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◯近藤永太郎議長 次に日程第2、第1号議案から第33号議案までの33件を一括議題といたします。
ただいま議題となっております議案33件については、各常任委員長及び関西広域連合に関する特別委員長から審査終了の旨の委員会審査報告書が議長あて提出され、その写しをお手元に配付しておきましたので、会議規則第40条第3項の規定により、委員長報告を省略いたします。
次に議案33件中、第1号議案及び第4号議案については島田敬子君から、第33号議案については加味根史朗君から、会議規則第76条第2項の規定により、少数意見報告書が議長あて提出され、その写しをお手元に配付しておきましたので、会議規則第40条第3項の規定により、少数意見の報告を省略いたします。
◯近藤永太郎議長 これより議案33件に対する討論に入ります。
通告がありますので、まず島田敬子君に発言を許します。島田敬子君。
◯島田敬子議員 日本共産党の島田敬子です。党府会議員団を代表して、ただいま議題となっております議案33件のうち、第4号議案京都府病院事業会計補正予算案、第31号議案鳥取豊岡宮津自動車道野田川大宮道路建設工事委託契約の件、第33号議案関西広域連合規約変更に関する協議の件の議案3件に反対し、他の30議案に賛成の立場から討論をいたします。
まず、第1号議案平成24年度京都府一般会計補正予算案中、与謝の海病院医科大学附属病院化推進費及び第4号議案京都府立病院事業会計補正予算案についてです。
当予算案は、府立与謝の海病院を独立行政法人化した府立医科大学の附属病院化を推進するための予算です。与謝の海病院の充実は地域住民や医療関係者、地元自治体の切なる願いです。特に、脳外科医の確保によって手術が可能となる体制を一日も早くつくることなど、救急医療体制の充実や回復期リハビリの整備、精神科入院ベッドなど、長年にわたって病院の機能強化と充実の要望が出されてきました。それらの願いに、今回の計画がこたえるものであるのかどうか、そこに京都府が責任を持って対応できるかどうかが、住民の一番の関心事であります。
ですから、その改革の方向について結論を出す前に、本来、地域住民や医療関係者とひざを交えてその声を聞くことが重要です。有識者会議の中でも、委員から、「本来、病院の将来のあり方にかかわる問題、地域医療の将来にかかわる問題であり、患者・地域住民に意見を聞くことが必要でないのか。地元の医療機関の声を拾い上げながら、地域医療支援病院として機能を発揮すべきかについてしっかりと言及すべき」との意見が出されているとおりでございます。
府立医科大学と公立病院の果たす役割はおのずと違うと私は考えます。行政として果たしてきた役割と責任、北部地域の地域医療と支援に直接責任を果たす役割が、大学病院附属病院化で果たせるのかという大問題について、京都府としての責任ある説明が議会にありませんでした。とにかく法人化・附属病院化して、後のことはこれから検討というのが実際のところです。
住民の期待と不安は何か。附属病院化をすれば、脳外科医の確保ができるのかという問題があります。有識者会議で吉川学長は、「附属病院化したからといって脳外科医を送れるものではない」と述べておられます。現実に大学病院医局に脳外科医が不足している実態は、医師確保対策のあり方が問われている問題であり、附属病院化で解決するような幻想を振りまくことは許されません。現在の医師の体制について、医科大学が附属病院化をすれば医科大学の研修病院になって、現在でも2年、3年でころころ変わる体制が、3ヶ月ごとに医師が交代する懸念も出されております。また、独立行政法人化された医科大学附属病院では、個室料の値上げ等、患者負担が増えましたが、同じように負担が増やされるのではないかとの心配も出されております。また、独法化で経営効率や採算性が最優先され、これまで病院が担ってきた僻地医療など不採算部門が縮小されるのではないかとの危惧も出されております。
さらに、地域医療を支えて懸命に頑張っている職員に対する説明がほとんどない中で、結論が押しつけられている点です。職員アンケート調査結果によって、医師や看護師などを含む23人もの人が「法人化と同時に退職や転職を考えている」と答えるなど、貴重な人材の流出の危険性も指摘されております。経営形態の変更により、職員は一旦京都府からの退職を余儀なくされることになり、公務員としての身分を奪われます。職員の身分、勤務条件に重大な影響を及ぼす問題を説明もなく見切り発車することは許されません。医師確保について、医大に責任を転嫁するのでなく、今やるべきは、京都府が責任を持ってオール京都で医師の確保と配置、与謝の海病院の充実に取り組むことであります。
この間、私たちが調査をしてきた中で感じたことは、過疎地域を初め地方の病院であっても若い医師が集まってくる病院というのは、常に患者・地域住民の声に耳を傾け、真に地域のニーズを把握し、これにこたえようと努力をしている病院でした。「医師は、患者さんや地域の中で育てられるものだ」と地域に飛び込み実践をする情熱あふれた医師の存在、そして、これらの取り組みを理解して支援する自治体のリーダーの存在でした。経営効率最優先では決してありませんでした。こうした中で、若い医師たちが地域医療にやりがいを感じ、モチベーションを高め、立派に成長されて地域に定着をされているのです。
以上のことから、既成事実として進められている独法化、附属病院化方針は撤回し、職員、患者、地域住民、医療関係者へ説明をすること、また、府民の英知と声を集め、地域医療と与謝の海病院の充実方向について議論し、再検討することを求めるものです。
次に、第1号議案の停電時要配慮者支援事業、電力不足緊急対策事業等について、必要なことと考えますが、一言申し上げます。
関西電力から計画停電の通知が届いております。本来、電力受給の責任は国と電力会社にあります。政府は「電力不足になったら大変」と脅しを繰り返しています。関西電力は、住民団体が再稼働中止を申し入れた際にも、「電力不足が再稼働の理由ではない」としています。結局、政府も関西電力も、原発は重要な電源であるとして今後も原発に依存する立場であるので、本気で原発にかわる電力を供給する責任を果たそうとしていないということを指摘しなければなりません。
次に、第6号議案から第25号議案及び第28号議案についてです。
これまで福祉サービスなどの質を担保するために、不十分ながら国が基準を策定していましたが、地方分権一括法により自治体が条例で基準を定めることになりました。これは、国が社会保障の責任を放棄し、地方交付税も削減して自治体にその責任を負わせるもので、国が財源を保障すべきと考えます。また、本府が条例をつくる以上、住民の福祉の増進を図るという自治体本来の役割を果たしていくため、積極的な対応が必要と考えます。
まず第14号議案と第17号議案ですが、特別養護老人ホーム等の居室定員を4人まで認めるものとなっており、国の基準を緩和するものとなっています。現在、個室ユニット型のホテルコストは1ヶ月で9万円を負担されている方もおられ、それ以外に食費や利用料負担がかかります。そのために、低年金の高齢者や生活保護利用者は入居できない実態があり、そもそもこうした負担を課していることが問題です。高齢者の尊厳を保障するためにも、希望者がお金の心配なく個室ユニット型の特養に入居できるような補助制度が必要であるということを指摘しておきます。
また、他の条例案については、国の人員配置などの最低基準をそのまま本府の条例に規定していますが、現在多くの施設では独自の基準により、国の基準を上回って人員等を配置しています。それぞれの条例には、「最低基準を超えて常にその設備および運営を向上させなければならない」とありますが、本府においても、常に福祉サービスの質が向上しているか検証が必要であり、基準の向上など見直しも必要であるということを指摘し、賛成をするものです。
次に、第31号議案鳥取豊岡宮津自動車道野田川大宮道路建設工事委託契約の件についてです。
今回の契約案件である野田川大宮部分については、地元からも森本から312号への接続道路整備などが必要になるもので道路整備に大きな負担がかかること、高速道路優先でなく、歩行者や自転車の安全対策も含めて、水戸谷や二箇、五箇等の狭隘部分など国道の改良工事こそ急いでほしいとの声も上がっています。まずやるべきは暮らしの道路の整備であり、反対です。
次に、第33号議案関西広域連合規約変更に関する件についてです。
関西広域連合が大飯原発再稼働を容認したことは、再稼働に反対する多くの府民、関西の住民の願いに背を向けたものであり断じて容認できません。また、京都府内を初め多くの市町村が、国の出先機関の丸ごと移管に不安を表明しているにもかかわらず押し切ろうとしており、市町村を事実上、関西広域連合の下請機関にしていることも重大です。
このように、関西広域連合とそのトップダウンの運営が、地方自治と住民自治を侵害するものとなっています。さらに、関西広域連合を道州制に持っていこうとする動きが強まっていることも見過ごせません。京都市と神戸市の加入は、このような関西広域連合の一層の強化を進め、しかも大都市偏重の広域行政を加速させるものであり、反対です。
この際、関西広域連合のこの間の動きについて、一言申し上げます。
広域連合委員会、広域連合議会は、9月まで延長された国会で、「国の特定地方行政機関の事務等の移譲に関する法律案」を通そうと躍起になっております。6月30日の広域連合委員会では、「法律案は6月15日に閣議決定予定だったがなかなか進まない。前原政調会長が持論を展開し、『国の出先機関の移譲は道州制が前提、連合ではガバナンスが働かない』と述べているなど、与党の中でもまとまらず、当面、意見の集約は難しい」との意見が出されております。和歌山県知事は、「法案には欠陥がある」と指摘をする一方、「和歌山では市長会も町村長会も地元国会議員も全部反対している」と発言をしています。一番重要な基礎自治体の合意がないということです。京都府内自治体も同様です。このように、与党の中でもまとまらず欠陥と指摘をされる法案を、基礎自治体の合意もない中で強引に進めることは絶対にあってはならないと考えます。
道州制との関係では、6月27日、日本経団連などが主催した「地域主権と道州制を推進する国民会議」の場で、民主党前原議員は「広域連合より道州のほうがはっきり受け皿になる。広域連合だと国と府県の二重行政解消につながらず三重行政になる」との懸念も示し、「行政単位として府や県はなくすんだという意識を持っていけるかが道州制が成功する大きなポイントだ」とも述べたと、京都新聞が報じております。
山田知事もいろいろなところで、「広域連合には欠点がある。国と都道府県、そして市町村という三層性を残したままだ。これから試練が来るかもしれない。試練を恐れていたら何もできない」と発言しております。三層性を乗り越えるということは、道州制へ進むということではありませんか。知事は、国が広域連合を制度化したときの担当理事官であり、関西経済界が道州制を提案してきたが一足飛びには進まないので広域連合設立に動いたことにも触れ、「小さく生んで大きく育てようと呼びかけた」と語っているのは、まさにそのことです。
関経連代表が、「関経連は関西から地方分権の突破口を開くことを目的に、関西広域連合を提案した。国の出先機関の移管はその第一歩」と表明していることとも、まさに一致するわけであります。
知事は、出先機関の丸ごと移管及び道州制につながるこれらの動きを直ちにやめるよう強く要望して、討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。
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◯近藤永太郎議長 以上で討論を終結いたします。
これより議案33件について採決に入ります。採決の方法は起立によります。
まず、第1号から第3号まで、第5号から第30号まで及び第32号の議案30件について一括採決いたします。
ただいま採決に付しております議案30件については、各常任委員会審査報告書どおり、それぞれ原案を可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
◯近藤永太郎議長 起立全員であります。よって、議案30件については、いずれも原案どおり可決されました。
次に、第4号、第31号及び第33号の議案3件について一括採決いたします。
ただいま採決に付しております議案3件については、各常任委員会及び関西広域連合に関する特別委員会審査報告書どおり、それぞれ原案を可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
◯近藤永太郎議長 起立多数であります。よって、議案3件については、いずれも原案どおり可決されました。
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