平成12年12月定例会 本会議(第6号) 常任委員会審査報告書 審議―2000年12月15日〜島田敬子府議の発言部分

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◯小牧誠一郎議長  次に日程第2、第1号議案から第13号議案まで及び平成12年9月府議会定例会への提出に係る第19号議案から第23号議案までの18件を一括議題といたします。
 ただいま議題となっております議案18件のうち、第1号議案から第13号議案までの13件については、各常任委員長から審査終了の旨の委員会審査報告書が議長あて提出され、その写しをお手元に配付しておきましたので、会議規則第40条第3項の規定により、委員長報告を省略いたします。
 ただいま議題となっております議案18件のうち、第13号議案職員の給与等に関する条例及び京都府知事、副知事及び出納長の給与及び旅費に関する条例一部改正の件のうち職員に関する部分については、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を聴取する必要がありますので、この際、人事委員会の意見を求めます。立野人事委員長。

◯立野造 人事委員長  ただいま議長から、第13号議案職員の給与等に関する条例及び京都府知事、副知事及び出納長の給与及び旅費に関する条例一部改正の件のうち職員に関する部分につきまして、地方自治法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を求められましたが、当委員会といたしましては異議がないものと決定いたしました。
 以上のとおりでございます。

◯小牧誠一郎議長  人事委員会の意見はお聞き及びのとおりであります。
 これより議案18件に対する討論に入ります。
 通告がありますので、まず、島田敬子君に発言を許します。島田敬子君。

◯島田敬子議員  日本共産党の島田敬子でございます。私は、日本共産党府会議員団を代表いたしまして、ただいま議題となっております議案18件のうち、9月定例会提出の第19号議案、第21号議案の2件に反対し、他の3件及び今定例会提出の13件については賛成の立場で討論を行います。
 まず平成11年度京都府一般会計及び特別会計歳入歳出決算についてです。
 平成11年度の予算案の反対討論で我が議員団は、戦後最悪の不況の中で京都経済と府民の暮らしが深刻になっているときに、府民の暮らしと営業を守る予算を削減していること、一方、大型開発事業優先を進めようとしていること、こうした逆立ちした予算の使い方は財政を一層危機に追い込むことを指摘いたしました。その後の経過と決算審議を通じて、この指摘が正しかったことが浮き彫りになりました。
 京都最大手の和装問屋「丸十小泉」に続き、帯地卸の「山口源」が自己破産など、11年度の府内の繊維関連企業の倒産は、負債総額・倒産件数とも過去10年間で最悪の状況になりました。今年に入っても、室町の大型倒産は続いており、とどまることを知りません。また、島津五条工場の閉鎖移転、三菱、NTTなど首切り・下請合理化などリストラのあらしが吹き荒れる中、日産宇治工場の撤退発表、そして京都南信用金庫、みやこ信用金庫の破綻など、京都経済を震撼させる出来事が連続的に起こり、いまだその最悪の事態を打開するための糸口が見出せずにいます。
 反対の第1の理由は、こうした不況に苦しむ府民に犠牲と負担を押しつけたことです。
 今年4月の介護保険のスタートを控えた11年度は、その準備のための最終年でした。新たな制度が「保険あって介護なし」にならないよう、国・自治体が責任を持って介護基盤整備を行うとともに、所得の少ない高齢者が一人たりとも制度から除かれることのないよう、保険料・利用料の減免制度の確立を初め、制度の緊急改善を求めてまいりました。ところが、本府は指摘に耳を傾けませんでした。特別養護老人ホームの待機者は、制度スタート時で 5,000人、いまだにたくさんの方がお待ちになっておられます。「保険料を取りながらサービスなしは詐欺同然だ」という声が出されているのも当然です。重い利用料の負担は、介護サービスを控えさせ、病状が悪化した方も出るなど、介護家族とお年寄りに苦しみと不安を拡大いたしました。このような事態は予測できたにかかわらず、その対策を打つどころか、本府は介護激励金を廃止いたしました。
 子どもと教育をめぐる危機的な状況もまた、青少年犯罪の動向とあわせ、国民の多くが胸を痛め、国の将来を案ずる事態となっております。どの子にも、基礎的な学力と真に生きていく力をはぐくむために、30人学級の実現、専科教育の実施は、その最低の保障です。教職員を減らさなければ低学年から順次実現が可能であったのに、 200人の先生を減らしました。
 公務災害が多発するなど労働基準法違反が横行する養護学校の職場で、十分な増員をせず、府民の運動で若干の改善を見たものの、多くの老朽校舎が残され、障害児が学び、暮らす場にふさわしくない、バリアフリーとはほど遠い校舎や寄宿舎の実態があります。今議会にもたくさんの請願が出されたところです。計画的に整備をするため、もっと教育予算を増やす必要があります。
 不況の中、授業料が払えず退学する子どもたちが増え続けていますが、本府は府立大学・高校授業料を値上げし、遠距離通学の交通費補助の改善に背を向け、私学授業料の直接助成をリストラの対象にし、当初予定を上回る3億円をカットしました。
 中小企業対策も、伝統・和装産業対策、商店街振興予算を削減しました。融資制度の改善では、与党議員からも「マル小融資の限度額を 1,000万円まで引き上げるよう」要望されたように、不況が長期化する今日の事態の中で、待ったなしの課題ですが、これを拒否したのは重大です。
 公共事業について、生活関連事業が減少していますが、9月補正ではさらに削ったために、歩道の設置やガードレール・交差点改良などを進める「交通安全施設等整備事業」や「高齢者にやさしい道路づくり事業」が大幅に減少いたしました。
 決算委員会警察本部書面審査では、交差点の改良や信号機が設置されていたら起こることがなかった死亡事故があったことが明らかになり、厳しく指摘をしましたが、今定例会では、与党議員からも信号機設置改善の要望が出されました。
 反対の第2の理由は、大型開発を継続してきたことです。
 国の景気対策に呼応して公共事業や単独事業を増やした結果、府債の大きな増発につながったとしながら、11年度も、京都市内高速道路、スタジアム、舞鶴和田埠頭建設の予算を増やしました。府民の世論に押され、幾つかの事業が見直しを余儀なくされていますが、当然です。財政非常事態ならなおのこと、こうした事業は一旦凍結をし、情報公開と府民的議論で再検討をすべきです。
 道路事業について一言申し上げます。
 平成8年度決算審議の折、自民党議員からも「京都縦貫は有意義だが、お金がかかり過ぎはしないか」との指摘を今でも思い出されますが、当時、道路新設改良費総額は 556億円ですが、その16.9%、93億円が縦貫道でありました。11年度は道路新設改良総額が 422億円へ2割も減少した中で、縦貫道には 123億円、実に3割を充てているのであります。
 書面審査で、綾部-宮津間の事業費が 200億円も膨らんだ理由と、宮津-網野間の総事業費を質問したのに対し、明瞭な答弁がありませんでした。説明責任を果たさず推し進めるやり方は、厳しく指摘をしておきたいと考えます。
 第3に、財政健全化の問題です。
 本府は「財政危機」を口実に、第2次「行政改革大綱」に基づく行政改革に着手をし、当初予算で 470事業、40億円の事業の削減・廃止、5月には「財政中期見通し」の発表、11月には「財政健全化指針」を発表いたしました。府民や職員の多大な犠牲の上で義務的経費を計画以上に削減しながら、投資的経費は「中期見通し」の 1.3倍に膨らみ、その結果、府債は「中期見通し」の 1.5倍になりました。
 書面審査で、我が党議員団が指摘をしましたように、減らす方は財政見通しよりも進み、投資的経費は財政見通しより上がったのです。「非常事態だ」「財政再建団体に転落だ」というのは、リストラの口実、福祉を切り捨てても、府民に我慢せよとの宣伝に使っただけで、府民の苦しみに心を寄せ、給与削減もやむなしと涙をのんだ職員の苦労を踏みにじるものであります。
 大型開発優先の逆立ちした行財政運営を改め、住民奉仕という自治体の精神を発揮してこそ、財政再建は可能です。国に対し、自治体へのゼネコン型大型公共事業の押しつけをやめること、消費税増税計画をやめ食料品非課税を実現すること、医療・年金・介護など社会保障は切り捨てでなく充実すること、国と地方の仕事と財源配分の逆転状況を改めることを求めるべきであります。
 次に、流域下水道特別会計についてですが、乙訓地域の雨水対策は、巨大な地下雨水貯留管工事でなく河川改修で解決すべきであり、上流域の開発を規制されるべきであること、港湾事業特別会計については、過大な貿易量を見込んだ和田埠頭の建設工事費が含まれており、反対です。
 以上の理由から、第19号議案に反対です。
 21号議案水道事業会計決算についてですが、乙訓浄水場の建設は、過大な水需要予測に基づいた工事であり、地域住民に大きな負担を押しつける結果となっており、認定することに反対です。
 次に、追加提案された補正予算についてです。
 政府の補正予算は、自治体に当座の現金がなくても公共事業が推進できるように、約2兆円の国債発行と、前年度剰余金を使って景気対策を行うものです。財政当局は「国庫補助、地方交付税など国の財源を活用した」と説明をしますが、国と地方の借金を増やすという点で大きな問題を抱えたものです。
 IT関連の事業についても、国の省庁ごとの縦割り予算を寄せ集めた感が強く、府として明確な方針のもとに長期的な視野に立った対策が求められます。新しい技術が、国民の共有財産としてその成果を国民すべてが享受できるように、また、高度なネットワークの構築が民主主義の発展と言論の自由を新しい段階につなげるものとなるよう、法や制度の改善が必要です。
 また、ITを利用した新たな犯罪を防止する対策、ITがもたらす否定的な問題への対応を引き続き重視する必要がありますし、障害者など情報弱者に対する格差是正のための技術開発などを進めていく必要があります。障害者や高齢者、過疎地域支援など、行政の責任を果たすよう求めておきます。
 最後に一言申し上げます。
 先日の本会議で公明党の松尾忠昌議員は、社会福祉協議会などの団体がボランティアの協力を得て高齢者の送迎事業を有償で行っていることについて違法とし、その取り締まりを要求するかのような質問をされました。これは、高齢者福祉に取り組む団体を違法な「白タク」営業を行う業者と同列に置くもので、多くの福祉関係者が怒りの声を上げておられます。現在、全国でも、府下市町村でも、社会福祉協議会や福祉団体・ボランティアが移送事業に取り組んでおられます。それらについては、運輸省幹部も既に「実費程度は違法とは問わない」としているところです。また、11日には、松尾忠昌議員が問題と指摘したボランティア団体に、京都陸運支局が出向き「ガソリン代程度の料金を受け取り、それで生計を立てない限り、有償ボランティアは認められている。頑張ってやってください」と激励されたとのことです。運輸省でも、実態に合わせて政省令の改正が検討されているところです。
 今、府議会に求められていることは、法整備を国に求めることであり、安全対策を含め、ボランティア団体などを支援することです。「団体の活動を違法として取り締まれ」などと言うのは論外であることを指摘をしておきます。
 さて、今世紀も、今日を含め、あと17日となりました。20世紀は、逆流もありましたが、平和と民主主義にとって大きな前進の世紀でした。基本的人権、男女平等、民族主権など、国民が主人公の流れが大きく広がりました。
 我が党は、侵略戦争反対を貫いて、平和と民主主義の前進のために命がけで闘ってきた政党として、戦争放棄の9条を初め、憲法の理念を一層暮らしに生かし、すべての人々が幸せに生きていくことができる京都と日本をつくるため、希望ある新世紀とするため、全力を挙げる決意を述べて、私の討論を終わります。ありがとうございました。

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※採決…議案13件については、いずれも原案どおり可決及び承認された