平成14年9月定例会 本会議(第2号) 一般質問―2002年10月1日〜島田敬子府議の質疑応答部分

◯島田敬子議員  日本共産党の島田敬子でございます。日本共産党府会議員団を代表いたしまして、さきに通告しております数点について、知事並びに関係理事者に質問いたします。よろしくお願いをいたします。
 知事は、6月の部課長公所長会議で「私たちの使命はあくまで府民福祉の向上を図ることであります。これが私たちに課せられた唯一の使命です」と述べられました。その役割を果たしてこそ自治体と言えます。問題は、それが実行されるかどうかです。
 御承知のように、小泉内閣は、今年から来年にかけて医療・介護・年金・雇用など社会保障のすべての分野で3兆2,400億円という史上最悪の国民負担増を押しつけようとしています。長期化する不況の中で、中小企業の倒産・廃業が相次ぎ、失業者は増大する一方です。
 今、府民の多くがきょうあすの暮らしの不安、展望さえ持てない状況に追い込まれております。
「わずかな年金の中から介護保険料を天引きされ、医者に行っても医療費は次々と値上がり。我々高齢者は邪魔者のようで、早く死ねと言われているようだ」、
あるいは
「会社が倒産をして1年、職安に行っても職がない。毎日300円で暮らしている」。
これは、我が党が今取り組んでいる府民アンケートの声の一部です。私は、国民に痛みを押しつけ、暮らしを押しつぶす小泉内閣の「国民負担増」にきっぱり反対するとともに、本府が今こそ悪政から府民の命と暮らしを守る防波堤の役割を果たすべきではないかと考えます。この立場から、幾つかの問題について、お尋ねをいたします。
 まず、福祉・医療にかかわる問題です。
 自民党や公明党がごり押しをした医療大改悪の結果、きょうから高齢者の窓口負担増が始まっています。月額3,400円の定額制が撤廃され、原則1割から2割負担を窓口で払わなければならなくなりました。平均2倍から3倍の値上げになりますが、私が伺った方は、慢性気管支炎で酸素吸入をしないと生きていけない在宅患者さんでしたが、負担は10倍になるとのことで、言葉をなくしておられました。私は、幾つかの医療機関の調査を行いました。10月以降、負担がふえる高齢患者の割合は、ある診療所で73%、中規模病院では68%になるとの試算が出されました。
「10月1日を待つまでもなく、今でも1割も外来患者が減っている。4月に800円から850円に増えただけで影響は出始めていたが、医療改悪法案が国会で強行可決された直後に一斉に始まった新聞のキャンペーンで受診が減った。実際に負担増が始まる10月、今日からは本当に心配です」
とのことでした。高齢者のみの世帯や障害者がおられる家族の場合は特に深刻です。国に対して医療改悪の撤回を直ちに求め、限度額の引き下げも要求すべきですが、いかがですか。
 今度の改定では、月に8,000円もしくは12,000円の限度額が設けられたものの、平均40,000円程度の国民年金など、年金のみの収入で暮らしているお年寄りにとっては大きな負担です。府として低所得者に対する減免措置を具体化すべきではありませんか。また、先ほどの在宅の呼吸器障害患者の場合は障害認定で3級に該当しますが、現在、本府の重症心身障害老人健康管理事業の対象になりません。この制度の対象を3級に拡大すれば救えます。御所見を伺います。
 また、限度額を超えた医療費について、申請によって払い戻す償還払いの手続の簡素化が行われ、高齢者本人による申請が困難な場合には代理人による申請が認められました。それには当然医療機関も含まれると考えますが、既に国保の高額医療費に受領委任払い制度を採用して窓口で払わなくてよいやり方が京都市、宇治市など5つの自治体でとられております。同じような方法で、外来についても受領委任払い制度の導入を市町村や医師会などと協力して行うこと、そして、これまでの制度も含めて市町村への徹底を図っていただき、受診抑制など医療の後退をできる限り食いとめる努力を強く求めるものですが、いかがですか。「福祉の向上を図る」ことが「唯一の使命」と言われるのなら、お年寄りにせめてこれくらいの対策は講じるべきではありませんか。明瞭にお答えください。

 次に、介護保険制度についてです。京都府が発表した「2001年度の介護保険制度の実施状況」によりますと、3月末の要介護認定者は当初見込みより約11,000人多く、介護給付費も当初見込みを約27億円上回り、11市町村の介護保険特別会計が赤字となりました。来年の見直しに当たり、京都府下の自治体で予想される保険料の値上げは20%以上と言われ、平均3,600円と全国第3位の高い保険料になることが報道されました。その上、国が特別対策として3%に据え置いてきた訪問介護利用料を6%と2倍に引き上げようとしており、自治体独自の利用料減免制度への影響も避けられません。本府はこれらについて「大きな問題なく推移しており、おおむね順調に運営されている」としていますが、とんでもありません。
 具体的に伺います。第1に、基盤整備についてです。本府がやっと実施した調査では、特別養護老人ホームの入所待機者は3,600人を超え、老人保健施設も療養型病床も待機者が多数おられます。これについて、一体いつになったら解消されるのですか。お答えください。
 また、在宅サービスでは、事業所が少ない丹後や中部圏域では利用率が低く、訪問リハビリの達成率は34%という低さです。地域における基盤を緊急に整備するため、市町村の実情に合わせた支援が必要です。また、重度の障害や痴呆症、感染症を持つ高齢者、人工透析治療や難病患者のケアを行うことができる拠点的施設は、府として責任を持って整備する必要があると考えますが、いかがですか。
 地域リハビリテーション体制の拡充のため、府北部にリハビリテーションセンターをつくることを初め、地域リハビリテーションのネットワークの構築をこれまでから私どもは要望してきましたが、早急に実現することを求めます。お答えください。
 第2に、保険料・利用料負担の問題です。本府が行った利用者アンケートを見ますと、過半数の高齢者が保険料の負担を大きいと感じ、利用料についても3人に1人が負担に感じています。8月7日に発表されました内閣府の「介護サービス価格に関する研究会」の調査では、「介護保険導入で全体としてはサービス利用が増えたが、年収400万円以下では、1割の自己負担が重荷となって利用はむしろ減少している。低所得者が真に必要な介護サービスを受けられるよう十分配慮していく必要がある」と指摘をしています。今こそ、住民税非課税世帯の保険料や利用料を免除する恒久的対策を国の制度として確立すべきです。府独自に保険料・利用料の減免制度を実施すべきです。この際、国に対し国庫負担をかつての2分の1に戻すよう要求すべきと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
 次に、ホームヘルパー養成研修をめぐる問題についてです。京都では、ヘルパー研修に当たった3事業者が「研修内容が不適切」として指定を取り消されました。その結果、受講生625名もの方が資格も取れず講習料も返済されないという被害を受け、「被害者の会」が結成され、「せめて補講費用について救済措置を」との要望を出されております。指定取り消し後、被害者の実態もつかまないまま2ヶ月間も放置し、救済という名で被害者の補講先を紹介するだけの府の対応に怒っておられます。被害者の会の皆さんの切実な要望に対応すべきです。指導監督責任のある京都府として、事業者に対して受講料の返還を指導すること、それが不可能な場合は、京都府の責任で補講を行うか、補講料の支援を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。このような事件が再び起きないよう、介護保険法に指導監督体制の強化や明確な罰則規定を盛り込むよう国に対して要求すべきです。知事の見解を伺います。

 次に、障害者福祉の問題です。
 来年4月から障害者福祉に「支援費制度」が導入され、本日からサービスの申請受け付けが開始されています。厚生労働省は、受け付け開始直前の先月12日の日にやっと支援費給付額や利用負担について示しましたが、それまでは国の基準が示されないため、実施主体である自治体では例規さえつくることができませんでした。準備不足のままで事実上見切り発車が行われたわけで、市町村に対する助言、支援の強化が求められております。府内の障害者関係4団体は、市町村を対象に行ったアンケート調査を踏まえ、本府に対して改善の要望を提出されましたが、本府はいまだに何の回答もせず、懇談会も拒否されていることは重大です。
 厚生労働省は、支援費制度の導入により「利用者本位」「サービスの選択が進む」と言い、「措置制度から支援費制度に移行しても何の問題もない」と繰り返してきました。しかし現状は、基盤整備のおくれから、契約できる施設やサービスそのものが不足しており、重度障害者が取り残されるおそれや、支給決定を行う市町村の専門性の欠如や相談体制の整備の遅れなども関係者から指摘をされております。
 今回の厚生労働省の発表では、重度加算や強度行動障害者等に対する特別加算が盛り込まれ、利用料負担についても所得基準などを加味した応能負担となるなど、関係者の要望が一定反映されましたが、まだ改善すべき点も多く残されております。最大の問題は基盤整備の不足です。来年度政府予算の概算要求で、支援費関係は3,293億円、前年比100.3%とほぼ同額で、自然増を考えると実質マイナス予算であり、新制度スタートに当たって十分な基盤やサービスを増やすつもりがないことがはっきりしています。
 私は先日、幾つかの自治体を伺い、現状をお聞きしました。担当者は
「これまでサービス基盤の整備について法人任せにしてきた結果、地域的な偏在が著しい。国も京都府も基盤整備を怠ってきたのに、今になって障害者福祉は市町村の仕事と言って責任だけを押しつけるのはおかしい」
と怒りを持っておられました。
 例えば中丹地域では、在宅支援の拠点となる生活支援センターは舞鶴に1ヶ所しかありません。「単純な人口比で計画を決めるのではなく、広大な面積を持ちながら過疎地域や無医村を抱え、交通資源も不足している地域の現状を考えてほしい」とのことでした。中丹地域だけでも生活支援センターはあと3ヶ所必要ですが、現在の府の計画では到底認められません。南部の京田辺市でも、「入所施設がなく、城陽市の施設にお世話になっているが、今後は受け入れてもらえるかどうか」との不安の声が出されました。神戸など他府県の施設に入所している方が4人もおられます。通所授産施設が1ヶ所あるだけで、来年は養護学校卒業生などの受け入れもできません。第2作業所、生活支援センター、グループホーム設置の強い要望が出されておりました。また、相楽圏域では、やっと昨年末、知的障害者の入所更生施設ができたものの、心身障害者の入所更生施設は1ヶ所もありません。法定施設が1つもない市町村は17自治体あります。児童サービスや精神障害者の施設など制度の対象外となったサービスも含め、施設・在宅の両面で圧倒的に基盤が不足していることは明らかです。これでは「自由な選択」などできるはずがありません。
 京都府の計画も市町村の計画も、実態調査をしっかり行って具体的な数値目標や財政的裏づけを明確にした実効あるものに見直す必要があります。そして、法人・民間任せにせず、公的責任をもって、施設・ホームヘルパーの増員などの基盤整備を集中的に促進しなければなりません。この点でも、京都府の果たすべき役割は大きいものがあります。市町村に対し十分な財政支援、人材支援を行うことが大切と考えますが、知事の見解をお聞かせください。
 福祉・医療問題の最後に、就学前までの医療費無料化制度についてです。今、全国で32都道府県、府内では24市町に広がっていますが、本府としても、早急に実施されるよう改めて求めます。知事の決意をお聞かせください。

 次に、雇用・失業対策について伺います。
 御承知のように、府内の完全失業者は85,000人に上っています。今年3月に総務省が発表した都道府県別の失業率の試算では京都府は6.3%で、沖縄、大阪に次いで3番目の高さです。総務省がまとめた「事業所・企業統計調査」によりますと、96年から2001年までの事業所減少率は8.7%で、大阪に次いで2番目の高さです。しかも、製造業では22.4%の減少と全国トップの落ち込みです。
 京都の雇用情勢の悪化は、繊維を初めとする伝統・地場産業の廃業が大きな原因となっています。物づくりの基盤そのものが失われることへ危機も出されている中、京都経済再生のためにも、雇用対策の観点からも、地場産業の支援は不可欠ですが、本府の雇用対策にはこの観点が欠落しています。
 現在、本府においては京都府雇用創出支援事業計画案が検討され、41,000人の実雇用確保を目標に挙げておられます。計画案では、ベンチャービジネスなど成長分野における仕事おこしを挙げておられますが、現実には、IT関連企業が真っ先に大リストラを進めているのではありませんか。ミスマッチ解消と言いますが、来春卒業予定の高校生に対する求人は2人に1人、北部では0.23倍、中高年も障害者も事態は極めて深刻です。また、本府自身、財政健全化でリストラを進め、府立病院などで不安定雇用労働者を拡大しているのでは、安定した雇用も望めません。その立場から、提案も含め何点か伺います。
 今、緊急の問題は、ハローワークに仕事を求めていった方々が実際に仕事につけず、生活が成り立たない人たちへの措置がないことです。こうした失業者が安定した職につけるまで、以前に実施されていた「失業対策」のような本格的な公的就労対策をとって生活保障を行うことです。実施中の緊急雇用対策事業についても、雇用期間の延長など改善が必要です。いかがですか。
 2つ目は、京都経済を支える中小企業を元気にさせるための支援を強め、そこでの雇用を増やすことです。京都府の中小企業対策は、融資関連の出資金を除けば振興のための予算は大変少なく、その少ない予算も新事業、起業家育成に重点が置かれており、伝統・地場産業への施策も産地組合への委託、イベントが中心です。物づくりの創意ある活動への数少ない助成である「西陣織・京友禅等産地活性化推進事業」の企業グループの公募枠には積極的な応募がふえていますが、反面、1事業当たりの助成額が昨年度100万円平均から今年度70万円にスケールダウンしている状況です。
 我が議員団は、先ごろ新潟県の中小企業対策を調査してきましたが、新潟県では、県内の地場産業集積地の経営実態調査を行い、深刻な実態とその要因を調査・分析し、施策を強化する「地場産業振興アクションプラン」を策定し、市町村の行う中小企業振興事業を応援しています。東京大田区でも、物づくり産業についての調査を行い、調査で明らかになった中小企業の実態と要求にこたえるため、都が2分の1を負担する「東京都工業集積活性化支援事業」として新製品や新技術の開発、生産性向上、ネットワーク維持、後継者育成、作業環境改善への補助を実施しています。
 今、中小企業振興予算を抜本的に増額し、経済界、学者・研究者、経営者・業者のエネルギーを総結集した「京都経済再生会議」とも言える体制をつくり、中小企業への技術・経営支援、販路開拓支援の府内のネットワークづくり、後継者対策など、中小企業を応援する施策を強化することが必要です。そのためにも市町村と協力し、府内全業者を対象とした経営実態調査を実施することが必要なのではないでしょうか。また、第一次産業である農林漁業の振興を図ることも雇用を増やす上で大変重要です。知事の見解をお聞かせください。
 3つ目は、大企業のリストラを規制することです。我が議員団は、これまで知事に対して、国に解雇規制法の制定を要求するとともに、府独自にも、大企業の事業所廃止や人員削減計画など地域に大きな影響を与える計画については、計画を提出させ、知事が意見を述べ、勧告ができるようにするための制度を求めてまいりました。岩手県では数年前、ある会社が工場閉鎖をする際、県が最後の1人まで雇用について面倒を見させました。また、NEC新潟では、工場売却計画の中止はできませんでしたが、柏崎市長と地元商工会議所の要請で、新会社をつくって一定の雇用の場を確保させました。工場閉鎖やリストラそのものはやめさせられなくても、物を言えば一定の歯どめがかけられるのです。
 知事は、京都の大企業のリストラ計画について物を言うべきです。そして、大企業のリストラ野放しが雇用悪化の原因であることが明らかになっている以上、国に解雇規制法の制定を求め、府独自にも条例制定等の対策をとるべきと考えます。明確にお答えください。
 4つ目は、中小業者自身の仕事づくりの取り組みへの支援です。京建労や各地の中小企業団体の皆さんは、住宅改修助成制度の実現を府や市町村に求めてこられました。これまで、網野町や京田辺市で実現しています。京田辺市は、改修工事費の10%、限度額10万円ですが、受け付け開始の9月1日から締め切りの25日までの間147件の申し込みがあり、工事費総額は2億8,000万円を超えています。補助額の1,200万円の21倍の経済効果を生み出しており、京田辺市商工会の会長さんは「経済効果は抜群です」と評価をされています。網野町でも同様で、助成額の20倍を超える経済効果を生み出しております。我が議員団はさきに政府への申し入れを行い、国に対して住宅改修助成制度の有効性を示し、その全国的な実施を求めてまいりましたが、国の担当者も「大変参考になる。研究する」と注目をしています。
 長期化した不況の中で、仕事確保に悩んでいる中小零細建築業者を支援し、府民の住宅改修を進めるため、府内すべての市町村での住宅改修助成制度の実施を促すためにも府として支援制度を実施すべきです。知事の見解を伺います。

 次に、大型店の問題についてお聞きします。
 福知山商工会議所は、福井県に本部を置く総合ディスカウント店「みった」の出店が地元商店街などのまちづくりへの取り組みに壊滅的な打撃を与えるとした意見書を、京都府福知山振興局長、福知山市と福知山市議会に提出されました。「みった」は売り場面積約16,000平米、年商70億円の計画となっており、これは福知山の主要7商店街の売り場面積の2倍、年間販売額を大きく上回るものです。これまでジャスコ福知山店など超大型店の出店と深刻な不況に大きな打撃を受けながらも、住民に密着し、地域に貢献できるまちづくりをと頑張っておられる周辺商店街の経営や雇用に深刻な影響を与えることは必至です。
 京都市右京区、私の地元の島津製作所五条工場跡地の「京都ダイヤモンドシティ」も同じです。京都市は、みずから決めた「まちづくり条例」の商業集積ガイドラインさえ守らせることができず、今、大規模小売店舗立地法の手続に入っています。周辺住民や小売業者からは「慢性的渋滞が発生している五条通にさらに6,000台もの車を呼び込むものだ」など、計画変更を求める意見書が835通も提出されています。新規出店だけが問題ではありません。相次ぐ深夜までの営業時間の延長、休業日の削減は、家族従事者と限られた従業員で営業している中小業者ではとても対応できません。
 かつての大店法では、大型店の売り場面積、営業時間、休業日数に関し、周辺中小小売業者や消費者、学識経験者の意見をある程度反映した規制を行うことができました。しかし、2000年6月から施行された大店立地法では、周辺の住環境への影響のみの調整とされてしまいました。
 この問題で前知事は、地域の発展を図るという立場で市町村の意見を尊重し、庁内に設置した「まちづくり推進連絡協議会」や「大規模小売店舗立地審議会」などを活用して適切に対応すると答弁されました。また、京都市部についての調整が京都市の権限となったもとでも、島津五条工場跡地への大型店の進出問題について「重要な案件であり、今後の動きを京都市とも情報交換を密にして十分注視したい」と答弁されました。
 しかし、その後の状況を見れば、大型店出店の問題では指をくわえて見ているだけ、島津跡地の問題でも「情報を密に交換」と言いながら、「まちづくり条例」からの上乗せを看過してきました。今こそ自治体に商業活動への規制の権限を与える新たな「大店法」が必要と考えます。国に対してその創設を強く求めるとともに、これ以上の大型店の進出を規制する「大型店凍結宣言」を知事として宣言すべきです。決意をお聞かせください。
 今、商店街の皆さんは、個々の商店の魅力アップとともに、地域に根差した商店街の持つ介護やまちづくり分野での役割を発揮する中で、地域住民に欠かせない存在となるよう奮闘されています。府としてその努力を激励し、商取引のネット化に対応できる支援の強化、人材育成のための助言者の継続的な派遣、再生策推進の中核となる商店街事務局の配置などについて抜本的に強化すべきです。お答えください。

 次に、外形標準課税の問題です。
 我が議員団は、この間、多くの中小企業団体から外形標準課税についてお話を聞きました。「好きこのんで赤字になったのではない」「必死で頑張っても赤字のところから税金を取るのか」「中小企業支援をもっとしっかりやってほしい」など、ほとんどの中小企業団体が外形標準課税に反対され、知事を先頭にこの税の導入を国に求めている京都府の姿勢に不信と怒りをお持ちでした。京都府商工会議所連合会、京都商工会議所、京都府中小企業同友会など、京都の主要な中小企業団体もそろって導入に反対をされています。
 知事は6月議会で、「赤字企業だけでなく、中小企業の多くが大幅な負担増となり、中小企業の息の根をとめるとも言える外形標準課税の導入要求をやめるべき」との私どもの議員の質問に対し、「外形標準課税の導入に期待する」とお答えになりました。改めてお聞きをします。今御紹介した中小企業者の皆さんの声をお聞きになっても、なお外形標準課税の導入を求め続けられるのですか。中小企業によって支えられている京都経済を一層深刻な状況に追い込むようでは、知事としての資格はありません。外形標準課税導入にきっぱりと反対すべきと考えますが、お答えください。

 次に、京都府が検討しています「不法投棄規制条例」にかかわって伺います。
 第1に、廃棄物の発生抑制と京都府の削減目標についてです。
 ヨハネスブルクで開かれた環境・開発サミットを受けて、今、世界各国が地球環境の保全、貧困の解消を目指す新たな取り組みをスタートさせました。時代は、大量生産・大量消費の社会から、持続可能な社会に向けて方向を大きく転換しようとしています。今こそ、COP3の開催地であり、第3回世界水フォーラムの開催地でもある京都府の責任を立派に果たそうではありませんか。
 我が議員団はこれまでから、京都府が一般廃棄物ごみについては「ごみ広域化処理計画」の名のもとに時代おくれの全量焼却方式をとり、ごみ自体を削減することに真剣に取り組んでいないことを厳しく指摘をしてきました。しかし、それ以上に廃棄物の中で大きな部分を占めている産業廃棄物の削減について、京都府がいまだに削減目標すら明確にしていないことは極めて重大な問題です。今検討されている府条例が、不法投棄の取り締まりと規制強化だけを問題にして、引き続き廃棄物を排出する大もとの企業責任を問題にしないのであれば、時代の大きな流れにそぐわないものと言わなければなりません。
 今、府内の廃棄物増加の主要な部分は産業廃棄物によって占められており、この不法投棄が深刻化しております。この点でも私どもは、新たに策定される府条例にはっきりと産業廃棄物の削減を目標とすることを掲げ、企業責任を明確にした上で、ごみ発生そのものを抑制する方向を打ち出すべきだと提案します。知事のお考えをお示しください。
 第2に、悪質な不法行為を許さない府の姿勢の問題です。
 府内の不法投棄の事例は、この間、亀岡市畑野、日吉町志和賀、宇治の炭山、南山城村と、どこでも問題が深刻化し、長期化しました。この背景には、住民のたび重なる指摘と要望があったにもかかわらず、業者側の言い分をうのみにして悪質な行為を事実上野放しにしたり、あいまいにしてきた府の姿勢にあります。住民との協力や協働を大切にするのではなく、場合によっては住民の要望を「厄介なもの」と扱ってきたこうした本府の姿勢を改めなければ、幾ら立派な条例を策定しても「仏つくって魂入れず」ということになりかねません。府がこれまでの姿勢を改めて、行政が現認した違反事案に関する情報やそれに対する行政措置の状況とその進行状況及び今後の見通しを地域住民に公開し、住民と協力して問題解決に取り組むよう条例上も明確に規定すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 第3に、廃棄物処理行政の大もとからの転換についてです。
 歴代自民党政治のもと、日本の廃棄物処理行政ではごみになりにくい製品の開発を促進し、廃棄物の発生自体を抑制しようとするいわゆる「拡大生産者責任」の導入が大変おくれてきました。その理由は、日本の大手企業がみずからの利益だけを優先し、こうした考えに背を向けてきたからにほかなりません。この結果、環境省も、経済産業省も、依然として問題の根本にあるメーカー責任を棚上げにした不十分な環境行政を続けるありさまです。現実に「容器包装リサイクル法」では、収集・運搬・保管を自治体の責任として、リサイクル費用の大半を自治体に税金で負担させたため、法が施行されてから逆にペットボトルの企業生産はふえ続けています。また「家電リサイクル法」では、廃棄時に消費者が処理費を支払うとしたため、法施行以降、府内各地で不法投棄が横行しています。これらはいずれも、製造者責任の徹底をあいまいにして問題を組み立てた環境行政の不十分さの端的な証明にほかなりません。今こそ、知事が率先してすべての廃棄物を規制する「廃棄物処理法」そのものに「拡大生産者責任」の考えを入れるよう、国に対し改正を強く働きかけるべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 今、原発の事故隠しを初めとして、国民の安全にとって重大な問題が相次いでいますが、その根底には大企業のルール破り、儲け優先の姿勢があります。今こそ大企業のルール破りを許さず、国民の安全のための措置をとるべきだと考えますが、いかがですか。お答えください。

 次に、男女平等条例の制定について伺います。
 先日、私は条例策定中の千葉県に伺いました。千葉県では、昨年3月、専門部会を設置して検討が進められ、この9月議会に条例の提案がされております。「36都道府県で条例がつくられ、後塵を拝することになったが、時間をかけた分、他県のよいところを取り入れた、いいものにしたい。検討過程に県民が参加していただくことでPRもでき、男女共同参画への理解と納得も広がる」として、有識者、経営者、労働組合等に対するアンケート調査や公募による県民意見聴取を行い、骨格的な案がまとまった段階で条例専門部会の審議を県民に公開をいたしました。県内4ヶ所で中間報告説明会が開かれ、多数の傍聴と活発な議論が進められているとのことです。
 知事は、6月議会で「幅広い府民、団体、議会の意見を聞き、実効性の上がる条例づくり」を表明されましたが、本府でも、女性政策専門家会議を広く府民に公開すること、地域における府民懇談会の開催など双方向で意見を交換し、その声を条例に反映させることを求めます。いかがですか。条例制定のめども含めて作業状況を伺います。
 さて、条例の制定に当たって、私どもは、憲法及び女子差別撤廃条約の男女平等の理念、母性保護、事業者・企業主責任、性的嫌がらせや暴力の禁止、苦情処理・救済機関の設置等を明記した実効性あるものにすることをこれまでから求めてまいりました。第1に、あらゆる形態の差別撤廃と真の男女平等を目指すという趣旨から、条例の名称に「男女平等」の言葉を掲げることです。第2に、世界人権宣言や日本国憲法に保障された、基本的人権の尊重と両性の本質的平等の理念、国連女子差別撤廃条約の理念を踏まえ、昨年4月の「KYOのあけぼのプラン」改定に当たって欠落した「個人の尊重と両性の本質的平等は平和な社会においてのみ実現されるものである」ことを明記することです。第3に、これも改定に当たって後退をした、事業者・企業主の責任の明記です。
 千葉県条例では、雇用の場における男女共同参画を進めるために、職場での機会均等や均等待遇の確保、男女間格差の是正のための積極的改善措置、仕事と家庭との両立支援、セクシュアル・ハラスメントなどのない職場環境・風土づくりが主な課題であるとして、事業主の積極的な取り組みを促進するための情報提供、助言及び支援を行うこと、事業主から年に1回の報告を求め、それを公表し、必要な助言を行うこと、優良業者に対して工事請負物品購入などの契約に際して考慮することができることを明記しました。広島県条例でも「補助金交付の際、参画推進について適切な措置を講ずるよう求めることができる」と盛り込み、他の県条例でも、最も差別の起きやすい労働の場における男女平等の取り組みの強化を目指しています。事業主の取り組みを奨励し、支援するこれらの積極的内容を本府でも取り入れるべきと考えます。知事の見解を伺います。
 次に、条例が「絵にかいた餅」にならないようにするために、行政機関から独立した苦情処理、救済機関の設置を進めることです。府民にとって敷居が低く、窓口の広い、申し出者の立場に立った「受け付け部門」と、公正・中立な立場で調査を行い処理する「処理部門」の2階建ての機関とし、処理部門は、関係者の協力を得て資料の提出及び説明を求め、必要があるときは府に対して助言・提言または勧告を、他の関係者に対しては助言や是正の要望を行うこと、苦情・相談機関が受理した府の施策に対する苦情については監視及び影響調査の対象事業とすること、それらの状況報告を作成し公表すること、などを条例に盛り込むことです。知事の見解を伺います。
 児童虐待防止法やDV法施行後も、DVや児童虐待による殺人などの悲しい事件が相次ぎ、婦人相談所や児童相談所への相談が急増しています。この間、私どもも要望してきました両相談所における相談員の増員、配偶者暴力相談支援センターや一時保護所の設置など体制強化が一定なされましたが、法の趣旨にのっとった対策強化の要望が出されております。
 1つは、相談体制です。現在、配偶者暴力相談支援センターの看板を掲げているのは婦人相談所だけとなっていますが、夜間・休日等の体制強化を含め、府南部、北部にも配偶者暴力相談支援センターの支所を置くことを提案いたします。
 また、DVや児童虐待など、最近の相談事例はその家庭全体への支援が大変重要になっています。大阪府などのように、児童相談所に「子ども家庭支援センター」を設置し、相談員を増員するなど、府民の身近なところの体制を一層強化すべきと考えますが、いかがですか。
 2つ目は、被害家族の保護と自立を支援する母子生活支援施設の問題です。大変不足をしています。吉田母子寮、綾部若草寮はもともと府立の施設でしたが、それぞれ事業団と綾部市に移譲、委託された施設です。いずれも老朽化したまま放置され、人員不足の結果、当初の受け入れ定員はおのおの25世帯、10世帯でしたが、今は19世帯と6世帯の運用しかできていません。吉田母子寮の建てかえ整備と人員体制の強化による拡充を求めます。綾部若草寮について、現在他府県から2世帯を受け入れていますが、こうした広域的な施策は本来府の責任で行われるべきと考えますが、いかがですか。知事の見解を伺います。

 次に、教育問題について伺います。
 8月22日、京都市教育委員会は、来年度から「小学1年生のクラス定員を35人にする」と発表いたしました。その後の市議会で、「平成16年度からは2年生も実施の方向」と答弁がありました。実現すれば政令市単独では初めてのことで、一歩前進と受けとめられております。「30人学級で行き届いた教育を」の願いは今や国民的な声で広がり、全国自治体の過半数を超える1,690の議会で意見書が上がっており、実施に踏み出す自治体も急速に広がっていることは知事も御存じのとおりです。京都市教委の決断もこの全国的な流れに押され、父母らの要望にこたえざるを得なくなったものです。少人数学級が学習、生活指導の両面で効果が高いことが評価されているからこそ全国に広がっているのではないでしょうか。
 私は、先ごろ埼玉県志木市教育委員会と埼玉県教育委員会を訪問しました。「25人程度の学級」を実施する志木市では、「幼稚園が平均23人なので、その連続性と発達段階に即した学校教育が必要と考えた。いじめ、不登校、学級崩壊など、早期発見・早期解決につながる少人数指導とは全く別の問題」ときっぱり言われました。今年4月から「30人学級」を実施した埼玉県の上尾市では、市民広報で特集を組み、「個別指導が十分できるようになり、学習につまずいている児童に早く気がつき、必要な支援ができるようになった。発表の機会も多くなり、一人一人の個性を大事にした授業ができる。授業中の評価がしやすく、学習の取得状況が把握しやすくなった」などの声を紹介しています。また、「先生と子どもたちにゆとりが感じられ、コミュニケーションが深まっているようでうれしい」などの保護者の声も紹介し、学校生活における多面的な効果を市民に報じていました。埼玉県では、公立高校も「38人以下学級」にし、中退者が減少するなどの効果を上げています。
 本府は、今年度から小学校1年生で30人を超える学級に指導補助教員を1日2時間、2学期まで配置しましたが、今日の子供と教育が抱える困難を解決するにはほど遠い対策です。本府は文部科学省の指導の枠内で習熟度別授業に固執していますが、これだけ全国的に少人数学級が流れになっても、京都の子供たちが取り残されることに痛みを感じられないのでしょうか。本府として30人学級に直ちに踏み出すべきです。知事の見解を伺います。
 さらに、今回京都市が実施に踏み出そうとしていますが、府内の市町村が少人数学級編制をしたいと協議があった場合、府教育委員会としてこれに同意するとともに、市町村の取り組みを府教育委員会として援助すべきだと考えますが、教育長の見解を伺います。
 次に、教育環境整備の課題です。
 文部科学省は先ごろ、2003年度から公立の小・中学校の普通教室にクーラー設置を進める方針で、概算要求に盛り込みました。対象は小学校、中学校の新築の場合2分の1、増改築では3分の1、それ以外にも3分の1の補助をするとし、公立の幼稚園、高校についても「教育委員会から要望があれば3分の1補助の対象とする」としています。今年も異常な猛暑が続く中、かなりの学校で「とても勉強どころではない」という生徒、「気分が悪い」と保健室に駆け込んでくる児童が多かったと聞きました。クーラー設置は今当然の緊急課題です。この際、市町村と協議して、早急な設置計画を立て、国に予算の拡充を要望するなど支援をすべきです。あわせて、「すべての公立幼稚園、高校、養護学校にもクーラー設置を」の要望を国に上げていただきたいと考えます。知事の見解を伺います。
 また、耐震診断と補強工事についても、文部科学省は各都道府県教育委員会に対し、2005年までの3年間に耐震診断未実施の建物について診断を完了させる「耐震診断実施計画」の提出を通知しました。全国の診断実施率が30.8%であるのに対し、本府はわずか18.4%と極めて遅れていることは重大です。未実施の原因は何か、把握されていますか。お答えください。
 多くの市町村担当者は財政上の困難を挙げ、「国の補助率引き上げと府の単費補助が不可欠」と訴えています。我が議員団も議会のたびに要望し、先日も府教育委員会に「緊急の申し入れ」を行ったところです。事は子どもの命と健康にかかわることです。静岡、千葉県などでは独自の補助を行っています。学校は震災時には住民の避難場所にもなるところであり、従来どおり「市町村の問題」と市町村任せにせず、府としても国に補助率の引き上げを要求するとともに、早急に独自の支援策を講じるよう求めます。お答えください。

 最後に、戦争と平和の問題について、お尋ねをいたします。
 まず、北朝鮮との国交正常化の問題です。
 首脳会談の中で、北朝鮮が拉致問題に関与し、拉致された人たちの多くが既に亡くなられているという痛ましい事実が公表されました。御家族と関係者の心中を察すると、いかばかりかと思います。今定例会冒頭で、拉致問題の真相究明を求める意見書を全会一致で採択をしましたが、拉致問題を初め一連の問題の解決のために、国交正常化交渉の中で提起し、解決を図ることが必要です。我が党はこれまで、ラングーンでのテロ事件、大韓航空機爆破事件や日本船への銃撃事件など、北朝鮮の無法には最も厳しく対処してきましたが、今回もそういう立場から拉致事件についても徹底糾明のために全力を挙げるとともに、日朝間の平和的環境をつくるために力を尽くすものです。
 さて、武力対決でなく、道理と理性に基づく対話でアジアや世界の平和を実現することは世界の人々の願いであり、大きな流れとなっています。ところが今、アメリカのブッシュ大統領は、テロ組織との戦いを口実にして「国際社会の支持が得られなくてもイラクに先制攻撃をためらわない」と公式の文書で表明をし、さらに、核兵器の一方的な使用もあると公言をしています。イラクが国連による査察の受け入れを表明しているにもかかわらず、事態は大変切迫をしています。アメリカのイラク攻撃が始まったら、核兵器を使う戦争となる危険があります。国際法を無視したアメリカの暴走、イラクヘの危険な攻撃は何としてもやめさせなければなりません。
 今年、長崎市長は「平和宣言」の中で、アメリカが核による先制攻撃などの可能性を表明していることを、国際社会の核兵器廃絶への努力に逆行するものと厳しく批判し、「一連の米国政府の独断的な行動を私たちは断じて許すことはできません」ときっぱり述べました。アメリカの核戦略を「理解できる」と公言し、アメリカのイラク攻撃に一言も「ノー」と言えない小泉首相との違いは歴然としています。アメリカの臨界前核実験に対して抗議し、核兵器の開発につながるすべての核実験の全面禁止と核兵器廃絶を議会とともに繰り返し要請した知事として、この際、アメリカのイラク攻撃にきっぱりと反対の声を上げるべきです。明確なる答弁をお願いいたします。
 近く召集される臨時国会で、自民党や公明党は有事3法案を成立させようとしています。アメリカのイラク攻撃に日本が武力行使をもって参加し、この戦争に日本国民と自治体を強制的に動員し、協力させられるという現実の危険が迫っております。知事は6月議会で、有事法制について「法的な整備は当然のこと」と答弁をされましたが、きっぱりと反対すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 以上、府民の切実な願いとなっている諸問題について知事の見解をお伺いしてきました。この方向を実現するためには、府政の流れを転換し、税金の使い道を変えることがどうしても必要です。また、「住民福祉の向上」に直接の責任を持っている市町村の役割を強化、発展させることが求められます。市町村合併を押しつけて市町村の自治を破壊することはこれに全く逆行するものだと考えますが、知事の見解を伺います。
 長野県の知事選挙では、脱ダム宣言を行い、福祉・教育や環境を重視する方向に税金の使い道を変えていこうとする県政改革の方向を打ち出した田中知事が勝利をされました。ところが知事は、道路公団民営化論議の中で、京都市内高速道路の凍結論が浮上したときにこれに断固抗議するなど、いまだに大型公共事業に固執し、生活道路優先ではなく市内高速道路建設促進という時代遅れの流れに終始をしています。長野県知事選挙の結果がはっきりと示すように、自治体らしい自治体を取り戻す新しい流れが今全国に広がっています。日本共産党府会議員団は、府民の暮らしを応援し、府政を変えるために全力を尽くす決意を表明して、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。

◯山田啓二知事  島田議員の御質問にお答えいたします。
 医療制度改革についてでありますが、医療保険財政が大変厳しい状況にある中で、給付と負担のバランスを考えた場合、高齢化社会が進展する中、将来にわたり持続可能で安定的な医療保険制度を構築することが必要であり、厳しい判断が迫られる中、所要の改正が行われてきたものと考えております。その中で、私どもが要望しておりました低所得者に対する措置も一定なされたところでありますが、低所得者への配慮については今後とも、引き続き提案してまいりたいと考えております。
 自己負担限度額を超える窓口での自己負担分につきましては、原則償還払いとされており、改正の内容につきましては、市町村や医療関係団体を通じて周知の徹底を図っていきたいというふうに考えております。
 重度心身障害老人健康管理事業につきましては、国の年金制度や他府県における同様の制度との均衡を踏まえて、重度の障害者である身障手帳1・2級の方を対象としているものであります。
 なお、乳幼児医療助成制度を含めた福祉医療制度全般につきましては、福祉医療制度検討会において、さまざまな観点から現在議論をしているところでございます。
 介護サービスの基盤整備についてでありますが、特に特別養護老人ホームにつきまして、全国トップレベルの京都府独自の補助や融資制度を6月補正で創設するなど、全力を挙げて整備を推進してきたところであり、引き続き地域のニーズに的確に対応した整備を推進していくことにより、待機者の解消を図ってまいりたいと考えております。
 重度障害、痴呆、感染症、リハビリ等のためにケアが必要な方につきましては、その方の状態に応じて、医療機関、老人保健施設、特別養護老人ホーム等の施設において適切にサービスが提供されるよう、各機関とより一層連携をして対処してまいりたいと存じます。
 介護保険料や利用料の減免等につきましては、現行制度の積極的な活用を市町村などに対して促すとともに、高齢者の経済負担に十分配慮して必要な対策を講じるよう国に対して積極的な提案を行っているところであります。
 不適正なホームヘルパー研修についてでありますが、指定取り消し事業者に対して、受講料の返還など誠意ある対応をするよう現在積極的に指導しているところであり、それとともに補講のあっせんを行い、資格が取得できるよう対処しているところでございます。なお、国に対しましては、指導監督体制強化のために必要な法整備等を提案しているところであります。
 次に、障害者福祉についてでありますが、サービス基盤の確保につきましては、京都府障害者基本計画の後期実施計画において既に数値目標を設定し、施設整備や運営に対する独自加算や人材の養成、相談体制の強化などの支援措置を講じる中で、市町村の意向も踏まえて、ハード、ソフト両面にわたる基盤整備を進めているところであります。
 数値目標の達成状況につきましては、計画を上回るスピードで順調に推移しているところであり、特に知的障害者更生施設や授産施設などの整備状況は、全国的に見ても高い水準となっているのが実情であります。
 さらに、法定外施設である障害者共同作業所に対しましても、全国トップレベルの助成を行うとともに、法定施設への移行を推進するなど、きめ細かな施策の推進に努めているところであります。
 市町村における推進状況につきましては、現在36市町で計画が策定され、さらに今年度中にはすべての市町村で策定される予定であり、計画的に障害者施策の充実に取り組まれているところでありますが、府といたしましても、市町村との連携をさらに深めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、雇用・失業問題についてでありますが、議員御提案の失業対策事業は、行政が直接、失業者を雇用する方式であったため、雇用情勢の動向等にかかわりなく一貫して就労者が増え続けたり、再就職までの一時的な就労機会の提供という目的から大きく離れたりしたため、有効に機能しない施策として激しい批判を受ける中で終息しており、こうした事業を復活させることについて、府民の理解を得ることは難しいと考えております。
 また、緊急雇用創出特別基金事業につきましては、国に対し、雇用期間の延長等、弾力的な運用について強く要望しているところであり、その中で継続的な対応が望ましい教育や福祉部門等における相談・助言などの事業につきましては、既に1年間までの期間延長ができることとされております。
 次に、中小企業対策についてでありますが、京都府では当初予算において、中小企業向けの緊急金融対策として過去最大規模の融資枠1,000億円を引き続き確保するなど、緊急不況・雇用対策を最重要課題として取り組むとともに、私の初めての予算であります6月補正予算におきましても、厳しい財政状況の中、50億円を超える不況・雇用対策を中心に据えたところであり、現在その効果的な執行に全力を注いでいるところであります。
 また、中小企業対策の推進に当たりましては、京都産業21や、地域中小企業支援センターなどにおいて、資金面や経営・技術面等、多方面にわたる相談・支援を行うなど、きめ細やかに対応に努めているところであります。
 さらに事業実施に際しましては、これまでから中小企業の実態を十分お聞きしながら、経済団体や市町村と連携を図るとともに、学識経験者等の御意見もお伺いして取り組んでいるところであり、今後とも、私の選挙公約でもあります産学公連携組織の形成、そして、それによる京都の創造的な産業振興などに努めてまいりたいと考えております。
 また、農林水産業につきましては、雇用の確保、職の確立、環境の保全も含め、総合的な観点から、新規就業対策やブランド京野菜の振興など、その振興に全力を挙げているところであります。
 次に、解雇に関する法整備についてでありますが、国において、現在労使の代表者も入った審議会で検討が進められているところであり、議論の行方を注視しているところであります。
 また、条例の制定につきましては、企業活動が都道府県の区域を越えて行われる中で、まさに京都府だけが解雇を規制するような条例を定めることは法制度上難しく、また、企業が府内の立地を避けることにもなりかねず、かえって雇用の場を減少させるおそれもあり、適当ではないのではないかというふうに考えております。
 なお、昨年10月に改正された雇用対策法では、企業が30人以上の解雇を行う場合は、事前に労働組合等の意見を聴取した上、再就職援助計画を職業安定所長に提出し、その認定を受けなければならないこととされており、これにより一方的な解雇の抑制につながるものと考えております。
 なお、「企業の解雇やリストラに対して府は何も言わない」との発言がございましたけれども、例えば日産車体京都工場の大幅縮小の際にも、地元自治体、経済団体、さらには当事者の日産車体も加えてすぐに対策会議を立ち上げ、下請企業対策などとあわせて従業員の雇用確保対策をしっかり申し入れ、府としても最大限の努力をして雇用を確保してきたところであり、そういったことを考えていただければ、議員の御指摘は的外れではないかというふうに考えております。
 次に、住宅改修の助成制度についてでありますが、現在、各市町村においては、それぞれの地域の経済事情や財政状況を踏まえて、不況対策、地域振興に知恵と工夫を凝らし、さまざまな施策に取り組まれております。京都府といたしましても、雇用・不況対策として、6月議会で府営住宅ストック総合活用事業を含め、全力を挙げて不況対策に取り組んでいるところであり、こうした府の施策と44市町村が講じるさまざまな施策が相まって経済効果が高まるよう、これからも取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、大型店の出店問題についてでありますが、平成12年6月から従来の大店法が廃止され、大型店の立地に関し、周辺地域の生活環境の保持に主眼を置いた大規模小売店舗立地法が施行されたところであります。京都府といたしましては、新法のもとにおいてもあくまで地域の発展を図るという立場に立って、市町村の意見を尊重しながら、庁内に設置した「まちづくり創出推進連絡協議会」や、有識者で構成された「大規模小売店舗立地審議会」を活用し、公正かつ適正な対応に努めてまいるという立場に変わりはございません。
 商店街の活性化についてでありますが、商店街活性化支援事業を活用し、ハード基盤の整備のみならず、商店街の情報ネットワーク化やポイントカードの導入といった新たな活性化の取り組みにも助成するとともに、本年度からは「京の商店街チャレンジ21事業」により、商業団体が地域社会と連携して実施する事業などにも積極的に対応しております。
 また、中心市街地のまちづくりを推進するTMO等が行う取り組みに対しても支援するとともに、関係経済団体等が実施する経営や融資相談、アドバイザーの派遣など、商店街に対するきめ細やかな指導事業への支援にも努めているところであります。
 次に、外形標準課税についてでありますが、行政サービスの受益に応じて税を負担いただくということは、地方税における基本的な事柄であります。本年度も実質500億円という税収減が見込まれますが、このような事態が続けば、都道府県が住民の皆様に安定的、継続的に行政サービスを提供することは難しく、現在の不安定な税収構造を改めていくことが重要であります。このようなことから、外形標準課税が全国一律の制度として導入されることを期待しておりますが、その導入に際しましては、去る2月府議会定例会で議決されました「外形標準課税制度導入に関する決議」にもありますように、府内経済が非常に厳しい状況にあることを踏まえ、中小零細企業への十分な配慮を前提に検討が進められることが必要であると考え、国に対しても強く申し入れているところであります。
 次に、不法投棄規制についてでありますが、提案説明でも申し上げましたように、「不法投棄規制に係る研究会」の検討結果の報告をこのたび取りまとめたところであり、そして、条例案の骨子として、不法投棄の規制措置とともに、産業廃棄物の発生抑制、再生利用の推進など、事業者の責務や、府民の皆様方に情報を提供し一体となった取り組みを推進することなどが盛り込まれているところであります。今後、この報告を踏まえ、本府独自の規制条例の策定に向かって作業を進めてまいりたいと考えております。
 なお、産業廃棄物の削減目標等につきましては、現在、環境審議会において御審議をいただいている循環型社会形成計画において御検討いただいているところであります。また、製造事業者等による回収・再生利用体制の確立など拡大生産者責任の強化につきましては、これまでから繰り返し国に対し政策提案や要望を行ってきたところであります。今後とも、不法投棄等の環境犯罪を撲滅し、循環型社会を構築するための取り組みを強力に進めてまいりたいと考えております。
 次に、男女共同参画社会実現のための条例の制定についてでありますが、現在、女性政策推進専門家会議におきまして、幅広い観点から条例に盛り込むべき内容について検討をいただいているところであり、個々の論点につきましては、今は今後取りまとめられる中間報告を待つべきだというふうに考えております。この中間報告を踏まえ、今後、府議会や幅広い府民・団体の皆様の御意見をお伺いしながら、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、専門家会議の公開につきましては、先日策定した「審議会等の公開に関する指針」に基づき対応がなされるものであります。
 次に、児童虐待やDV対策についてでありますが、依然として相談件数が増加し、内容が深刻化する状況を踏まえ、当初予算、さらには6月補正予算、そして組織の強化など、切れ目のない対応に努めてきているところであります。
 施設整備については、婦人相談所に配偶者暴力相談支援センターを設置し、被害者の多様な事情に対応する一時保護施設の整備や民間施設も含めた受け入れ体制の拡充を図ったところであります。
 また、相談体制につきましては、未来っ子サポートチームの設置による児童虐待への対応、児童福祉司等の動員による家庭の支援体制の強化のほか、婦人相談所の休日・夜間相談の充実や、保健所婦人相談員による地域におけるきめ細かな相談に努めるなど、各般の取り組みを推進しているところであります。また、児童虐待やDV対策は地域全体で支えることが重要であることから、市町村等関係機関と協力しながら、さらなるネットワーク化の充実を図ることとしております。
 吉田母子寮につきましては、これまでから必要な施設整備を行ってきたところでありますが、自立促進のための支援施設として適切な運営に努めてまいりたいと存じております。また、綾部市が設置し運営されております若草寮につきましては、DV対策を含め、十分に連携してまいることが重要であると考えております。
 次に、学級編制についてでありますが、京都府におきましては、今年度から小学校1年生の31人以上の学級に複数の教員を配置し、実質的に20人から30人程度の少人数教育を実施しており、教育現場からも、これにより教育効果が上がっていると聞いているところであります。報道されました京都市の方針についても、こうした府の少人数教育に対する取り組みも参考にしていただけるのではないかと考えております。
 京都府におきましては、少人数教育をより一層推進させるため、現在、まなび教育推進プラン策定の中で広く府民の皆様や学校現場からの意見をお聞きし、これらの意見を踏まえて学力の向上や生徒の指導の充実を図る最も効果的な少人数教育について、教育委員会とともに検討しているところでございます。
 次に、アメリカのイラク攻撃に関する御質問についてでありますが、さきの国連総会において、小泉総理が「国際協調を維持し、国連を通じた一層の真剣な外交努力が重要で、必要かつ適切な安保理決議をできるだけ早く採決することを追究すべき」と表明されています。私も、国際協調と国連を通じた外交努力の上に対処されるべきという考え方に立って、戦いのない世界の恒久平和が早期に確立されることを強く願うところであります。
 有事法制についてでありますが、さきの府議会本会議においてもお答えしましたとおり、我が国が有事に関連する法制を整備することについては、法治国家である以上、超法規的事態を生じさせないためにも、民主主義の基本からして当然のことであると認識をしております。
 なお、有事に関連する法制整備に当たっては、国と地方の役割分担、責任と権限についての明確化や、地方の意見が十分に反映されるものとして整備されるよう、全国知事会などを通じて国に対し強く求めてまいったところであります。
 次に、市町村合併についてでありますが、今、真の地方分権の確立のためには、時代の変化を踏まえ、これからの市町村のあり方に対する真剣な議論が必要であると考えております。現在、府内各地域において、行政や議会、さまざまな民間団体などにおいて、地域に根差した熱心な議論が行われてきており、丹後6町と宮津・与謝地域1市4町においては、各市町議会の議決を経て法定の合併協議会が設置され、また、相楽地域6町1村でも任意の協議会が設けられるなど、各地域において合併も視野に入れつつ、地域の将来について真摯な議論が行われているところであります。
 市町村の将来を決められるのは、制度上も、実際も、あくまで第一義的には市町村であります。京都府といたしましては、このような地域の主体的な議論を尊重し、町村会や市長会と連携して支援していくことが広域団体としての府のとるべき立場であると考えておりまして、「合併を押しつけて市町村の自治を破壊する」との議員の御指摘は、私は筋違いのものであると考えております。京都府といたしましては、今後とも、各地域の取り組みに対して、できる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。

◯武田暹 教育長  島田議員の御質問にお答えをいたします。
 学級編制の弾力化についてでありますが、従来から、標準法の趣旨に基づき、市町村教育委員会から協議があった場合、個々のケースに応じて判断しているところであります。今後とも、標準法の趣旨に基づいた対応をしてまいりたいと考えております。
 次に、公立学校の普通教室への冷房設置についてでありますが、文部科学省においては、平成15年度予算概算要求の中で、公立の小・中・高等学校等のすべての教室を対象に冷房設置のための補助金の新設を盛り込んでいるところであります。今後、国の動向や他府県の状況を踏まえながら、研究してまいりたいと考えております。
 次に、地震対策についてでありますが、府内小・中学校の耐震診断実施率の全国順位は中位にあり、他府県に比べ特におくれているとは考えておりませんが、本年8月に、市町村教育委員会に対して、実施計画を早期に策定するとともに、改修が必要な建物については改築・補強等の措置を講ずるよう、文書で指導したところであります。
 また、国の補助制度につきましては、地震防災緊急事業五箇年計画に盛り込まれた耐震診断、耐震補強の事業への補助率のかさ上げ措置等もありますので、積極的にこの制度を活用し、計画的に耐震化を進めるよう、市町村に助言しているところであります。

◯島田敬子議員  時間が限られておりますので、数点だけお願いします。
 特養ホームの待機者問題について、トップクラスの整備を進めていると言われました。待機者が3,600人もおりますけれども、例えば一番待機者が多い舞鶴、福知山、綾部など、中丹地域だけでも1,400人がお待ちです。本府が老人福祉施設整備費をつけておりますが、介護保険が始まる前は35億円あったものが、13年度には14億円に大幅に減少をしています。「町が計画を持って要望しても国や府の許可が出ない」と、ある町長もおっしゃっておりました。実態に応じて市町村を支援する、このことが必要だと思いますので、指摘をしておきたいと思います。
 住宅改修制度について、京田辺の経済効果が20倍に上っていることを紹介いたしました。例えば京都府が1億円助成をしますと20億円。今年当初予算につけた京都府臨時生活関連整備事業に匹敵をする事業が生まれるということで、大変効果がある対策だと思いますので、研究をお願いしたいと思います。
 30人学級についてです。文科省は9月30日までに公立小・中学校の少人数学級編制について全額財政負担すれば、全市町村、全学年で実施を認めることを決めました。京都府に対して京都市から協議があれば、同意をされるのか。教育長あるいは知事の明瞭なる答弁をお願いいたします。
 以上です。

◯武田暹 教育長  島田議員の再質問にお答えいたします。
 現在のところ、まだ京都市から何の協議もありませんので、協議がありましたら十分お話を聞いていきたいというように思います。