平成25年2月定例会 本会議(第6号) 一般質問―2013年2月28日〜島田敬子府議の質疑応答部分

◯島田敬子議員  日本共産党の島田敬子でございます。私は、さきに通告しています数点について知事並びに関係理事者に質問いたします。
 1月20日、NHKが「衝撃・老人漂流社会」を放映いたしました。人生最期の時間を住まいをなくし、病院や施設、ショートステイを転々とするお年寄りたちの姿。安心して老後も過ごせず、安心して死ぬことも許されない社会、ついの住みかはどこにあるのかと問いかけた衝撃の映像です。NHKの報道を待つまでもなく、私たちの周りでも介護心中や介護自殺など、悲しいニュースが後を絶ちません。私はこの間、訪問看護や介護の事業所にお尋ねをし、お話をお聞きしてきました。どこに伺っても同様に、「回復期リハビリも療養病床も老人保健施設も特別養護老人ホームも満杯です」「転々としている間に病状が悪くなり、入院の繰り返し」といった声や、「要介護認定4、5と介護度の重い方でも在宅で一人で暮らしておられる方が今や当たり前のようになっています。医療も介護も制限があり、利用料の負担で必要な介護が受けられない方がたくさんあります」とのことでした。地域の老人福祉委員さんにお話を聞きますと、3つの町内を担当され、平均30人もの一人暮らしの高齢者の見守り活動を行っておられ、最近でも3人のお年寄りの孤独死に遭遇したとのことでした。御遺体のそばにストーブが赤々と燃え、あわや大火事になるところだったとのことでした。「老人福祉委員の訪問対象ではないけれど、老老介護の高齢世帯でも気にかかるお宅がたくさんあります。大変な世の中になったものです」と、強い不安を訴えられました。
 歴代政権が医療福祉というと、重荷のようにいって、必要な施設整備を怠り、生きていくために必要な医療や介護を取り上げるなど、社会保障制度を貧弱なものにして、格差と貧困を広げてきたのであり、その責任は重大です。こうした中であるのに、政府は、お上には頼るな、家族で、地域で支え合いなさいとばかりに国民の生存権を規定した憲法25条を事実上否定する社会保障制度改革推進法の具体化に躍起になっています。生活扶助費の削減等の生活保護の切り捨てを皮切りに、介護では利用料の引き上げ、要介護度の低い高齢者のサービスを減らすなどの改悪や、医療では風邪薬など患者負担の引き上げ、患者追い出しにつながる入院日数の短縮、終末期医療の見直し等が矢継ぎ早に検討されております。
 1月21日、社会保障制度改革国民会議の場で、麻生太郎財務大臣が、「高齢者がさっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろ考えないと解決しない」等の暴言を吐き、国民の怒りを買いました。麻生氏の発言の意味するものが終末期医療を安上がりにするものであり、社会保障制度改革の本質、狙いが浮き彫りになりました。
 70歳から74歳の医療費窓口負担の引き上げや、10月からは年金を3年間連続2.3%も削減することは、7月の参議院選挙後に先送りするなど、姑息なやり方で批判をかわそうとしております。断じて許すことはできません。
 知事、京都府民の命を守る重大な責務を持つ知事として、こうした改革は中止するよう発言すべきと考えますが、いかがですか、お答えください。
 さて、改革の焦点は、医療・介護提供体制の抑制です。本府が策定した京都府保健医療計画についてもそれが色濃く反映をされております。
 まず、必要病床数についてです。病床数の算定に当たって、国から平均在院日数や病床利用率の係数が示され、今回は介護施設で対応可能な数字は差し引きなさいとの通知が出されております。これらに基づいて策定された必要病床数は、5年後には療養・一般病床で丹後で42床、中丹で403床など、合わせて1,416床の減少、精神で340床も減少する設定となっております。今回の府の基準病床数の考え方について、まずお聞かせください。
 本府は、基準病床数は、算定だけで実際に減るわけではないとしていますが、国の医療費適正化計画や診療報酬や予算で、政策的に誘導されてきたのが実際のところです。2006年の医療制度改革で、介護保険適用の療養病床を全廃し、医療保険適用の療養病床は25万床から15万床に減らすことが決定されましたが、国民の怒りのもとに削減計画は凍結されていますが、撤回はされておりません。
 民間医療機関は診療報酬によって、公立病院は財政健全化法に基づく公立病院改革ガイドラインで重点化・効率化の名で病床削減が誘導をされてきました。本府は、洛東病院を廃止し、舞鶴では病院再編で市民病院の大幅な病床削減が行われました。この10年間に6つの病院がなくなり、ベッド数も594床の減となっております。
 政府は、今後、高齢化が一段と進む2025年を目指し、平均在院日数を現在の13日から14日を9日へ短縮し、医療・介護の連携として、地域へ在宅へと誘導し、医療・介護のベッドを合わせて60万床も減らす目標まで示しております。これらを具体化するのが今回の計画です。患者と家族に多大な苦しみを負わせる、療養病床の削減・廃止計画を中止し、診療報酬や負担増による患者追い出しをやめさせ、慢性期患者の医療も保障できるよう政策を転換することが求められていると考えます。こうした立場から、国へ要請をしていただきたいと考えます、いかがですか。

 次に、具体的な中身の幾つかについて伺います。今回は、二次医療圏は6圏域として変更はありませんでしたが、二次医療圏ごとに地域完結の医療提供体制が等しく構築されるという目標がありません。一例を挙げれば、丹後医療圏では、脳卒中医療体制の急性期病院や心筋梗塞医療における回復期病院、急増する鬱病の専門的入院医療を行う精神科医療機関がありません。また、医療・介護の人材確保を初めとする医療提供体制の地域偏在、地域格差は、本府として解決が急がれる最も重要な課題ですが、これも成果指標としてわかりやすい圏域ごとの確保目標がありません。なぜ目標がないのですか。その理由をお聞かせください。
 そして、この際、伺います。丹後医療圏で、現地では、「脳外科医の確保で手術できる体制を一刻も早く整備してほしい」「精神科も含めて舞鶴まで行かなくてもいい体制にしてほしい」と、切実な声が上がっております。脳卒中の救急医療や精神医療提供体制について、4月から再出発する北部医療センター与謝の海病院に責任を持って整備することが必要です。知事の御決意を伺います。
 この間、二次医療圏単位で保健所を中心に保健医療協議会が開催され、地域における主な課題がまとめられました。その内容について、公開し、パブリックコメントなどで府民の声を聞くべきと考えます。さらに、今後も日常的にこの協議会が開催され、住民ニーズの把握や地域課題の解決に向けて役割を発揮できるよう、強化をすべきと考えますが、いかがですか。
 その点で、京都・乙訓医療圏の地域保健医療協議会には、京都市や市内の医療関係者が参加しておりません。この理由は何でしょうか。現在京都市では、京都市身体障害者リハビリテーションセンターの機能業務縮小へ検討を進めております。180日を超えてリハビリが必要な障害者や京都市内で受け入れ先のない脊髄損傷の患者さんを受け入れるなど、重要な役割を果たしている病院です。総合的なリハビリテーションセンターとして機能を充実すべき施設であります。こういう重大な問題について、常任委員会でも理事者は新聞報道で見た程度の認識でした。市内行政機関でも、地域偏在が進んでいるなど、課題は山積しております。政令指定都市であっても、医療提供体制にかかわる責任は京都府にあると考えます。本府として、京都市・乙訓医療圏の協議会を開催し、地域課題を明確にすべきと考えますが、いかがですか。

 次に、看護師確保対策について伺います。
 計画では、府内の看護職員の就業者が3万467人で、全国平均を上回っている地域偏在があるとしています。現在の深刻な看護師不足の現状認識が欠落しているのではないでしょうか。日本看護協会が2011年病院看護実態調査を発表していますが、回答があった京都府内82の医療機関で、常勤看護師の離職率が11.2%、新卒では8.3%にも上り、全国平均を上回っています。全国的にも通算経験3年、5年の離職率が12.8%、12.6%と全体よりも高く、1ヶ月以上の長期病気休暇取得の3分の1の方がメンタルヘルスの不調であり、20歳代が半数近くを占める事態になっております。
 長時間過密労働や、妊娠中でも夜勤に従事せざるを得ない職場がまだ残され、3人に1人の看護師が切迫流産を経験し、10人に1人が流産するなど、命を支える現場で、尊い赤ちゃんの命が奪われ、若い看護師たちの命と健康が脅かされているのです。
 先日、現場の皆さんにお話を聞きました。5歳と3歳の子ども2人を育てながら働いている看護師さんは、
「日勤を終えて夕食をつくり、子どもをお風呂に入れて、2時間の仮眠をとるかとらないかでそのまま0時からの深夜勤務です。3交代なのに、日勤の残業が8時、9時までになることがある。12月にはとうとう2人の子育て中の同僚が辞めていきました」
「みんな疲労こんぱいで余裕がありません。いつも医療事故が起こらないかひやひやしながら仕事をしています」
「妊婦が出たら夜勤免除のために他の人の夜勤がふえるため、妊娠してもおめでとうと喜んでもらえない、悲しい」
「看護師が足りない、増やしてください」
と痛切な声であります。また、
「平均在院日数の短縮の中で、病気が治癒していない患者さんが10日やそこらで退院をさせられます。みんなが明るい笑顔で退院していかれることを願っているのに、看護師としての喜びややりがいを感じられず、次第に心が病んで優しい気持ちがなくなっていくんです」
と話されました。看護職員は限界を超えた過密労働にさらされ、心身ともに疲れ果て、バーンアウト、健康被害が進行し、患者の安全が脅かされているのです。
 こうした中、働いている看護師の8割が仕事を辞めたいと考えたことがあり、現実に1年間に12万5,000人も離職をしています。新卒看護師が5万人近く送り出され、潜在看護師は6万人復職していますが、追いつかない現状でございます。看護師不足で全国の医療機関で病床閉鎖や削減が進み、府内でも第一日赤では新しく整備した内科病床50床をこの3月1日から閉鎖するなど、公立、民間を問わず、病棟閉鎖や病床削減に追い込まれております。訪問看護事業所や訪問看護ステーションが閉鎖される事態もあります。看護師不足による地域医療への深刻な影響が広がっております。
 そこで伺います。第1に、地域医療を崩壊させないために、一層深刻化する看護師不足の実態を緊急に調査すべきです。また、在宅や介護の分野で高まる看護の必要性や長時間過密労働の解消、夜勤回数の削減、労働基準法違反を一掃し、看護師がいきいきと働き続けられるためには、全国で200万人、京都府では4万6,000人が必要との試算があります。こうした立場から本府の第7次需給見通しを見直すべきを考えますが、いかがですか。
 第2に、看護師の労働条件を抜本的に改善することです。「夜勤は複数で月8日以内」との人事院裁定が出されて半世紀近くになろうというのに、いまだに9回以上夜勤に従事している看護師が3交代で24%あります。ILO 157勧告の「8時間以内の労働」に反する2交代夜勤が2006年から急増し、28%にもなるなど、時代を逆行する事態でございます。国に対し、診療報酬の算定基準が夜勤は月72時間以内、つまり9回夜勤を認めている問題や、外来、手術室、救急室の人員が何ら認められていない問題などの診療報酬の抜本的な改善を求めるべきです。そして、労働条件を改善し、夜勤は月8日以内という人事院裁定の早期実現を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 第3に、子育てをしながら働ける環境の整備です。産休・育児休暇後、年度途中で休暇が明けても保育所に入れず、職場復帰できない看護師がたくさんいます。保育所も学童保育所も足りません。市町村の待機児解消、病児保育の拡充とともに、院内保育所の整備・運営支援について予算を抜本的に増額する必要がありますが、いかがでしょうか。
 第4に、京都府看護師等修学資金貸与制度の改善です。看護師不足は、今や医療機関の大小にかかわらず、また、確保の困難は府域全体にわたっております。返還免除規定の対象を200床以上の病院にも拡大し、府南部地域へも拡大をすべきと考えます。
 第5に、北部地域の看護師確保にも有効な2年制通信課程の設置を早急に行うことです。現在就業10年以上の准看護師が、看護師としての国家資格を取得するための2年課程通信制学校養成所が京都府内にはありません。2004年から始まったこの2年課程通信制学校は、昨年全国で4,270人、京都では57人が合格をし、看護師として新たな一歩を進められております。高い交通費を使い、自分の休暇を使って、今年も他府県で188名の方が受講をしております。その多くが府北部の方々です。府内の通信課程を持った大学や医療看護系大学等への協力を求め、早期に設置すべきです。検討状況についてお聞かせください。
 今、看護師確保が余りにも困難であることから、人材派遣業者による看護師派遣に頼らざるを得ない状況があります。中には、悪徳な紹介業者の存在もあり、大きな課題となっております。実態を把握し、何らかの対策が必要です。また、ナースバンクの人員増など、機能の拡充と体制の強化が必要です。いかがですか、お答えください。

◯山田啓二知事  島田議員の御質問にお答えいたします。
 社会保障制度改革についてでありますけれども、少子高齢化の急速な進展、そして、厳しい財政状況のもとで、これから安定的な財源確保と持続可能な社会保障制度の確立は、大変重要な課題になっております。高齢化の時代にあって、いかに社会を存続させるか、そして、現役世代の割合が減る中で、どうやって福祉制度をしっかりと構成していくのか、この議論は避けて通れない大きな問題であります。
 現在、具体策を検討するために、昨年11月に社会保障制度改革国民会議が設置され、これまでに4回の会議が開催されました。その中で、知事経験のある元岩手県知事の増田委員など、現場の状況を理解できる委員を通じ、地方の意見を反映できるようお願いをしており、「地方団体の意見をきちんと吸い上げた上で、長い期間にわたって地域ごとに人口動態がどう変わっていくかを踏まえた議論が必要」といったような発言をしていただいたところであります。
 こうした発言を受けまして、実は、本日、今開催されているのか、終わったのかな、5回目の国民会議におきまして、全国知事会、全国市長会、そして、全国町村会との意見交換が行われることになっておりまして、全国知事会からは、私がここで答弁をしておりますので、福田栃木県知事(社会保障常任委員会委員長)が出席し、発言をすることになっております。その中の発言の主な方向性といたしましては、医療保険制度につきましては、国民健康保険の構造的な問題を抜本的に解決し、基盤強化を行うことは必要不可欠だと。それには、一体改革による追加公費投入額では、これでは不十分であるということを申し上げておりますし、医療費の適正化、保険料の適正化、公費投入等をどのように組み合わせて持続可能な国民健康保険制度を実現するのか、国は方針を明確にすべきである。構造的な問題を解決した上で、国民健康保険の保険者のあり方についても検討すべきである。また医療サービス提供体制につきましては、より効果的かつ適切な医療提供のためには、介護との連携が重要であり、地方と十分協議の上、それぞれの主体が円滑に連携できるような制度構築に取り組むべきである。また、介護保険制度につきましても、地域包括ケアシステムをより有効的・効率的なものにするために、中心的役割を果たすと考えられる市町村を初め、関係機関等地域の実情を十分踏まえて、推進することが不可欠であるといったような意見を述べる予定になっております。今後とも、この国民会議の議論に地方の意見を、現場の意見を十分に反映して安定した社会保障制度が構築されるように努力をしてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯山口寛士 健康福祉部長  京都府保健医療計画についてでありますが、今回の基準病床につきましては、国が示した新たな算出基準に基づき、地域医療のさらなる充実を図る観点から、医療関係団体等の御意見も十分お聞きする中で、府民の皆様に安心した医療提供体制が確保できるよう、基準病床数から差し引くこととされている介護施設での入所可能定員数を2分の1にとどめ、必要な病床数の確保を図ったところであります。
 また、療養病床につきましては、京都府は医療療養病床よりも介護療養病床が多いなどの特性を有しているため、まずは受け皿の整備を先行すべきとの立場から、この間、国に対して、介護療養病床の廃止の撤廃を強く申し入れてきたところでございます。その結果、昨年度の法改正により、平成29年度まで6年間、廃止の延長がなされたところでありますが、今後とも国に対して明確に「廃止の中止」の方針を打ち出すことや、あわせて診療報酬や患者負担などの医療保障の制度設計に当たっては、必要な医療が確保され、また低所得者の医療費負担が過重なものにならないよう、強く求めているところであります。
 また、二次医療圏は一般的な入院医療の整備を図るため、人口や面積などのほか、通勤、通学などの日常生活圏域などを総合的に勘案し設定しており、医師や看護師等の医療従事者の確保が難しくなる中、各圏域ごとに医師数などの数値目標を設定することは困難でありますが、京都府といたしましては、京都府地域医療支援センター(KMCC)の医師確保等の取り組みを充実するとともに、本年4月に開設される北部医療センターの医師派遣機能の強化、さらには、ナースセンター事業や各種の奨学金制度を積極的に活用し、各医療圏域で医療の人材の確保や偏在の解消に向けて全力を挙げて取り組み、基本的な医療は二次医療圏で完結できる体制の整備を目指してまいりたいと考えております。
 丹後医療圏における脳卒中の救急医療体制や精神科医療体制についてでありますが、府立与謝の海病院では、これまでから丹後地域の中核病院として脳卒中などの救急患者について、しっかり対応してきたところであります。緊急の手術が必要な場合についても、舞鶴医療センターとの緊密なネットワークにより、365日いつでも速やかに対応できる診療体制を整えているところであります。
 附属病院化後の北部医療センターでは、救急室の拡充や地域医療学講座を設置するなど、救急体制を一層充実し、これまで以上に、さらに高度な医療を提供できる体制を整備してまいります。
 また、精神科救急医療体制につきましては、府北部地域の精神科救急医療の充実を図るため、来年度から新たに舞鶴医療センター、もみじヶ丘病院、東舞鶴医誠会病院の3病院の輪番制により、夜間・休日の精神科救急医療体制を整備することとし、今議会に必要な予算をお願いしているところであります。
 京都府保健医療計画についてでありますが、今回の計画は、各圏域の地域保健医療協議会において議論された課題や対策も踏まえて策定したものであり、本計画は既にパブリックコメントを実施し、広く府民の御意見をお聞きしているところであります。今後とも、各圏域において、地域保健医療協議会を定期的に開催し、地域の課題や対策について十分御意見を伺いながら、課題の解決に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 また、京都・乙訓医療圏の地域保健医療協議会は、事務局の乙訓保健所管内の市町や医療関係者により構成しておりますが、京都市域の課題や対策につきましては、計画策定する際に、府市協議の場を設け、十分な意見交換を行うとともに、精神疾患支援や肝炎対策などのワーキンググループには京都市からも参画いただき、京都市内の課題も盛り込んだ計画を策定したところであります。
 今後とも、府市協調のもとで京都市とも十分連携を図り、京都府保健医療計画をしっかり推進してまいりたいと考えております。
 看護師の実態調査についてでありますが、京都府では、将来に向けて、計画的かつ効果的に看護師確保に取り組むため、定期的に実態調査を行い、需給見通しを立てているところであります。現在の第7次看護職員の需給見通しは、平成23年から平成27年までの5年間の計画となっておりますが、今後とも計画達成に向けて、看護協会と一緒になって、各病院を訪問し、離職防止の取り組み強化を要請するなど、さらなる取り組みを推進してまいります。
 また、これまでから看護職員の確保や勤務環境のさらなる改善を図るため、国に対して大幅な財政的措置を講じるよう、強く要望しているところであります。
 また、院内保育所の支援につきましては、国の補助制度を活用し、対象施設の拡大に努めますとともに、府独自の助成制度により、小規模の院内保育所に対しても積極的に支援しているところであります。さらに、来年度から、新たにニーズの高い病児保育施設、病児保育の施設整備助成事業にも取り組むこととし、子育てと仕事を両立できる環境や待機児童の解消に向けた保育所整備を進めてまいりたいと考えております。
 また、京都府看護師等修学資金貸与制度につきましては、看護師確保が特に困難な200床未満の中小病院や府北部地域の病院を対象に返還を免除しているところでありますが、今後、看護職員の需給状況を見ていく必要がありますが、当面は制度の維持に努めてまいりたいと考えております。
 2年制通信課程の養成機関につきましては、看護師の確保や看護師の資質向上につながる有効な手段であることから、引き続き関係団体等へ働きかけてまいります。
 看護師の人材派遣業者についてでありますが、問題となっているような事例は聞いておりませんが、違法な実態があれば権限を有する京都労働局に速やかに通報するなど、厳正に対処してまいります。
 また、ナースバンク事業につきましては、看護師確保が困難となる中、来年度から新たに就業アドバイザーを配置するなど、体制の強化を図ることとし、今議会に必要な予算をお願いしているところでありますが、今後とも関係団体とも一層連携し、ナースバンク機能の強化に努め、看護師確保の取り組みを一層推進してまいりたいと考えております。

◯島田敬子議員  御答弁ありがとうございます。社会保障制度改革についてであります。持続可能な制度と言いますけれども、地域や住民が持続不可能になる、医療難民や介護難民、漂流する高齢者がふえているのは何でなのか、健康福祉計画とか、介護保険の事業計画とか、さまざまに取り組んできたのに、寝たきりの高齢者が増えているのは何なのか、分析が必要だというふうに思うんです。自然現象ではありません。
 2012年に診療報酬改定、介護報酬の改定がございました。一般病床も療養型病床も老人保健施設でも平均在院日数を削減する圧力、そして、患者追い出しが促進をされております。特別養護老人ホームも、軽度の入所者の報酬を引き下げて、在宅へ追い出す、患者追い出しや、介護が必要な方々、医療が必要な方々が追い出されているわけであります。在宅介護の介護報酬も大幅な削減が行われております。
 今後、認知症患者もできる限り短い期間で退院をさせると、現在6ヶ月を2ヶ月で退院する方向まで打ち出されております。「地域の受け皿、自宅での介護支援が不足している現状で、なし崩し的な退院促進は、医療難民、介護難民、認知症難民をさらに増やすものである」と、医療関係団体も懸念を表明しております。
 医療、介護の全面的な安上がり構想、これが麻生大臣の声に反映をされているのではないかと思います。今後もその方向を強化する大改悪を進めれば、犠牲になるのは府民、国民であります。この改革のどこに高齢者が自分の意思で選択可能な条件や、人としての尊厳が尊重される保証があるのか、このように思います。
 知事は、今の府民の苦しみの実態に心を寄せて、その立場から全国知事会長としても発言をしていただきたいというふうに思います。要望をしておきたいというふうに思います。
 二次医療圏問題で、基本的な医療は完結できるようにとお答えがございました。与謝の海病院の脳神経外科体制についてでありますけれども、2009年の定例会本会議場、この場で、自民党の巽議員や我が党の梅木議員の質問に対して、知事は、「一刻の猶予も許されない思いで府立医科大学等と鋭意調整して外来診療を再開し、入院・手術等を含む本格的な脳外科診療が可能な体制をつくるよう全力を尽くす」とお答えになっております。この答弁の立場に現在は立てていないということでございますが、知事、この点は、知事のお言葉をいただきたいというふうに思います。当時8,439名の署名を持って丹後からお越しになられましたこの皆さんの願いは、今でも痛切な願いであります。ぜひとも整備の方向をお聞かせいただきたいと思います。
 看護師確保について、現状の厳しい認識、緊急課題であるという認識に立って、全力を投じていただきたいというふうに思います。いかがですか、お答えください。

◯山口寛士 健康福祉部長  丹後圏域におきます脳卒中の救急体制や精神科医療体制につきましては、先ほど御答弁させていただいたとおりでございます。

◯島田敬子議員  府民に対して真摯に向き合ってその願いに答えるように部長は御答弁をいただきたいと思いますし、知事に御決意を伺いたかったと思います。
 予算委員会で引き続き取り組んでまいりますけれども、かつて、蜷川府政が全国に先駆けて老人医療費を無料化いたしまして、国の制度になりました。今でもこれを続けている長野県の自治体では、早期発見、早期治療で元気なお年寄りがふえて、医療費が安く済んでいるんですね。医療はいつでもどこでも誰でも必要な医療保障をすることが、生きていくために最低限の保障であって、国と自治体が共同してその責任を果たさなければならないのだと思います。厳しく指摘をいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。