府立与謝の海病院調査であきらかになったこと――府議会府民生活・厚生常任委員会調査その2

府民生活厚生常任委員会調査で府立与謝の海病院および看護学校を視察しました。与謝の海病院を先に独立行政法人化された医科大学の附属病院化しようとする計画が現場に十分な説明もなく、「結論先にありき」で進んでいることが浮き彫りになりました。

院長先生からは、「患者が中心の地域に開かれた病院」を理念として医療を提供する決意も述べられたものの、今後の在り方について、「あり方検討有識者会議提言」をそのまま紹介されるにとどまりました。

あらためて、与謝の海病院が地域医療で果たすべき役割はなにかについて現場の立場から率直に意見を伺いたいと質問しました。

与謝・丹後地域に不足する医療のうち、精神科の医療体制の整備、与謝の海病院に入院病床を整備する課題について、2月に発表された「提言」で一言も触れられていないがどうかという質問には「ハード面での課題がある。現在の病院の建物ではできないので建て増しが必要だが敷地も手狭で無理」とのとことでした。

回復期リハビリ病棟の整備なども長年の地域の要望であり課題となっている問題もお聞きしましたが、いずれの課題もすべてこれからのことであり、附属病院化後、一体どのような病院になるかの肝心な点は現場での議論がなされていないと率直に感じました。

「府立医科大学との連携による高度医療の提供」という点について、あり方検討有識者会議の場でも「二重投資」は効率的でないとして、府立医科大学に患者を送るような話になっていますが、患者の立場からは「なぜ遠く府立医大まで運ばれなければならないのか」という声があるが、どうかとの質問に、「高度で特殊な手術などの医療は府立医大で治療を受けられる方が患者のためにもいい」旨の答弁でした。本当に特殊なものに限ってはそうかもしれないが、基本的には二次医療圏で完結すべきと指摘いたしました。

脳外科医も含めた医師確保について結局のところ、大学附属病院化しても解決はできないことも明らかになりました。

京都府は、6月定例会を前後して、矢継ぎ早に地元市町や医師会などに説明に入り、7月17日に、推進化会議をもちましたが、これから地元の要望を踏まえ機能をどう充実させるかビジョンを検討する、秋にはビジョンをまとめる方針とのこと。結局、地元は置き去りで経営形態の変更の結論だけが現場に押し付けられていることが明白となりました。