平成16年6月定例会 本会議(第2号) 一般質問―2004年6月9日〜島田敬子府議の質疑応答部分

◯島田敬子議員  日本共産党の島田敬子でございます。私は党府議団を代表いたしまして、さきに通告をしています数点について、知事並びに関係理事者に質問いたします。
 質問に入ります前に、先日強行されました年金改悪について、一言申し上げます。
 自民党・公明党は、国民の圧倒的多数が「年金法案は今国会での成立を見送るべきだ」との声を上げているにもかかわらず、中央公聴会も開かず、衆参両院で強行採決を繰り返し、参議院では、日本共産党などの質問権を剥奪して、数の力で悪法を押し通す暴挙を行いました。絶対に許すことはできません。
 今度の年金改悪法案は、審議をすればするほど、「保険料は上限固定、給付は5割を確保する。だから安心」と自民党・公明党が盛んに宣伝してきた「100年安心」の根拠が崩れ、年金制度の一層の空洞化と国民の生存権を奪う大改悪であることが明らかになりました。しかも、その法案そのものが、厚生年金の加入者が来年から急にふえ始める、国民年金の納付率は現在の6割から8割になる、あるいは保険料が上がっても雇用には一切影響がないなど、何の根拠もない数字を前提としているのですから、破綻することは必至であります。
 公明党は「法案が廃案になると4兆7,000億円の大穴があく」としきりに宣伝し国民を脅していますが、もともと法案が成立しても3兆8,000億円の赤字に陥るのであり、廃案による影響額は9,000億円です。「年金財政に穴があく」と言うなら、先送りした国庫負担2分の1への引き上げを即実行することであります。そうすれば、9,000億円の赤字など直ちに解消できます。二重三重に嘘をついての年金改悪の強行は許されません。しかも、国民の怒りと不信の的になっている国会議員の年金未加入・未納問題も、自民党は、いまだに党として調査も公表もしておられません。公明党も、衆議院で強行採決してから神崎代表や冬柴幹事長の未納を公表し、マスコミからも、ずる賢いやり方だと批判されています。
 日本共産党は、当面する参議院選挙で、これらの政党に厳しい審判を下し、悪法の実施を許さない闘いを進めるために全力を尽くすものであります。
 日本共産党は、先日、国民の生存権を保障するという憲法25条の規定に立って、国民すべての老後の安心を保障する「最低保障年金制度」をつくる改革案を発表いたしました。全額国の負担で当面月額5万円を保障し、その上に国民年金、厚生年金などを掛金に応じて上積みをするというものです。既にフランスでは79,000円、イタリアでも50,000円など、ヨーロッパの多くの国で無拠出でも受け取ることのできる最低保障年金制度を確立しています。日本でも、公共事業や軍事費などのむだ遣いを改め、ヨーロッパ並みに大企業に応分の負担を求めれば、これは実現できます。また、自民党や公明党、民主党は、財界の意向を受けて年金財源に消費税の増税を主張していますが、その必要は全くありません。
 我が党は、今も将来も安心できる年金制度実現に全力を挙げる決意を申し上げ、質問に入ります。

 まず、府民の暮らしと京都の経済についてです。
 政府はさきに「景気は回復基調」との見方を示しましたが、府民生活の実感とはかけ離れています。民間信用調査会社が5月7日に発表した京都府内の4月の企業倒産は50件、4月としては1998年の56件に次いで過去2番目の高水準で、前年同月比でも28.2%増、1月から4月の合計は205件と過去最多となっております。平成14年度工業統計が発表されましたが、小泉政権誕生の2年間で、京都の製造品出荷額は実に1兆2,638億円、21%も減少し、事業所数は15%、1,143事業所、従業員数で16,326人も減少するなど、経済活動の低迷に拍車がかかっています。5月発表の毎月勤労統計調査では、名目賃金指数は94.2と勤労者世帯の収入は落ち込み続け、生活保護受給者も増え続けるなど、依然深刻です。原因ははっきりしています。今の自民党、公明党、小泉内閣が進める改革の方向が間違っているからです。
 第1に、構造改革と称して、小泉内閣はこの3年間、医療、年金、介護、雇用の分野だけで4兆3,000億円の負担を国民にかぶせました。その上、今回の年金改革による負担は、初年度だけでも9,000億円増です。今後、老齢者控除の廃止や年金への課税強化、介護保険や医療費の値上げも検討されています。さらに消費税増税計画ですから、国民の将来不安は増すばかりです。知事は、このような国民負担増、痛み押しつけを続けて景気が回復できるとお考えでしょうか。また、小泉内閣は、不良債権処理の加速で経営困難にある中小企業をつぶし、地域経済に大きな役割を果たしている地銀・信金つぶしを続けています。京都経済を立て直し、府民の暮らしを守るためにも、このような痛み押しつけと地域経済破壊をやめるよう、国へ求めるべきではありませんか。知事の見解を伺います。
 第2に、今京都経済を立て直すためには、景気回復とはほど遠い状況に置かれている中小企業、伝統・地場産業対策を強めることです。本府の商工行政予算を見ますと、例えば伝統和装産業振興予算は、緊急雇用交付金事業を除きますと1億5,000万円、経営再生を目指す中小企業への再生支援事業は6,000万円、これに対し、けいはんなベンチャーセンター1ヶ所の運営事業に1億4,000万円、企業誘致対策は19億円になっています。地域で必死に頑張っている伝統産業や地場の零細企業への支援は年々先細りで、あまりにも冷たいのではありませんか。京都の有力な先端企業の多くが、伝統産業の技術を生かして生まれ、成長してきた歴史を見るとき、これらの京都の伝統や歴史・文化に培われた高い技術力を誇るものづくりの基盤をしっかり守り、引き継いでいくことが重要です。それでこそ雇用も守れます。
 これまでから我が党は、和装、伝統・地場産業を守り発展させる府の責任と役割を明確にし、実態調査と関係者や研究者の意見をもとにした業種別・産業別の基本指針の作成、後継者育成や新商品開発、研究・経営指導体制の強化などを盛り込んだ「地域経済振興条例」を本府としてもつくるべきと繰り返し提案してきました。京都市は今年度、「伝統産業守れ」の多くの関係者の声に押され、伝統産業活性化条例制定の検討を始めました。これは一歩前進です。本府としても、ベンチャーだけでなく、伝統・地場産業の振興に力を入れる、このことを明確にするためにも地域経済振興条例を制定すべきではありませんか。いかがですか、お答えください。
 第3に、本府は今年度広域振興局単位に地域振興計画をつくるとされていますが、その中心に地域経済を立て直す計画を据えることです。府内の各地域での経済を立て直してこそ地域の振興を図ることができます。従来の開発型や大企業依存の呼び込みではなく、地域の持つ、わざ、人的資源、環境や自然などを生かした経済振興計画を策定すべきです。そのためにも、地域の経済関係者や業者、農林漁業者、そして学者、研究者も参加した、地域経済振興のための協議会をつくり、府民参加で計画をつくることを提案いたしますが、いかがでしょうか。見解を伺います。
 この際、本府でも深刻な状況を生み出しています若年労働者の問題について、お伺いをしておきます。
 今、完全失業者は全国で335万人、4.7%と高水準で推移していますが、若年労働者の失業率は依然1割を超えて深刻です。京都府内では、求職活動をしている人だけでも13万7,000人ですが、その半数が15歳から34歳の青年です。このように、働きたくても仕事がない青年がいる一方、長時間・過密労働、さらに低賃金でパートや派遣社員として働く青年がふえ続け、その中で過労死や過労自殺、労働災害もふえ続けています。
 私は先日、過労死裁判を闘っておられる福知山の中田さんの話を伺いました。中田さんの息子さんは、府立工業高校卒業後、トステムに入社して4年目、夜勤から帰宅後の就寝中に22歳という、あまりにも短い生涯を閉じました。研修期間を過ぎて以来、残業、残業の毎日で深夜に帰宅、休日は寝てばかり、朝方帰宅してまた出勤するなど月の残業は過労死の危険ラインである80時間をはるかに超えていました。その上、定時になると寒い冬でも暖房が切れるなど、作業環境は劣悪でした。あまりの酷さに多くの青年たちはたまりかねて辞めていきました。数人の親たちの告発で労働基準監督官が立入調査に入りましたが、タイムカードはなく、労働時間はリーダーに任されるなど、事態は改善されず、こういう中で中田君は亡くなりました。トステムは、本府が綾部工業団地に誘致した企業であり、府立高校から就職あっせんもしてきた企業です。二度とこんな悲しい事態を招かないためにも、知事として、労働基準局任せにせず、府が誘致した企業が労働基準法など労働条件をきっちりと守るよう働きかけるべきではありませんか。
 また、労働基準監督官は福知山でも、3,000件を超える事業所に対し、わずかに2名の配置しかありません。国に対し労働基準監督官の増員を求めるとともに、さらなる連携を図り、実効が上がるよう、対策の強化を求めるものです。いかがですか。
 このように今、青年を初め多くの労働者が労働基準法すら守られていない職場で、健康を害し、命を失うまで働かされているのです。今、違法なサービス残業をなくすだけでも全国で161万人、有給休暇を全部保障すれば150万人の雇用拡大につながり、多くの失業者の雇用を確保できます。今、大企業の横暴をやめさせ、ルールある社会をつくることが日本社会に求められているのではないでしょうか。

 次に、障害者支援費制度と介護保険制度について質問いたします。
 支援費制度がスタートして1年が経過をいたしました。中心的問題で幾つか伺います。
 まず第1に、サービス基盤の問題です。
 「障害者の選択と決定を尊重する」「利用者本位のサービス利用に」とのうたい文句でしたが、利用したくても利用するサービスがないのが現状です。京都の障害者団体が行った調査では、回答のあった27の市町村のうち、自立生活を支える4つの居宅事業が整っているとしたのは、わずかに5自治体、「通所施設が不足している」は12自治体、「入所施設が不足している」としたのは15自治体となるなど、サービス基盤は在宅・施設ともに圧倒的に不足をしています。このことは、本府が実施をした在宅障害者ニーズ調査でも、「障害者が希望する内容や量のサービスが受けられない」「事業者が少ない」などの声が多数上がっていることからも明らかです。こうした中にもかかわらず、グループホームなどの補助金の単価の切り下げを実施し、今後、身体・知的障害者の入所施設の新設や定員増を伴う増改築に原則として国の補助金を出さない方針を決めたことに対し、関係者からは「サービスの量も種類も圧倒的に不足をしている。それなのに、財源難を理由に次々と補助金を削減することは許されない」と怒りの声が出されております。現状をどのように認識されていますか。まずお聞かせください。
 現在、本府は障害者基本計画の見直しに向け作業中ですが、住民の願いにこたえ、地域に必要なサービス基盤を整える必要があります。その際、市町村や法人任せにせず、また、国の基準にとらわれることなく、住民の真のニーズにこたえた計画となるよう求めるものですが、いかがですか。
 また、小規模作業所や通所授産施設では、企業を解雇された人、養護学校卒業生、そして重度重複障害を持つ人など、希望する方を拒まず受け入れ、多様なデイサービス事業を展開しています。しかし、施設独自の努力で人員を配置しているため、年間の赤字が1,000万円に上るところもあるなど運営は大変です。ところが、国はこうした施設への補助金を削減しました。また、本府は今年度、共同作業所への補助金を増額したものの、一方で社会福祉施設職員の健康管理や研修費用などの対策費を廃止したため、運営困難に拍車がかかっています。国に対し小規模通所授産施設や作業所への補助金削減を中止するよう求め、少な過ぎる現在の人員配置基準を改善するよう求めるべきと考えます。また、本府としての努力を引き続き求めるものですが、いかがですか。
 第2に、相談体制の問題です。
 さきの調査で、市町村における担当職員の配置は全国に比べて大変少なく、障害者の要望が強いケアプランの作成をしている自治体はわずかに3市のみ、他の市町村と「斡旋、調整、利用要請」について調整会議を実施しているところはわずか1ヶ所しかありません。担当者が個別に対応している現状です。本府として、市町村が障害者や家族の求めに応じてケアプランの作成がされるよう、相談窓口の体制整備を支援するとともに、市町村の「斡旋、調整、利用要請」を行うよう働きかけ、支援することが必要と考えますが、いかがですか。
 また、市町村障害者生活支援事業や障害児地域療育支援事業が、国の補助金の一般財源化と府予算の削減により存続が危ぶまれています。府として、これについて2年間の独自措置をとってこられましたが、引き続き事業を存続・拡充すること、障害種別の支援センターを地域に適正に配置することが重要です。いかがですか。
 第3に、支援費制度と介護保険制度の統合問題です。
 そのねらいは、支援費制度スタート初年度から100億円以上も予算不足となるなどの財源難に対して、介護保険料を充当することで、現行の障害者施策に対する国の費用を大幅に圧縮しようというものです。厚生労働省は「介護保険との統合を行わなければ支援費制度そのものの存続が危うくなる。場合によっては一般財源化される可能性もある」という脅しまで使って、制度統合に踏み切らせようとしていることでも明らかです。そもそも支援費制度と介護保険制度では、財源をはじめとして仕組みが大きく異なっています。例えば、長時間の介護が必要な重度障害者のサービスは、現在の介護保険の上限を大幅に超えるものであり、統合されたらサービスの切り捨てになるのではないかと、障害者や家族の不安を広げています。また、サービスに対する障害者の自己負担が、現行の所得に応じて決められる応能負担から応益負担になれば、負担はさらに大きくなります。このように、今回の統合案は、多くの矛盾、問題点を抱えており、全国市長会のアンケートでも76%が「慎重」「反対」の姿勢を示しています。制度の違いと実態を無視して、財政削減先にありきで障害者と家族に負担増と犠牲を押しつける今回の統合案に反対すべきです。今急ぐべきは、必要な基盤整備は国が責任を持って行うこと、そのための予算を拡充することです。知事の見解を伺います。
 次に、介護保険制度についてです。
 実施から4年が経ちましたが、京都府でも利用者が増える一方で、負担が重くて十分なサービスが受けられない、施設不足から特養ホームに入所できないなどの矛盾が広がっています。ところが政府は、5年目の制度見直しに当たって、保険料の徴収対象を20歳以上に拡大する、サービス利用料を現行の1割負担から2割、3割へと引き上げる、すべての特養ホーム入所者から家賃を徴収する、軽度の介護者のサービスを抑制するなど、大改悪を進めようとしています。給付を削減し負担を増やすものであり、認めることはできません。このようなやり方でなく、だれもが安心して利用できる介護保険制度とするための見直しが必要です。
 第1に、保険料・利用料の減免制度についてです。さきに共同通信社が行った「介護保険についての全国首長アンケート」でも、保険料について、7割の首長が「設定が不公平」「高過ぎる」と回答しています。見直しに当たって、減免制度を国の制度として確立することを求めるべきではありませんか。また、京都府としても直ちに実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 第2に、給付への国庫負担を今の4分の1から2分の1へ引き上げることを国へ求めるべきです。いかがですか。
 第3に、特養ホームの増設など待機者の解消を図ることです。先日、舞鶴へ伺ってお聞きしますと、舞鶴市の待機者は571名とのことです。優先順位の導入など入所基準の見直しの中で申請をあきらめる人があり、1,000人を超えていた待機者が571名となったとのことですが、言いかえれば、今すぐにでも入所の必要な緊急性の高い待機者と言えます。こうした待機者の数について本府は把握されているでしょうか。お聞かせください。
 本府の第3次高齢者保健福祉計画を見ますと、とても実態に合うものではありません。解消のための計画を持つべきではありませんか。知事の見解を伺います。

 次に、教育問題です。
 この4月から、何らかの少人数学級に踏み出した自治体は42道府県になるなど、急速に広がっています。本府では、この春から少人数学級の選択的実施が始まり、現在18の市町村で実施をされ、小学校で32学級、中学校で13学級、合計45学級増となりました。綾部中学校では、1学級36人、37人であった生徒数が31人程度になり、
「1人1人の状況が把握しやすく、落ちついた状況がつくりやすい」
「2学級を3グループに編制し直す少人数授業がなくなり、すべての授業で学級の機能が授業に生かせる」
など、すぐれた評価が上がっています。府教育委員会はあくまで国が進める習熟度別授業に固執していますが、これまでも指摘をしてきましたように、低学年から学力で輪切りにしてやる授業は児童に劣等感さえ生まれるなど弊害が多く、子どもの発達の上で新たな障害をもたらすものです。
 先日、文教常任委員会で、今年度から市内すべての小・中学校で30人程度学級の実現を目指す愛知県犬山市をお訪ねしましたが、市教育委員会は
「国や県が進める習熟度別授業は、児童・生徒にとって有効性が認められるという根拠は何も示されていない。習熟度別授業は競争教育そのものである」
と明確に批判をされ、
「いろいろな能力や個性を持った子供がいることでいろいろの考えが交流でき、教え合いを通じてそれぞれが向上する豊かな人間関係を築き、子どもの学力や教師集団の力量を高めることができる」
と明瞭に語られました。研究と実践の積み重ねの中からの発言であります。
 この際、京都府として、すべての学校で少人数学級編制に踏み出すべきです。指導方法工夫改善加配約750名や細切れの講師配置7億円の府単費事業を改善・活用すれば、本府でも低学年から順次可能です。決断すべきときです。いかがですか。
 次に、高校改革についてです。
 この4月、府教育委員会は、府立高校改革推進計画・第1次実施計画に基づいて、「中学生から選ばれる高校づくり、希望する高校を選べるシステムづくり」と称して、普通科総合選択制や総合学科の増設とともに、洛北高校における中高一貫教育の選択的導入、山城通学圏の入試制度改革を実施されました。学校現場や子どもたちに早くも矛盾と混乱を広げています。
 第1に、洛北中高一貫校への選択的導入は、小学校の教育を歪めています。「学力検査はしない」となっているにもかかわらず、私立中学入学並みの難問を出題し、受験競争の低年齢化を招く危険性が明らかになりました。競争倍率は10倍を超え、「クラスによって合格した数が違い、担任の内申書の書き方が話題になっている」など、選抜過程の複雑さと合否基準のあいまいさが指摘され、入試の不明朗さを深めています。何より、多数の子どもが不合格になり、ショックで学校を休む子どもが出るなど、子どもたちに深い傷を残す結果となりました。このように受験競争の低年齢化を招き、小学校から子どもたちの中にエリート競争を持ち込む選択的中高一貫教育は見直すべきではありませんか。
 第2に、山城通学圏で実施された入試制度改革についてです。
 府教育委員会は、「学校選択の幅が広がる」「希望する学校に行ける」などと宣伝し、通学区域の拡大や、単独選抜と3段階選抜を導入しましたが、結果は全く逆の事態になりました。子どもたちは、「受験機会がふえたのではなく不合格の回数がふえただけ」「行きたい学校を選ぶというより、落ちない学校を選ぶ」ということになったと語っています。ある中学校教諭は「子どもたちの涙をこれほど見た年はなかった」と述べました。一般選抜では昨年の2倍近い311名の子どもが不合格になり、特色選抜では選考基準や選考過程が一層不透明になっています。また、1年目で高校の序列化が一目瞭然となり、地元の学校に通えない子どもたちがふえ、通学範囲が大きく広がり、通学費負担の増加や、部活動に参加できないなど、教育活動への影響も出始めています。さらに、京都府が、特色づくりで目玉としていた総合学科や普通科総合選択制の実施校などでいずれも定員割れという事態になり、早くも行き詰まりを示しています。苦痛と混乱を与え、高校間の序列化を決定的なものとする山城通学圏の入試改革は中止し、子どもたちを振り落とすための入試でなく、子どもたちを励ますため、希望者全員が入学できるものとなるよう、府民的論議と合意に基づく真の改革を行うべきですが、いかがですか。
 府教育委員会は、この3月に「府立高校改革推進計画・第2次案」を発表されました。その特徴は、40人学級をそのままにし、「1学年は8学級」などという一律的な適正規模を決め、適正配置の名で最初から高校統廃合を進め、高校の数を減らす計画です。小規模でも地域の特色を生かした学校づくりや、困難を抱える子どもたちのよりどころになっている学校もあります。また、学校がなくなるということは地域づくりにとっても死活問題であります。定時制・通信制高校の困難を解決すると言うなら、通学しやすい地域にきめ細かな定時制や通信制を設置することです。この際、高校でも30人学級を実現することを初め、子どもたちが通学しやすい地元の学校で豊かに高校生活を送ることができるよう、地域住民参加、高校生参加で高校改革を進めてはいかがでしょうか。教育長の見解を伺います。

 次に、市町村合併について伺います。
 今国会で、自民、公明、民主党などが市町村合併の関連3法を成立させました。これまで国が強引に進めてきた合併が政府の思惑どおりに進まないことから、さらに強化をしようとするものです。特に見過ごせないのは、勧告権など、合併押しつけのための知事権限を強化したことです。これに対し全国の知事から、「市町村と対等・協力の関係にあるべき府県が一方的に押しつけることはおかしい」「一律の合併勧告は行わない」「合併しない自治体に支援を行う」など反対の意見が相次ぎ、知事の6割が「半強制的な勧告権の行使は行わない」と表明をしています。ところが山田知事は、この勧告権を「場合によっては行使する」とマスコミの調査に答えられました。
 宮津・与謝1市4町の合併協議については、御承知のとおり既に破綻し、6月4日には、「休会とする」という提案も確認できずに、事実上の解散という事態にまで至っていますが、知事はこの間、この合併協議に対しても京都府市町村行政改革支援委員会をてこに露骨な介入を行ってきました。私は、5月8日の合併協議会の議事録を見て大変驚きました。府の支援委員の一人は「合併しないと、とてつもなく厳しい状況に急激に追い込まれる。合併しない場合は、毎晩のように会議をして戦略を練らなければならない」などと、まるで脅しのようです。別の支援委員は「住民発議で請願を起こしてでも1市4町の合併を」と迫っているではありませんか。これは、助言などではなく、1市4町の枠以外はあり得ないという府の意向を押しつける介入以外の何物でもありません。そして、これらは、「新合併特例法」で新たに盛り込まれた、知事が任命した合併調停委員による斡旋・調停を行うという強制的手法の先取りです。こうしたやり方はきっぱり改め、あくまでも合併は地域住民の自主的、主体的な判断によるもので、介入はしないという立場に立たれるべきと考えます。
 さらに、支援委員会の「助言」が強調する、合併によるスケールメリット論、行財政の効率化論も、単なる合併押しつけ論であることも明らかになっています。現実には、合併前の駆け込み箱物事業、合併特例債を当てにしたむだな公共事業によって、財政再建に逆行する事態が全国で進行しています。京都でも、福知山市議会で市長が「三和、夜久野、大江の3町が、合併を前に起債を使ってハード事業に多くのお金を使っている。それを京都府が認めている。こんなことをしとったら合併はできない」と答弁をしていますし、京丹後市では、合併を前にした各町の箱物建設の結果、それまであった6町の基金は38億円にまで半減、逆に借金である起債は50億円増えて794億円に増加をいたしました。一方、峰山町の子宝支援、丹後町の若者定住対策、弥栄町の高齢者福祉医療など、町独自の制度がなくなり、水道料金が2倍、3倍にはね上がったところや、国保料が大幅に値上げされたところなど、住民サービスは低い方に、住民負担は高い方に合わされようとしています。
 結局、スケールメリット論とは、国が本来負担をしなければならない地方交付税を大幅に減らすことができるというだけのことであり、住民にとっては、住民サービスは低下、行財政効率化で町役場などの雇用の場はなくなる、そして公共事業で新たな借金はかぶせられるという、二重三重のデメリットとなるだけです。野田川町の広報誌は、第1に、合併により逆に住民サービスが後退する。これでは住民にとってのスケールメリットはない。第2に、合併後の大型事業がメジロ押しで財政健全化につながらない。第3に、ハード事業中心のまちづくりは野田川町の理念とかけ離れているとしていますが、支援委員会の助言は、これらの指摘には全く答えていません。
 事実上破綻している1市4町合併の枠組みを押しつける府のやり方、あるいは支援委員の発言は、だれが見ても介入そのものですが、知事はそうは思われないのですか。
 また、相楽7町村への合併押しつけの助言に対し、木津町長が「町に一言もなく提言された。先に合併ありでは問題は解決しない」と批判をしているように、地方自治を侵害し、事実上の介入の道具となっている支援委員会は解散すべきですが、いかがですか。明確にお答えください。
 さらに、政府の合併押しつけのねらいが国の地方財政切り捨てにあることがいよいよ浮き彫りになってきています。今年度の地方交付税等の削減額は、京都府で306億円、府内市町村では京都市を含め255億円に上り、市町村財政を圧迫しています。この間、国は多くの自治体関係者の批判を前に、2006年度までに3兆円規模の税源を移譲すると言い出しましたが、これを上回る規模の補助金削減を強調し、さらに地方交付税の削減も予測されます。国の財政運営の失敗を地方に押しつけることはあってはなりません。
 今、地方切り捨ての三位一体改革を許さない、地方を挙げた大きな共同の闘いが求められています。ところが、本府は財政健全化と称して、国と同じようなやり方で、既に市町村の予算書に盛り込まれていた就職助成などの事業を一方的に廃止、障害児童のふれあい交流事業など各種の事業を中止いたしました。このことが市町村の困難に一層の拍車をかけています。
 今必要なことは、住民の暮らしを守る市町村の仕事を支えるための支援を強化することであり、ここに京都府の役割があるのではないでしょうか。そこで、幾つか伺います。
 第1に、未来づくり交付金についてです。合併の誘導や市町村への介入にこれを使うようなことはせず、ひもつきではなく、市町村が自由に地域の実情に合わせて、福祉対策、生活交通の維持・確保対策、小規模農家への支援、観光振興、雇用対策などに使えるようにすべきと考えますが、いかがですか。お答えください。
 第2に、住宅改修助成制度についてです。さきの国会で、我が党の西山登紀子参議院議員の質問に対し、石原国土交通大臣が「私も肌でわかる」と住宅改修助成制度の経済効果を認める答弁をいたしました。また、介護保険の枠を超えて自治体が住宅改修を支援していることについては、坂口厚生労働大臣が「大変いいことだ」と答えています。国もその意義や必要性を認めざるを得なくなっているのです。知事はこれまでから「地方から国を変える」と発言されてきました。地域経済への波及効果、在宅介護の基盤整備、さらには耐震対策と、二重三重の効果のある住宅改修助成制度を京都発で全国に先駆けてこれを実施されてはいかがでしょうか。改めて伺いたいと思います。
 第3に、子どもの医療費助成制度の拡充です。府の制度を越えて小学校入学前まで通院も助成する自治体が29市町村にまで広がりました。これも国会決議で助成の必要性が明記をされました。坂口厚生労働大臣は、1,100億円ですべての就学前までの子どもの医療費が無料化できるのに「お金がない」と拒んでいますが、米軍への思いやり予算はその2倍、2,400億円も使っているのです。思いやる相手を間違っています。このような子どもの命と健康にかかわる問題で、住んでいる地域によって差別があってはならないと考えます。この際、府として制度拡充を決意されてはどうでしょうか。そして、国の制度として実現されるよう求めるべきと考えます。知事の見解を伺います。

 次に、平和の問題です。
 イラクで2人の日本人ジャーナリストの命が奪われました。私は、この野蛮な行為に心からの怒りを表明するとともに、真実を伝えるために頑張ってこられた御二人に心から哀悼の意を表したいと思います。
 イラク戦争から1年、「イラクに平和を」「自衛隊は撤退せよ」の声は日に日に強まっています。戦争の大義も失われ、激しい戦闘が続く中で、「そもそも来たことが間違いだった」と撤退をしたスペインだけでなく、ニカラグア、シンガポール、ホンジュラスやニュージーランドも撤退を決めるなど、各国のイラク撤兵の動きが広がっています。こうした中、アメリカによる不法なイラク占領はますます矛盾を広げています。ファルージャでは、米軍が市民700人以上を殺りくしました。民家や救急車、宗教施設までミサイル弾を撃ち込み、クラスター爆弾など残虐兵器も使って、罪もない子どもたち、女性の命を奪うなど、明白な国際法違反を繰り返しているのです。米英軍のイラクの刑務所内での虐待、拷問など、人権抑圧の行為はまさに、無法な侵略者の実態を示しました。自衛隊のいるサマワでも激しい戦闘が行われ、オランダ軍からも死者が出ました。自衛隊宿営地周辺での攻撃が繰り返され、戦場そのものなのです。今必要なことは、米英の軍事占領をやめさせ、国連中心でイラク国民の自主独立の国づくりを応援することです。
 そこで、知事に伺います。知事は、2月議会の我が党議員の質問に対して、「人道復興活動は、戦闘活動が行われていないところが前提、これが崩れるようなことがあれば勇気ある撤退を」と答えられましたが、今こそ平和を取り戻すために「自衛隊は撤退せよ」と言うべきではありませんか。
 次に、国会で審議中の有事関連7法案についてです。さきに成立した周辺事態法は、アメリカの軍事介入によって発生した事態を、あたかも日本に対する武力攻撃、日本有事であるかのようにみなして米軍を支援することを決めました。今回の法案は、相手国が予備兵を招集する、あるいは陣地構築の段階をいわゆる「予測事態」として、米軍への弾薬提供、空港・港湾の排他的軍事使用を初め、米軍に対する無制限な支援が開始されるものです。日本を守るどころか、国民をアメリカの戦争に総動員しようとする極めて危険な法案であることは明らかです。
 今、京都の自衛隊でも基地強化が進められ、舞鶴では、日米新ガイドライン策定以来、急速に基地強化が進められています。この間、ヘリコプター基地の建設、弾薬庫や燃料貯蔵所の拡充、自衛隊桟橋の延長と港湾の浚渫、防衛デジタル通信網の整備、イージス艦・補給艦・ミサイル高速艇など、配備が次々と増強されています。米海軍は今年3月、ミサイル防衛構想の一環として日本海にイージス艦を常駐させる計画を発表するなど、日米合同の戦争への最前線基地として強化されているのです。
 知事は、舞鶴港の港湾管理者としてこれ以上の戦争準備に協力すべきではありません。今回の有事関連法案の一つ「特定公共施設利用法」は、武力攻撃予測事態の段階から、自衛隊及び米軍の優先的利用を図ることを明記しました。その指示に従わなかった場合は代執行をされることとなっていますが、これは知事の港湾管理権を奪う地方自治の明白な侵害ではありませんか。知事の見解を伺います。
 次に、国民保護法の問題です。知事は「法治国家として国民保護の法整備が必要」と言ってきましたが、この法律は、国民保護とは名ばかりで、土地や家屋、物資の強制的収用や保管命令などについて、国民が拒否をすれば犯罪とされるもので、憲法違反の人権蹂躙法です。また、法案はこれらの強制措置を国民の避難や保護・救援を目的に行うとしていますが、これは全くの建前で、緊急時に国民を避難させようとしても、米軍行動円滑化法によって、米軍車両には日本の車両を無視して緊急通行や物件の撤去までできる権限が与えられているのです。昨年、鳥取県、内閣官房、総務省消防局などが主催して行われた第1回国民保護フォーラムで、自衛隊の責任者は、住民の避難より米軍や自衛隊の展開が優先になっていることを明言していることからも明らかです。知事は、危機管理の名のもと、いち早く自衛官を職員として採用し、マニュアル作成を進めていますが、自治体としての戦争協力体制づくりではありませんか。直ちに中止すべきですが、いかがですか。
 今必要なことは、こうしたやり方を改め、憲法違反の有事関連法に反対し、憲法の平和原則を生かした国づくりのために努力することではないでしょうか。知事の見解を伺います。

 最後に、府営水道の過大な水需要予測とダム問題について伺います。
 我が党は、これまでから本府の水需要計画について、人口予測と1人当たりの水需要予測が過大であると指摘してきました。さらに、こうしたことから見て、丹生ダムや大戸川ダム、天ヶ瀬ダムなど、新たな水利権なしでも府営水道の供給は十分に可能であることを明らかにしてきましたが、本府は、丹生ダムなどの建設計画にあくまで固執してきました。しかし、さきの予算委員会では、我が党議員が国立社会保障・人口問題研究所のデータをもとに、第5次水道懇の給水人口予測、2020年に約70万人というのは明らかに過大ではないかと指摘したことに対し、理事者は、状況が大変ドラスチックに変わってきており、水需要の予測を精査しなければならないと答弁されました。
 そこで、2点について改めて伺います。知事は、府営水道給水地域の人口予測や生活様式の変化などを踏まえ、現在の水需要予測についてどう見直されるおつもりですか。また、この際、当初計画が1,100億円、それもこの事業費がどこまで膨張するかわからない丹生ダム、同じく740億円の大戸川ダム、330億円の天ヶ瀬ダム再開発から本府も撤退表明を行い、莫大な税金投入を伴うダム建設の抜本的見直し、中止を国に求めるべきですが、いかがですか。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

◯山田啓二知事  府民の暮らしと京都経済についてでありますが、京都府としては、府民の生活を守る立場から、社会保障制度の充実や地域経済の振興について、介護保険制度を充実させるため、介護サービスの基盤の整備及び質の向上を図ること、医療保険制度について国の責任において、保険料、患者負担、公費負担のあるべき姿を明確にし持続可能な制度として構築すること、厳しい環境にある中小企業の現状を踏まえ地域産業の活性化や中小企業の振興を図ること、中小企業の経営を安定させるため、円滑な資金供給等中小企業金融対策を一層拡充することなど、全国知事会等を通じ国に対し積極的な提案・要望活動を行っているところでございまして、今後特に地方分権を推進し、府民の身近にあって地方公共団体が自立した立場から府民生活を守れるよう働きかけてまいりたいと思っております。
 また、地域の中小企業・伝統産業の振興を図るために、京都市と協調しまして、全国初のオンリーワンであります「あんしん借換融資」や、ことしつくりました「小規模企業おうえん融資」を実施しておりますし、毎年2億円規模の伝統産業の職人さんへの仕事づくりの推進を行うとともに、「西陣織・京友禅等産地活性化基金」等の活用による産地振興など、全国でもトップの施策を総合的に実施しております。京都が世界に誇る伝統産業や地場産業については、これら産業を取り巻く環境が大きく変化する中で、一層の活性化を図ることが重要であると考えておりまして、このため今後の施策の方向性と具体的方策のあり方について京都産業活性化プランづくりの中で現在検討を進めているところであります。
 次に、地域振興計画についてでありますが、できる限り現地・現場を踏まえた行政を推進していくという観点から、新しい広域振興局におきましては、市町村や府民の意見も聞きながら、地域の課題の的確な把握に努めるとともに、地域政策を企画・立案し、実施していくことを目指しており、地域振興計画はこうした地域運営を戦略的に展開するために策定をするものであります。地域振興計画の具体的な内容につきましては、広域振興局が主体性を持って策定に当たるようにしているところでありますけれども、振興局の広域性を生かした観光戦略や地域の特産品である例えばブランド京野菜の生産振興策、さらには地域における産業集積を生かした企業誘致など、各振興局の地域特性や課題を踏まえたものになるよう努めたいと考えております。また、計画の策定に当たりましては、市町村を初め、関係団体やNPOなど、地域の皆さんに参画いただく地域戦略会議で御議論いただき、地域の意見が反映され、振興局の施策というにとどまらず、各地域の皆様が十分連携・協力して、地域の力を引き出せるようなものにしてまいりたいと考えております。
 経済全般に明るさも見えてきましたけれども、依然として府民レベルでの厳しい雇用情勢の中にあります。私は、地域経済の活性化と地域雇用の安定創出を車の両輪として、すべての働く人々が生き生きと働けるような京都府づくりを施策の柱として掲げてまいりました。
 特に、雇用問題につきましては、京都府では労働相談のため平成14年10月からフリーダイヤルを導入、また平成15年9月から弁護士による特別労働相談を実施するなど、相談者の抱える問題の解決に向け、その充実に努めているところであります。労災認定に係る相談につきましても、法的な相談に乗ったり、労働基準監督署を紹介するなど、事案によって適切な対応を心がけているところでありまして、さらに依然として労働関係法令違反の事案が後を絶たない状況にありますことから、今年3月には、監督権限を持ちます京都労働局長に対しまして、知事名で労働基準関係法令の遵守の徹底が図られるよう要請をしてきたところであります。あわせまして、今年度は従来にも増して京都労働局との連携を一層緊密にすることとし、京都府が開催するセミナーにおいて労働基準法の遵守に係る講演を設け、京都労働局から講師を派遣してもらうとともに、企業への周知・啓発もお願いしているところであります。今後とも、府内で働く人々が安心して働ける労働環境の整備を図るため、京都労働局とも連携をしながら、労働相談及び労働関係法令の周知・啓発に努めてまいりたいというふうに思っております。
 あまり国の人数増については言いたいとは思わないところもあるんですけれども、労働基準監督官の増員につきましては、国において必要な部署に必要な人員を配置するという方針で定員増に努められているところであります。
 次に、支援費制度についてでありますが、本制度の運営に当たりましては、昨年の制度改正に当たりまして、一部地域や障害者の実情等を無視した国庫補助制度の一般財源化が行われ、また財源確保につきましても障害者の方々に大きな不安を与えたところでありますが、これに加え、本年は国の財政上の理由により、年月をかけ準備をされてきた施設整備が抑制されるなど、市町村や地域の障害者の方々の努力が報われない状況が見られるところであり、京都府といたしましても、この間、国に対し強く改善を求めてきたところであります。これからも、国に対しその責任を果たすよう強く求めてまいりたいと考えております。
 こうした状況の中ではありますが、京都府におきましては、制度施行前から府独自の措置を講じ、入所施設や授産施設は全国的には高い整備水準となっています。サービス利用状況は、ショートステイで84%、デイサービスでも41%増加し、指定居宅事業所数が171事業所から203事業所へと32事業所増加するなど、これまでのサービス提供の強化につながってきているところでございますけれども、今後とも、府内のどの地域においても施設サービスを初め、必要とする障害者のニーズにこたえることができるよう、市町村や関係団体とも連携しながら、基盤整備やサービスの充実に努めてまいりたいと考えております。
 障害者基本計画につきましては、昨年度京都府が障害当事者や御家族などを対象に「障害者保健福祉に関する調査」を実施したところでありまして、その分析とあわせ、今年度、市町村や関係団体、障害当事者などの御意見をお聞きする中で、新しい障害者基本計画を策定していくこととしております。
 障害者の通所施設につきましては、障害者が住みなれた地域で仲間と集い働くことのできる施設として非常に大切なものであるというふうに考えております。特に、無認可の共同作業所については、京都府では全国トップ水準の補助を行っておりまして、今年度も厳しい財政状況の中で、何とか弱い立場にある人を支えていきたいと考えまして、運営補助の増額を実施したところでありますし、国制度の小規模通所授産施設についても、府独自に運営費の上積み措置を講じているところであります。
 なお、府独自の施設職員対策等の各種助成制度につきましては、職員の資質向上や第三者評価の導入促進など、施設利用者の処遇向上に向けた施設の努力や工夫に対する助成へと制度の改善を行ったところであります。
 次に、障害者の相談支援体制につきましては、従来からさまざまな障害種別に応じたサービスの相談にこたえられるよう、市町村職員の研修やケアマネジメント従事者の養成研修を実施するなど、人材の養成、資質向上に努めてきたところでございます。また、身体障害者更生相談所や知的障害者更生相談所においても、市町村職員に対して専門性を発揮した助言指導を行ってきているところであります。さらに、専門相談機関及び関係施設等のネットワーク化を進めるなど、障害者のニーズに応じた相談体制の一層の充実強化を図ることが必要と考えております。
 なお、障害者地域生活支援センターについては、府内に身体・知的・精神の障害種別ごとに18ヶ所に設置済みでありますけれども、今後は、総合的な相談窓口の再編・整備等によるサービス向上を視野に入れた支援体制の新たな構築を目指して、各障害保健福祉圏域ごとに障害者相談支援ネットワーク体制の整備を進めていきたいと考えております。
 支援費制度と介護保険制度の統合問題につきましては、社会保障制度全体を見渡した視点から、すべての世代の負担と給付のあり方について幅広い意見を聞きながら、国民合意のもとで見直していくべき問題であると考えております。見直しに当たりましては、支援費制度における障害者施策と介護保険における介護サービスの仕組み、内容が大きく異なっておりますので、利用者本位の視点や障害者の方々の自立を損なわないよう統合できるかどうか、障害者の意見をもとに課題を十分に整理することが必要であると考えております。いずれにいたしましても、市町村と十分連携しながら、障害者が安心して地域で生活できる支援体制の構築に向け、引き続き努めていくとともに、支援費制度の移行時に見られましたように、実質的に地方への財政負担の転嫁が行われるのはこれは全く問題が違うと思いますので、そういった点がないよう国に対して強く求めてまいりたいと考えております。
 次に、介護保険制度についてでありますが、介護保険制度におきましては、社会全体で介護が必要な高齢者を支え合うという趣旨から、高齢者の方や現役世代の方に保険料・利用料の負担をいただくとともに、国、都道府県、市町村もそれぞれの役割に応じた公費で負担しているところでございます。京都府におきましても毎年負担が増加しておりまして、本年度は約155億円を負担するなど、財政状況が大変厳しい中で、全力を挙げてこの制度を支えているところであります。こうした中、低所得者に配慮し、通常5段階設定の保険料を6段階とする制度を活用している市町村は、府内では現在7割以上に達しておりまして、全国平均の約1割を大きく超えているところであります。また、利用料の減免につきましても、府も負担している社会福祉法人による利用料減免措置など、現行制度の積極的な活用を市町村にもお願いをしているところであります。また、国に対して、高齢者、低所得者の保険料・利用料などの経済的負担の軽減とあわせて、地方公共団体の財政負担が過度とならないよう、調整交付金を国庫負担金25%の別枠で措置することなどについて積極的に提案・要請を行っているところでございます。
 特別養護老人ホームの待機者につきましては、市町村が現行の介護保険事業計画の利用見込み者数を算定する際の基礎資料とするため、各施設へ実申込者数を把握した結果、京都府全体で3,640人、京都市内分を除き1,570人となっております。この市町村計画を踏まえた府介護保険事業支援計画に基づき、政令市として施設整備を行う京都市を除きまして、他の市町村と連携して必要な施設整備に努めているところでありまして、現在計画を上回る速さで進捗をしているところでございます。
 なお、15年度末では特に入所の必要性が高いと言われております4割、630人分を超えまして、750人分の施設整備が完了または着工済みでありますし、グループホームは約350人分を整備済みとしているところでございます。さらに運用面でも、本府の策定いたしました入所指針に基づきまして、入所の必要性の高い方から優先的に入所できるよう全施設で取り組んでおりまして、今後とも、在宅サービスを含めた介護サービス基盤の一層の整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、市町村合併についてでありますが、地方分権が進展する中、住民に最も近い立場にある市町村が住民福祉の向上を図るためには、行財政基盤を充実強化することが大変重要な課題となっております。そのため、各地で市町村が、合併を含め、市町村のあり方に対し真剣な議論が行われているところでありまして、府といたしましては、こうした自主的な取り組みに対し必要な支援を行うのは当然であります。ただ、市町村のこうした議論が進むにつれまして、各市町村の意見が分かれてくる場合が出てくることは、これは往々にしてありまして、実際多くの市町村長さんから「府の仲介をお願いをしたい」というような声が上がっているのも、これは私自身も直接聞くなど、事実としてございます。ただ、都道府県といたしましては法的な役割として仲介を持っておりますけれども、議員のような立場もありますので、できる限り市町村の自主性を担保するために、市町村からの公式要請によるものに限る、助言の内容はできるだけ客観的なものとすべきとの立場から、第三者による市町村行政改革支援委員会を設置し、そして、宮津・与謝の場合も法定協議会の依頼に基づきまして助言を行ったものであります。支援委員会においてさまざまな角度から検討が加えられたところでございますけれども、私はそれは何ら強制を伴うものではないということをここで申し上げておきたいと思いますし、その後の各市町村も、これを前提といたしまして活発な意見交換を行っているというふうに考えております。
 未来づくり交付金につきましては、市町村が行財政基盤の充実強化など、自主・自立の事業を企画・立案・実施しようとする場合に、府の関与をできるだけなくして、それぞれの地域の実情に応じて市町村の裁量により活用することができるようにしているものでございます。
 また、住宅改修助成制度につきましては、これまでからお答えいたしておりますとおり、幾つかの市町村ではそれぞれの地域における状況を踏まえながら、雇用・不況対策の一環として取り組まれているところであります。府といたしましては、府営住宅ストック総合活用事業やいろいろな形での中小企業の雇用支援対策を講じているところでございまして、こういうそれぞれの施策が相まって地域経済が成り立つというのがまさに地方自治ではないかなというふうに思っております。
 乳幼児医療助成制度につきましても、平成15年9月に制度の拡充を図ったところでありまして、厳しい財政状況ではありますけれども、所得制限を設けることなく、全国的にも高い水準になるよう精いっぱいの支援を行いまして、親御さんたちが安心して医療を受けていただけるよう配慮しているところでございます。私は、国に求めるというよりは、国が税源移譲してくれればいいのだと、そうすれば私どもが地域の実情に応じて判断をしていくというのが分権型社会の中では正しいやり方ではないかなというふうに思います。
 次に、イラクへの自衛隊派遣についてでありますが、自衛隊の活動は医薬品の供給や経済基盤の復興など、イラク特措法に基づいた人道復興支援に限定をしております。イラクの状況につきましては報道によるしかありませんけれども、正直、悪化の傾向にあるようにうかがえるだけに心配しております。これまでから申し上げてきておりますとおり、政府は現地の治安状況等を注意深く見きわめ、自衛隊の方々に万一の事態が生じないよう、安全確保の観点から活動の慎重かつ柔軟な実施を最大限考慮され、イラクの状況や活動について、国民に対する説明責任を果たしていただきたいと考えております。いずれにいたしましても、今朝、国連安全保障理事会は全会一致でイラク復興協力に関する決議を採択いたしました。我が国も含めた国際的な協力・協調のもとでイラクの人々の平和な日々が一日も早く訪れることを期待いたしております。
 次に、特定公共施設利用法についてでありますが、当法案は武力攻撃事態等において、港湾、空港、道路、海域、空域及び電波の利用に関して、住民避難などの国民保護のための措置と我が国への侵害排除のための措置の調整を行い、それぞれが円滑かつ効果的に行われることを目的としたものでありますし、そういう運用をなされるよう努力してまいりたいと考えております。
 国民保護法制についてでありますが、私はいかなる事態においても、府民の生命・身体・財産を守ることが私どもの何よりも重要な責務であると考えておりまして、国民保護法制の整備に当たりましても、知事が本部長となる都道府県国民保護対策本部へ自衛隊も参画し、知事の総合調整機能が真に発揮できる法制となるよう国に求めてまいりました。また、京都府の総合的な危機対応体制の強化を図るため、危機管理監を新たに設置し、そのもとに、元自衛官、警察官、消防官などの危機管理の専門家を配置したところでありまして、今回採用しました元自衛官は、阪神・淡路大震災において救援のオペレーション事務に実際携わるなど、災害の救援・復旧活動に専門的な知識を有する方でありまして、危機発生時において府民を守る立場から、行政と自衛隊との連絡調整に加え、危機対応に関するノウハウの提供を期待しているところであります。
 鳥インフルエンザの例を挙げるまでもなく、私どもには、府民の安心・安全を確保するため万全の備えが要請されております。今の国際情勢も踏まえまして、いろいろな面で私どもはいつ危機に直面するかわかりません。私はいかなる誹謗中傷があろうとも、しっかりと府民の立場から府民を守るということをここで申し上げておきたいと思います。
 次に、府営水道についてでありますが、水需要予測については、おおむね5年ごとに精査することとしておりますけれども、最近の景気の低迷や節水意識の向上など、水道を取り巻く社会経済状況の変化による影響等も踏まえた分析が必要と認識しております。そのため、学識経験者等による府営水道水需要予測検討委員会を設置したところでありまして、予測に当たりましては、受水市町とも協力・連携し、幅広い視点から水需要の分析を行い、府営水道事業経営懇談会の意見もお聞きしながら、中長期的な水需要の見通しを策定してまいりたいと考えております。
 また、丹生ダム等の水利権につきましては、宇治市などへの給水が暫定水利権に支えられていることも踏まえ、何よりも府民の将来にわたり安定した給水を確保することを第一義に、水需要の動向も考慮し、府の負担ができる限り少なくなる方向で総合的に検討してまいりたいと考えております。

◯武田暹 教育長  島田議員の御質問にお答えいたします。
 少人数教育についてでありますが、学校現場の先生や保護者の方々の意見を十分聞いて策定をいたしました「まなび教育推進プラン」を踏まえ、市町村教育委員会の判断で、少人数授業、ティーム・ティーチング、少人数学級を選択して実施できるよう、今年度から「子どものための京都式少人数教育」を実施しているところであります。このため、学校や児童・生徒の実態に応じたより一層効果的な指導が図られているものと考えております。
 次に、中高一貫教育についてでありますが、洛北高校附属中学校へは10倍を超える志願者があり、府民の非常に高い期待がうかがえるものであります。入学者の選抜に当たっては、学力検査は行わず、学校からの報告書、作文、製作、面接、さらには抽選を用いるなど、受験競争の低年齢化を招くことのないよう十分配慮したところであり、今後とも、洛北中高一貫教育の目指す理念の実現に向け一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、山城地域における選抜方法などについてでありますが、今回志願倍率が上がっておりますが、これは希望する高校を今まで以上に選択できるようにしたことにより、生徒、保護者の府立高校への期待が高まったものであると考えております。また、特色選抜は、受験機会の複数化と学力検査によらない多元的な評価尺度による選抜を行ったものであり、その結果、各高校の校長からは特色に応じた目的意識の高い生徒が入学していると聞いており、今後とも、中学生から選ばれる特色ある高校づくりを積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、府立高校改革推進計画についてでありますが、本年3月の計画案では、生徒一人一人の能力や個性を最大限に伸ばす適切な教育課程の編成や一定規模の生徒や教職員の集団を維持し、活力ある教育活動を展開できることに視点を置いて適正規模を示したものであり、統廃合や廃止を前提とするものではありません。
 なお、再編整備を進めるに当たっては、中学卒業生数の将来見込みや生徒の志望動向に加え、地域の状況を十分に考慮し、関係市町村教育委員会などの意見も聞きながら、総合的に判断してまいりたいと考えております。

◯島田敬子議員  何点か伺いたいと思います。
 まず最初に、労働基準局の監督官の増員を国に言いたくないというふうに私は聞こえたのですけれども、──そうですか、それでしたら結構ですけれども。
 いずれにいたしましても、いろいろな京都府の施策をお聞きしましたが、実効は上がっていない。これは国会の質疑の中で、過労死や過労自殺、あるいは健康被害、労災が増え続けている。この現実に目を向けて対策をさらに強化することを要望するものであります。
 人減らしを国も地方自治体も競い合う、これがあたかもいいように言われますが、必要な人員は増やさなければいけないわけで、福知山の監督官の増員はぜひ要望していただきたい。これはお母さんの切実な願いです。いかがでしょうか、お聞かせください。
 それから、もう1点。特養ホームの待機者ですが、先ほど1,570、府下で3,640という数字を言われましたけれども、これは一昨年、もう2年ほど前の数字かと思いますが、現在の待機者はどれほどか。とりわけ、来年が見直しですので、これはつかまなければいけない数字だと思いますので、改めて現在の数について、あるいは調べていなかったらそのようにお答えいただきたいと思います。
 舞鶴の待機者571人について、緊急度の高い待機者と先ほど申し上げました。京都府の第3次高齢者保健福祉計画を見ますと、16年度の必要数は中丹圏域で78人、平成19年までの増員数は299しかないわけです。571人の待機者に299人の計画しかないということを知事は御存じですか。改めて、これでも計画の見直しは必要がないと言われるのか、お答えをいただきたいと思います。
 市町村合併についてですが、あくまで自主的・主体的な自治体の判断だと、住民の意向を尊重すると言うならば、今のようなやり方は介入以外の何物でもありません。これは改めるべきだというふうに思います。
 木津町長の発言については紹介をいたしました。地元町長も「要らない。一言も相談はない」と表明をするぐらい批判の声は高いわけでありまして、私はこうしたやり方は改めるべきだと考えております。
 次に、市町村支援、特に子供の医療費助成制度と住宅改修助成制度の問題について、国会議論の中でも、この有用性については明らかになっています。そして、私は、知事が京都が先進的にやって、国の制度にぜひしていただきたいなと思って質問をいたしました。
 せんだって行われました三位一体改革推進列島シンポジウムで、知事の発言を聞いておりましたら、「地方の知恵を出し、やってみて国を変えよう。役割分担という人がいるが推し進め過ぎると切り捨て論にしかならない。住民から始まり、市町村が仕事をし、これを都道府県が支え、これを国が応援する」、こういうふうに発言をされました。と言うなら、私どもの提案はまさに時宜にかなった提案であるというふうに考えております。ぜひこのような立場で要求すべきだというふうに思っております。答弁があればお答えください。
 最後に、平和とイラク問題です。
 イラクの今の現状を「悪化して、心配する」というお答えでした。明言をされませんでしたけれども、今の状況は、非戦闘地域である、撤退をするような事態ではないという認識なのかどうか。これは国会の問題なのですけれども、2月議会での答弁との関係がありますので、ぜひお答えをいただきたいというふうに思います。
 さらに、国民保護、住民の命や財産を守る問題ですけれども、テロも自然災害も感染症も、それぞれ性質が違います。それぞれに対処方法があります。これを全部ひっくるめて、ごちゃまぜにして危機をあおって、事の本質、アメリカが起こす海外のイラク型の戦争に日本の国民も自衛隊も地方自治体も動員をするというこの法律の本質を覆い隠そうという詭弁であります。
 テロの危機は、アメリカの今の実態のように、無法な侵略戦争がテロの温床を拡大している、これは冷厳な事実であります。今、地震災害など自然災害をとめることはできませんが、戦争は人間が起こすものであり、人間の手によってやめることができます。私は改めて、国民の命や安全・財産を守ると言うなら、アメリカの言いなりになって、軍事基地を拡大・強化し、戦争法をつくるようなやり方ではなくて、平和憲法9条を生かしたあくまでも平和外交に徹する、そして自治体レベルでの外交を続けることこそ、今私たちに求められることだと思っております。
 以上、指摘をして、質問を終わります。

◯山田啓二知事  労働基準監督署の問題は、ちょっと私の発言が十分ではなかったかもしれませんが、私自身は基本的に、こういった問題は国の出先機関が行っていて本当にちゃんとできるんだろうかという思いを持っております。つまり、企業の周知・啓発、商工行政、労働行政、これが一体となってやっていかなければならない、地域で完結していく必要があるのではないか、それが本当の意味での地域の労働者の方々の生活を守れるような体制になるのではないかという思いをちょっと申し上げたところでございまして、そういう中で、私どもは必要に応じ、例えば警察官の人数もふやしておりますし、国の方についても増員ということがあるというふうに聞いているということを申し上げたわけでございます。
 それから、介護保険の件でございますけれども、まず基本的には、これは市町村がしっかりと調べていくという中で私どもは、それに従った施設の整備計画をつくっていくという前提ですから、それぞれのところでまず我々はそういうものを踏まえていくべきだと思っておりますし、18年に向けまして、今度は17年度には待機者を含め、調査が必要になってくると認識をしております。
 それから市町村行政につきましては、木津の話をされましたけれども、では、これを要請しました笠置町、南山城村、和束町の立場は一体どうなるのでしょうか。一面だけをとらえるということではないと思うんです。皆さんがやっぱりやっていかなければならない。木津町の町長さんに対しましても、我々は今こういう立場で支援委員会にかけて、助言をするということは申し上げているところでございます。しかし、それを事前に調整するとか、そういった趣旨のものではないということを理解していただきたいというふうに思っております。まさに、こういったものを前提としまして私どもは、特にこれは南山城村と笠置町、そして和束町の要請に対してこたえるものですから、そういう形でお話をさせていただいているということを御理解いただきたいというふうに思います。
 乳幼児の問題は、やっぱりちょっとニュアンスが違うなというふうに思うんです。一つ一つの改革というものを私どもの思いからやっていくということで、それを何か全国一律にやっていく話ではないのではないか。地方の課題という現況を踏まえた中でやっていって、国はどちらかというと、外交とか、防衛、金融、そういったもので十分やっていただければ、私はいいのではないかなというふうに思います。
 それから、イラク問題につきましては、私は正直言いまして、今報道でしか状況を知ることはできませんけれども、確かに悪化している状況というものは新聞報道でありますので、国はきちんと説明責任を果たして、非戦闘地域であるのかないのかについての説明は国民にすべきであるということを申し上げたところであります。
 テロとか自然災害は、私は知事としての立場から、例えば鳥インフルエンザであろうと、テロであろうと、府庁の力を全部使わなければいけないわけですね。府庁の力をどうやって全部使って、そしてその力を有効に、効率的に使って府民を守る、そういう立場からすべてを考えておりますので、ひっくるめて云々という話は、私は逆に言うと、応用のきかない話をちょっと申されているなという感じがしております。
 質問じゃなくて提起みたいでしたので、このあたりにさせていただきます。