済にも影響がある。それから憲法で定める最低限度の文化的な生活というものがどうあるべきなのかということにもかかわる問題ですので、ぜひこれは保護基準の引き下げをやめるように、国に求めるべきであると思います。皆さんの賛同を求めたいと思います。

◯能勢委員(自民党)  請願の1番の項目です。老齢加算を復活することと書いてあるのですが、社会保障審議会の生活保護基準部会の調査があると思うのです。要するに老齢加算されるような年代についての消費実態とかの調査はありますか。

◯青木福祉・援護課長  すみません、ただいまの質問の前に、先ほどの答弁で1ヶ所誤りがございましたので、訂正させていただきます。
 年間の引き下げの影響でございますが、私15,000円と申しましたが、年間で15,000円程度です。申しわけございません。訂正させていただきます。
 それから、消費実態の調査でございますけれども、国が大規模な調査を5年に一度実施されておりまして、今回の生活保護基準の見直しにつきましても、それをもとに検証されたところでございます。
 高齢者世帯につきましては、地域によりましては、一般の低所得者世帯のほうが若干高いという数字も出ておりましたけれども、老齢加算を復活するほどの差はございませんでした。
 以上でございます。

◯能勢委員(自民党)  それと、3番目の全額国庫負担をしろと。ただでさえ今、不正受給の問題とかが全国的にすごく問題になってきています。これをやってしまうと、ますます各市町村というか、身近なところでの生活保護に対してのチェック機能が薄れていくような気がするのです。その辺の見解をお聞かせ願えませんでしょうか。

◯青木福祉・援護課長  生活保護の増加と、それから生活保護の国の負担割合につきましては、数年前に国から各自治体の負担が少ないために保護の審査が緩くなっていって、保護が増えているのではないかと。そのために、国の負担割合を引き下げて、地方の割合を増やしてほしいというお話がありまして、国と地方の間でかなり議論をさせていただきました。そのときには、国の負担割合どうこうというよりも、当時の経済の状況とか、雇用情勢とかいったことの影響が大きいということで、そのときには、国と地方の間では、当面は今の国が4分の3という負担割合を維持する。そのかわりに、国と地方が一緒になって生活保護の適正化に向けて努力をしようという動きになっておりまして、適正化の手引を国で示すなりして、今、国と地方で力を合わせて適正化に向けて対応しているというところでございます。
 以上でございます。

◯能勢委員(自民党)  今、答弁でありましたように、今国の負担は75%です。そういう不正受給の問題も含めて、市町村もある程度、もう少しこれを責任持っていかないといけない。その中でケースワーカーの権限、調査権も含めて、不正受給をしっかりとめて、本当に必要な人たちにはきっちり送れるように、先ほど委員からもお話ありましたように、その辺を対応していくべきであるので、この請願に対して、私は賛同できかねます。
 以上です。

◯山内委員  先ほど、厚生労働省の消費生活の実態調査は5年に一度ということで、その中で60代の単身世帯については、10分の1分くらい、一番低いところと、それから60代の単身の生活保護世帯と比べると、生活保護のほうが下回るという結果が出たのです。
 私たちは、そういう比べ方そのものがいいのかということも含めて、人間らしい生活を送れるようにする、人前に出て恥ずかしくない服装をする、それからお風呂にきちんと入れるようにする。そういう点でどうなのかということをきちんと検証しなければならないと考えているのです。
 そういう点では、本当に郡部でいいますと、70代になりますと、生活扶助でいうと60,000円ですから、本当に人間らしい暮らしがそれでできるのかという議論をすべきだと思っています。
 それからあと、不正受給の問題で言いますが、金額でいうと、わずか0.4%で、むしろ不正受給よりも、漏給のほうが問題で、8割以上の方々が生活保護を受けられないということのほうが大きな問題だと言いたいと思います。
 それから、不正受給の0.4%の中には、高校生が一生懸命アルバイトをして学費を稼いだ、それを申告していなかったことについて、全部不正受給に入れられているのです。そういうこともたくさん含まれているということを御承知おき願いたいと思います。

◯島田委員  不正受給問題は、山内委員が指摘したとおり、高校生のアルバイト等が不正ということで指摘されている例が京都府の場合も多いということであります。本来必要な方が受けられないというところまでなっているということと、要旨にも書かれておりますように、子育て世代の削減が大きく、貧困の連鎖を強めることになるという問題は重大だと思うのです。育ち盛りの子どもたちは、どんどん大きくなっていく、靴も買いかえないといけないけれども、我慢をするというようなことが本当に人間らしい生活の保障かと思うわけです。
 本当に生活保護は、もちろん病気をして、年をとって働けなくなったということでは、もう最後の命の糧になるわけです。貧困から脱出をするという、そもそもの目的は生活再建を果たすということですので、本当に適切に貧困の世帯の、生活保護を受けなければいけないような低所得の人たち、とりわけ子育て世代を支えることによって子どもたちの成長を保障するという役割があると思うので、今回はそういう母子世帯が直撃をされているという問題があります。
 それから、老齢加算の復活問題では、12,000〜3,000円ですか、減らされましたので、冠婚葬祭、近所づき合い、それから親戚づき合いをやめて、葬儀にも参列できないというふうなことがあるわけです。
 現場を知らないというならば、そういう実態こそに目を向けるべきで、たかだか生活保護の削減で今回は700億円でしょう。一方で軍事費は1,000億円から増やしているわけです。だから、そもそもおかしいわけです。
 それで国の責任で保障するべき生活保護について国庫負担は100%が当たり前です。また、貧困の連鎖を生まないためにも制度の拡充が求められていると思います。
 なお言うならば、そういう生活保護に至った原因は、派遣切りだとか、病気だとか、そういう事例のほうが多いわけで、そういうところに陥れたというのは、自公政権の責任であるということを指摘しておきたいと思います。
 生活保護を受給されている方でも、仕事があったら職につきたいと一生懸命頑張っていらっしゃる方もいるわけです。しかし、仕事の場も確保できないというのが実態であります。そのあたりで、そういう方々の暮らしの痛みに心を寄せる議員であるならば、当然賛同すべきだと思います。

◯能勢委員(自民党)  不正受給の問題ですが、あくまでも不正受給というのは、本当に不正をしたというか、報告が上がってきた不正受給というのがパーセンテージで出ているだけであって、実際上がってきていない不正受給というのはたくさんあるのです。
 これは、故意に離婚をしたような形をしてやっているところとか。でも、これは今の制度ではなかなか見つけにくいし、不正受給として上がってきていない。この事実はあるのです。
 わかっているパーセンテージをさっきおっしゃいましたけども、それはあくまでも不正受給が発覚して、それで不正受給としての数があるだけで、不正受給があるにもかかわらず、それを見つけられないというのは、もうそれの何十倍とあるという現状があるのを委員の皆さんには御理解いただきたいと思います。
 以上です。

◯島田委員  今の発言について、根拠をお示しいただきたいと思います。

◯能勢委員(自民党)  今、さまざまな地域で不正受給の割合が上がっております。以前の不正受給の割合と、今、こうやって不正受給が問題になって、それぞれの市町村で上がってきている、これは事実なのです。この事実をもとにして話をしております。
 以上です。

◯山内委員  以前は、高校生がアルバイトをしていたことが全額収入認定をされて、生活保護の金額が下がったのですが、それでも役所のケースワーカーは80,000円のアルバイト代のうち78,000円が必要経費だということで、きちんといろいろ指導してやっていたわけです。今、そういうものがなくなってきていまして、家庭訪問もなかなかやらない、親切丁寧な対応もなかなかできないという状況があって、生活保護を受けている母子家庭の世帯に紙が配られて、あなたのお子さんはアルバイトをしていませんか。アルバイトをしていたら不正受給になりますよ、詐欺罪で逮捕されることもありますよみたいな文書が来るわけです。
 そういうやり方でいいのかと思いますし、全く根拠のない不正受給が横行しているようなやり方というのは、本当に大きな議会の場で、そういうことをまともな、きちんとした論拠もなしに示すということは大変問題になることだと考えます。

●審査結果…挙手採決の結果、賛成少数により、不採択と決定した。

 


 

●第77号請願「国民皆保険制度等に関する請願」

◯二之湯委員(自民党)  この請願に賛成する立場で意見させていただきます。
 先日、TPPに慎重に対応するようにと、我が党の国会議員団の役員をされている先生にお話を伺いまして、その方は我々に対して、若い皆さんは御存じないかもしれないけども、かつて国民皆保険制度がなかったときは、田舎では自分たちの田畑とか、山を処分して、そして高額な医療・手術を受けるということがあって、それもなかなか買い手がないときは、お医者さんに無理を言って、そういったものをある種、現物で受け取ってもらっていた。そういうことで田舎に行けば、お医者さんは土地とかをたくさん持っておられるという現状があったのです。それで皆保険制度ができて本当によかったなと思っていますという話を聞かせていただきました。
 先般、我が党の総裁、総理大臣の安倍首相が「TPPの交渉に参加する。ただ、国益は守り抜く」ということで参加表明をされましたけれども、それに際して、党で我々が守り抜くべき国益というところで、今申し上げました国民皆保険制度とか、また農業等を含めた11項目をしっかりと我々の国益として守り抜くようにということで、総理大臣に要望されたということで、総理もそのような決意を表明されておられます。
 ということで、請願者は、京都府医師会になっておりますけれども、我々といたしましては、この趣旨をしっかりと議会としても採択をして、国に要望をしたいと思っておりますので、この請願についても、この趣旨のとおり賛成いたしたいと思います。
 以上です。

◯島田委員  請願には賛成をするものです。しかし、今もお話がございましたように、皆保険制度に最も悪影響を及ぼす、それがTPP交渉参加の問題でございます。安倍首相が言う、「断固守る」などというのは空手形であるということが明らかになっております。また、国民に対する重大な背信行為で、しかも総選挙で自民党の候補者がTPP参加断固反対と、このように公約を掲げたにもかかわらず、早速公約破りをするというのは重大な問題だと思っております。
 もともと、医療への医療法人の参入拡大、混合診療の解禁を日本に求め続けたのがアメリカでありまして、2001年の外国貿易障壁報告書では日本の医療などを過度な規制が行われる貿易障壁と決めつけて、外国事業者の営利産業、営利病院の参入が規制されていると指摘をしております。また、アメリカの今回のTPPへの日本の参加は最大のターゲットがアジアの市場、そして日本ということになっているわけです。
 断固守ると言いますけれども、既にシンガポールで3月4日から13日までTPP交渉が開催されてきましたけれども、日本が聖域を守るという主張については、これまで交渉会合で積み重ねてきた合意を遵守するようにという懸念と声が各国から出されているわけです。そしてまた、この交渉は米国の医薬品業界が他国の政府に対して知財強化を受け入れるよう強烈に要求しているということでございます。交渉は、アメリカの国会議員もテキストを見ることができない。ところが、製薬大企業は見ることができる。アメリカのファイザーとかジョンソン・アンド・ジョンソン等、他国籍の企業のほかに日本のエーザイや第一三共なども他国籍企業と名を連ねて米国研究製薬工業協会に加盟をして、間接的にTPP推進の圧力をかけているということがNGOのメンバーからの現地からの報告ということで出ております。このように、安倍首相の言う、絶対守るんだということは、当てにならないわけです。しかも、脱退をすることもできない、協議をすることもできない、審議は密室、そして4年間もこれを見られないということで、憲法の上にTPP条約を置くもので、これは日本の主権を侵害するものであって、一旦入ったら、これは仕組み上、後から抜けるということはできないわけです。ですから、国民に嘘をついてはいけないと思うのです。
 本来、医師会が言うように、こういう国民皆保険制度の恒久的な堅持と医療の営利産業化の阻止をするというならば、TPP交渉には参加してはいけないのです。そういう立場を申し上げたいと思います。
 要旨については賛成です。しかし、国へ意見書を上げる場合は、TPP交渉参加断念を求めないと意味がないと思いますので、指摘をしておきたいと思います。
 以上です。

◯二之湯委員(自民党)  いろいろおっしゃいましたけれども、安倍首相の断固守り抜くは空手形だと、その根拠もよくわからないのですが、我が党内では、先ほど申しましたような11項目の国益ということで、これは、先ほどはTPPのことだけ申しましたけれども、もちろん、過去、大体プラザ合意以後ぐらい、対日の改革要望書ということで、アメリカはいろいろな要望をしてきているわけです。その中にこういう保険や医療というのがあるというのはよくわかっている。だから、TPPのみならず、二国間交渉についてもしっかりとこの国益を守り抜くということは、我が党の中での総意なのです。
 そういうものがあるので、ただ、そうしたらTPP交渉に参加するかしないかということをその観点だけで考えるというのは、なかなか外交というのは幅広い分野を含んでおりますので、難しい部分がございます。ただ、交渉参加するからには国益を守ると言っているのですから、国民は公約を守らなかった党がどうなるかというのはよくわかっているのですから、それはそのように信じるしかないのではないですか。だから、私は先ほど申したように、この請願は我が党の主張に合致しますので、賛成をいたすともう一度申します。

◯諸岡委員長(公明党)  島田委員にお伺いします。先ほど、要旨は賛成というお話がありましたけれども、全体について賛成であるのかお示しいただきたいと思います。

◯島田委員  賛成でございます。ただし、現局面においては、この皆保険制度を崩壊する根本の原因が二之湯委員も最初におっしゃったように、TPP交渉参加の問題ですから、この問題をきちっと入れなければ請願者の願いは達成できないと私は思っております。
 既に、カナダ、メキシコが2012年12月から交渉に参加しておりますが、ここでは先に交渉を始めた米国など9ヶ国が既に合意した内容を原則として受け入れ、交渉を打ち切る終結権も再協議も要求できない。こういう不利な条件が課せられているわけであります。二国間の問題でいくと、韓国とアメリカとの二国間、これで一体どういうことになっているかというと、もともと混合診療はありましたが、これを拡大されます。また、例えば日本の医薬品、それからペースメーカーですとか、医療機器は国内では生産しておらず、輸入に頼っている部分があるわけです。こういう医療機器、さらにジェネリック医薬品の使用問題、これも公定価格を国内で決めていることについて、アメリカの製薬企業なり医療機器メーカーが訴えることができる。そして、現に韓国ではそういう公定価格を民間に委託をされまして、値上がりする。ペースメーカーも2倍、3倍になる。医薬品も値上がりするということになりますと、国民医療費が膨らんで、これまた値上げ、抑制圧力が縮まって、そして大変だということです。保険でかかる医療が狭められていって、国民は不幸になるということですから、これはもう既に明らかになっていることでありまして、本当に亡国の政治だと思いますので、この重大問題について意見を上げなければいけないと思います。
 以上です。

●審査結果…挙手採決の結果、賛成全員により、採択と決定した。

 


 

●第78号請願「国産牛のBSE全頭検査の継続のための国の助成と特定危険部位除去を国に求める意見書提出に関する請願」

◯山内委員  国産牛のBSE全頭検査の継続のための国の助成と特定危険部位除去を国に求める意見書提出に関する請願が出されております。
 国は、4月1日から、これまでの国産牛のBSE対策の緩和をして、30ヶ月齢超に緩和をし、特定危険部位の除去についても30ヶ月齢以下であれば除去しなくてもよいと、脳も含めて利用も可能といたしました。京都府も含めて、これまで多くの自治体で政府が放棄した20ヶ月齢以下の国産牛の全頭検査を実施してきたからこそ、私たちは安心して国産牛を食することができたと考えております。
 日本では、2001年以降、全頭検査を実施する中で21ヶ月齢と23ヶ月齢の国産牛でBSEがこれまで発見をされました。BSE感染牛を食べることによって発生するクロイツフェルト・ヤコブ病は治療方法がなくて、罹患すれば必ず死に至る病気であり、リスクは小さくても排除をするという予防原則の徹底は本当に重要だと思っています。
 本請願は、自治体で行っている全頭検査の継続のための助成と特定危険部位の除去を国に求める意見書提出を求めるものでありますので、ぜひ賛同を求めたいと思います。

◯二之湯委員(自民党)  請願の要旨のところの冒頭3行、厚生労働省は4月1日より何々、脳を含めて利用も可能としたとありますが、こういう方針にされたということの根拠ですか、どういった根拠で厚生労働省はこのような方針に決定したのか、それを教えていただきたいのです。

◯余田健康福祉部副部長(健康担当)  国段階での検討状況でございますけれども、食品安全委員会というのがございます。その中でBSEの発症状況といったものを検討する中で、OIE(国際獣疫事務局)という国際機関がございますけれども、そこが定めているような、自国で生まれた牛に11年間以上そういった牛が発生していない、あと、これにつきましては牛骨粉という、BSEに感染した牛を原材料とした飼料、それを8年間以上、日本としては使っていない。そういった中でそういった症例が出ていないという中で、国の安全委員会の専門家としての知見として1次答申がなされたと聞いております。
 以上でございます。

◯二之湯委員(自民党)  こういった類の制度というか、事業は、国が設けた食品安全委員会とかといったところの科学的知見に基づいてなされる。結局、それがなければ、根拠がない中で情緒的になったりとか、いろいろありますけれども、これも限られた資源の中で、できるだけ科学的根拠にのっとってやるということが、こういった類の行政の常というか、あり方ですので、そういったものにされているということであれば、それが適当ではないかと思います。国の方針に、このような形で反対の趣旨をされるという請願には賛成いたしかねるというところでございます。

◯山内委員  国の食品安全委員会で議論がされているわけです。しかし、安全委員会の評価結果の概要を見ますと、20ヶ月齢と30ヶ月齢についてのリスクがどういうふうに違うのかという評価があるのです。しかし、あったとしても非常に小さいと言っているのです。ただ、BSEについては、クロイツフェルト・ヤコブ病に罹患すれば必ず死に至るという点では、小さくても可能性がある場合については、きちんとした検査をするべきだと思うのです。
 とりわけ国産牛についてやっているわけで、それによって国産牛の信頼度というか、安心感というか、そこにすごくブランド力というのを発揮しているわけです。これは京都府も全頭検査をやっているわけですから、そういう点では、京都府の全頭検査を継続するためにも、ぜひ、国に助成を求めるという点では御同意いただけるのではないかなと思うのです。

●審査結果…挙手採決の結果、賛成少数により、不採択と決定した。