京都府議会閉会 党府議団を代表して、議案討論に立ちました。

総選挙で休会していた京都府議会12月定例会は12月17日から再開されていましたが、26日閉会しました。

閉会本会議では、日本共産党府議団を代表して議案討論に立ちました。

議案は34件、中心的な議案としては、平成23年度一般会計及び特別会計歳入歳出を認定する件と、府立与謝の海病院を公立大学法人府立医科大学附属病院化に関する議案がありました。

平成23年度に府民の皆さんが収めた税金が1年間どのように使われたか、無駄がないか、府民の願いに応えたかという視点から決算特別委員会審議での議論を踏まえて態度表明をしました。

平成23年度はリーマンショックの後に発生した東日本大震災、東京電力福島第一原発事故に加え、デフレと急激な円高により、不況が深刻化し、府民生活と京都経済に大きな影響を与えましたから、京都府としては、こうした府民の厳しい現実に立ち向かい、暮らしの実態に心を寄せて、暮らしと中小地場産業を支え、雇用を守り、社会保障や子育て支援などの施策の充実が求められていましたが、その願いに十分応えていないこと、国の悪い政治を容認・追随し、消費税増税を「地方財源が確保できる」と推進していることやTPP参加問題も「メリットデメリットの説明を」としか述べられず、福井原発群の隣接自治体でありながら多い原発再稼働を事実上容認したこと、府の振興局や土木事務所などの出先機関を統合縮小したために、夏の南部豪雨災害には災害現場へ職員が行くことができなかったことなど指摘し、安心安全な京都府をつくるために積極的に取り組むことなど指摘しながら平成23年度決算には反対しました。

また、12月定例会に提案された京都府立与謝の海病院を先に独立行政法人化された府立医科大学の附属病院化する議案関連の7議案に反対しました。50年余の間、丹後地域の住民の命を守る拠点としてまさに、住民の砦、住民の財産である病院を患者や地域住民、現場置き去りで、半年にも満たない期間で、山田知事は早々に法人化附属病院化方針を決定し強行したこと、「大学附属病院になれば、医師を確保し、高度な医療を安定的に提供できる。府北部の地域医療ニーズに応じた診療機能の充実を図る」としながら、脳外科医の確保の見通しも立たず、脳梗塞の急性期医療機関としても位置づけず、回復期リハビリや精神科入院ベッドの整備など長年の住民の願いに対して具体的な内容も示さないなどの理由から反対しました。

討論全文を、以下に引用します。

2012年12月定例議会閉会本会議議案討論島田敬子議員(右京区)

日本共産党の島田敬子です。議員団を代表して、ただいま、議題となっております議案34件のうち、9月定例会提案の第16号議案「平成23年度一般会計及び特別会計歳入歳出を認定する件」、第18号議案「平成23年度京都府水道会計決算を認定する件」、及び本定例会提案の第5号議案「京都府病院事業の設置に関する条例一部改正の件」、第12号議案「財産出資の件」、第13号議案「財産無償譲渡の件」、第14号議案「財産無償貸し付けの件」、第15号議案「特定調停申立事件に係る調停合意の件」、第18号議案「京都府公立大学法人が徴収する料金の上限の変更の認可の件」、第19号議案「京都府公立大学法人中期目標変更の件」、第21号議案「京都府公立大学法人定款変更の件」、第26号議案「職員の退職手当に関する条例等の一部改正の件」の計11件に反対し、他の案件に賛成の立場から討論します。

まず、9月議会提案の第16号議案「平成23年度一般会計及び特別会計歳入歳出決算」についてです。平成23年度はリーマンショックの後に発生した東日本大震災、東京電力福島第一原発事故に加え、デフレと急激な円高により、不況が深刻化し、府民生活と京都経済に大きな影響を与えました。それだけに本府が、府民の暮らしと中小企業、地場産業を支え、安心、安全な京都をつくるために積極的な役割を果たさなければなりません。ところが、府民の厳しい現実に立ち向かい、その実態に心を寄せた対策となっていないばかりか、府は自治体の役割を後退させ、歪めてきたのです。

それは、第1に景気対策、とりわけ中小企業支援の要望に応えていないことです。京都経済は深刻な不況下であるからこそ、地域循環型の経済対策として与謝野町で大きな経済実績をあげている「住宅改修助成制度」等の経済振興策が求められましたが実施されず、さらに焦眉の課題である住宅耐震改修の推進や、中小企業への固定経費助成は極めて限定的にとどまったままとなり、中小企業振興基本条例制定にも背を向け続けています。力のある企業への支援だけでは、京都経済の振興発展につながらない事は明らかです。更に、商工会議所や商工会連合会等の中小企業支援団体への補助金も減額し続けていることです。

第2は、雇用対策への取り組み、中でも企業の社会的責任を果たしていないためです。日本写真印刷等が本府の工場立地補助金を受け、地域経済と雇用を守る社会的責任があるにもかかわらず、企業の一方的理由で整理解雇が行われ、多くの人が職を失う事態は許されません。この点で本府の立地企業への社会的責任を強く求めていないことは重大です。さらに雇用対策では正規雇用確保に努める事が必要です。

第3は、社会保障や子育て、暮らしの施策の充実の願いに応えていないことです。私学助成の府外生徒への適用は先送りし、すべての小中学校で30人学級実現のための支援策を講じず、市町村国保への支援や子どもの医療費助成制度拡充の願いにも応えられていません。

第4は、国の悪い政治を容認・追随し、地域主権改革を推し進め、地方自治体の役割を後退させてきたことです。深刻な不況下で更に景気を悪化させる消費増税を「地方税財源の確保ができる」と推進し、農業、医療破壊など京都経済や府民生活のあらゆる分野に被害をもたらすTPP参加にも、いまだ「メリット・デメリットの説明を」としか述べられず、さらに福井原発群の隣接県でありながら、大飯原発再稼働を事実上容認したことなどは、極めて重大です。また、関西広域連合を成長させるとして、知事の協議だけで、事業を進めるような運営はとうてい許されません。さらに国の責任をますます後退させる国民健康保険の一元化の検討を進め、課税自主権を奪い、強引なとりたてをすすめる地方税機構を積極的に推進してきたことは重大です。

第5に災害などへの現場対応力を弱め、本来メスをいれるべきところに入っていないことです。これまで何度も指摘をしてきた、出先機関の統合縮小により、災害現場に府職員が行く事が出来ない、あるいは遅れる問題がこの夏の南部豪雨災害でも発生しました。府民目線で住民に寄り添った行政運営が求められる時に、過去の反省を教訓とせず、効率最優先の行政運営は許されません。また同和奨学金償還対策事業や天ケ瀬ダム再開発など不要不急、無駄な事業の見直しも不十分です。

以上の点から平成23年度一般会計及び特別会計歳入歳出決算の認定には反対です。

次に第18号議案「平成23年度京都府水道会計決算を認定に付する件」ですが、過大な水需要予測による過大な設備投資の結果、市町に無駄な「カラ水」を押し付け、その金額は23年度決算でも約16億円に上っています。府民には高すぎる水道料金を押し付ける事となっており反対です。

次に、本定例会に提案された議案29件についてです。まず、第1号議案「一般会計補正予算」には賛成するものですが、府立総合資料館の債務負担行為の補正について、一言申し上げます。本件は、82億円という莫大な負担行為に関するものでありながら、知事の提出議案説明でも全くふれない等、議会に対する説明をまともにしようとする姿勢がありませんでした。また、当初の建物本体建設工事費について、73億円程度から今回82億円に9億円も膨れ上がりましたが、これまで、議会には一度も報告がなく、債務負担行為の補正のみ提案することは異常です。工事費が膨れ上がるのにその積算根拠も明らかにしないで、全体枠だけを決めて予算を認めろというのでは議会に白紙委任しろというものでありこの案件は一旦撤回すべきと考えます。

次に第10号「府立体育館改修工事請負契約変更」について、府立体育館のリニューアルについては賛成ですが、今回の契約に関わる案件については重大な問題があり、指摘をします。昨年9月議会には、改修の基本設計・実施設計費として4200万円が提案・議決されたものの、契約では基本設計のみに変更しました。その後、24年度当初予算においては、「基本設計の発注の遅れと工期短縮」を理由に「設計つき工事」方式に変更して15億4300万円の予算を計上しました。ところが、6月の入札の予定価格は13億8300万円と減額されるなど、積算価格の根拠、精度が疑われる事態となっています。加えて、9月議会と今議会には、空調設備更新のために新たに3億8840万円の工事費増額が提案され、工事費契約総額は、12億2220万円から16億1059万5千円に膨むことになりました。しかも、理由とされた工期についても、結果として短縮されませんでした。そもそも、公共工事発注の原則は設計・施工の分離であり、「設計つき工事」は、費用や施工内容、工期などへのチェックが効きにくく、それらが大きく変動するなどの事態となるリスクが高いため、国土交通省も選択すべきではないとしてきた手法です。今回、この指摘のとおりになったと言わざるをえません。今後、府として、設計・施工内容などを厳しくチェックし、議会への十分な説明責任を果たされるよう強く求めておきます。

次に、府立与謝の海病院を先に独立法人化された府立医科大学の附属病院化に関連する第5号議案、第12号議案、第13号議案、第14号議案、第18号議案、第19号議案、21号議案について、反対するものです。

反対の第一の理由は、患者さんをはじめとする地域住民や現場職員、医療関係者への十分な説明と議論ぬきにすすめられていることです。府立病院のあり方検討有識者会議が開始されたのは昨年の8月31日、その後わずか3回の会議のみで、今年2月8日には「府立与謝の海病院を京都府公立大学法人府立医科大学附属病院化」を求める提言を京都府に提出、それを受けた知事は、「2013年4月に移行をめざす」と表明しました。その間半年にもみたない期間です。与謝の海病院は住民の財産であり、命の砦です。その病院の経営形態を大きく変えることを住民抜きにすすめたことは許されません。

第二に、独法化が、住民の命と健康を守り、地域医療を担う京都府の公的責任を後退させるのではないか、附属病院に組み入れられることで、さらに採算性が最優先され、これまでになってきた僻地医療などの不採算医療が縮小されるのではないかという危惧に対し明確な応えが示されていないことです。

第三に、住民の最も切実な願いにこたえる具体的方針が未だに明確にされていないことです。与謝の海病院を良くして欲しいと400通を超える住民アンケートが寄せられていますがこれに対して、ニーズ調査なども実施せず、まともに応えようとしていません。知事ならびに理事者は、与謝の海病院を、丹後医療圏における急性期医療、高度専門医療及び、地域医療への支援を行う拠点施設にすると繰り返しました。また、今議会提案の「公立大学法人中期目標」でも、「府北部の地域医療ニーズに応じた診療機能の充実を図る」「高度な医療を安定的に提供できる体制づくり」を進めるとしています。ところが、これまでの審議を通じても、高度医療や政策医療の内容など今後の充実方策について、脳外科医の確保や救急医療体制の充実、回復期リハビリの整備、精神科入院ベッドなど、切実な住民の医療ニーズに応える明確で具体的な答弁もありませんでした。

それどころか、現在検討中の京都府保健医療計画には、与謝の海病院を脳梗塞における急性期医療機関として位置づけないなど、府北部の中核、拠点といいながら、5疾病5事業における役割さえ果たそうとしていません。地域完結型の医療提供体制を実現するとの丹後地域医療再生計画にも明記していた事からも重大な後退です。

府立与謝の海病院は、昭和28年9月12日に結核療養所として開設され、その後、昭和36年に一般病院「与謝の海病院」と名称を変更、以来50年余の歴史を刻み、医療過疎の丹後地域の医療を担う中核としての使命を果たしてきました。昭和45には病院全体で医師が2名という存亡の危機に直面する中、昭和46年6月には、京都府は、府立医科大学に「医療センター」を設置し、医師確保と地域医療体制の確立への取り組みを進めてきました。先の知事選挙ではオール京都の医師確保が大きな課題となり、その後、地域医療支援センターが開設されました。このように、これまでも様々な課題と困難を乗り越えて、地域医療を前進させてきたこうした公的な責任を果たすこと、とりわけ、丹後の中核的医療機関として与謝の海病院を充実することこそ、京都府に求められているのです。

今回の独法化附属病院化の最大の狙いは、「経営効率化」であり、そのルーツは、小泉「構造改革」です。医療・社会保障予算を削減しようと「官から民へ」の大合唱が始まり、「地方財政健全化法」並びに「公立病院改革ガイドライン」が策定され、総務省発で「経営の効率化」「再編ネットワーク化」「経営形態の見直し」の三つの視点で強力に「病院改革」が押し付けられました。全国各地で、地域医療の崩壊が加速されました。こうした国の方針を京都府政で忠実に実行しているのが山田知事です。2005年3月末日に100年の歴史をもつ府立洛東病院が閉鎖に追い込まれたのは記憶に止められているところですが、今回ガイドライン最終年限を間近にして与謝の海病院を法人化・附属病院化を急いだものであります。厳しく指摘をしておきます。

次に、第15号議案「特定調停申立事件に係る調停合意の件」についてです。本件は、協同組合東舞鶴商店街連盟が平成5年4月28日、京都府との間において締結した貸借契約に基づく借入金の残額金4億1897万7425円、並びに違約金の支払債務について、申立人及び連帯保証人らが、京都府に対して1億9500万円を支払う特定調停の合意に関するものです。もともと、事業計画及び採算性の指導が不十分なまま事業が実施されたとの疑問がぬぐえません。

また、その後、経営難を理由に返済額の繰り延べ変更があった際の京都府の経営指導及び監査時の指導・勧告においても、事態の改善に結びつくような適切な指導がなされたかという点についても、その後の経緯からみると全く疑問が残ります。さらに、今回、この解決のために、舞鶴市が6.200万余の多額でマイコム立体駐車場を買い取ることが条件となっていますが、すでに、舞鶴市は事業開始時から多額の補助金を支出しており、不採算の駐車場の買い取りとその維持・管理などについて、さらなる負担を舞鶴市民にかけることは問題です。単に府の損金を減らすことだけでよしとする事は出来ません。今回の事件の経緯の解明、また行政の指導監督の内容についても府民の前に明らかにされておらず、行政の指導責任の解明も不十分であります。よって、第15号議案については反対するものです。

第26号議案「職員の退職手当に関する条例等一部改正」の件についてです。この条例は、11月16日、衆議院の解散当日、民主、自民、公明などの多数でまともな審議もされず強行可決された国家公務員の退職手当の大幅削減法を地方に押し付けるものです。今回の提案は、年度途中の提案で、しかも平均で400万円を超える退職金減額であり、職員・教職員にとって退職後の生活設計を狂わせる重大な不利益変更をともない、到底受け入れられない内容です。また、デフレ不況にある地域経済へも大きな打撃を与えるものです。国の言うままの提案をする府の責任は重大であり、提案そのものを撤回すべきものです。よって第26号議案に反対です。

衆議院選挙が終わり、安倍自公政権が発足をしました。有権者全体に対する絶対得票率で、自民党は小選挙区で24.67%、比例代表で15.99%に過ぎないもかかわらず、300議席近い議席を専有するなど、小選挙区制の弊害も明らかになり、見直し論が噴出しています。厳しい経済、暮らしの下で、政治が国民の苦しみに追い討ちをかけるこんな不安な年末はありません。新しい年、我が党議員団は、国民の皆さんの苦しみに心寄せて、苦難解決へ、安倍自公政権の暴走に歯止めをかけ、府民の暮らし守る共同の輪を大きく広げ、頑張る決意をのべ、討論とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。